2022年05月26日
奇跡 林真理子
奇跡 林真理子 講談社
実録物(じつろくもの)の不倫物語だろうか。
前知識なしで読み始めました。
梨園の妻(りえんのつま)とは、なんのことだろう。梨園は「歌舞伎の世界」で、歌舞伎役者と結婚した女性を梨園の妻というそうです。例として、三田寛子さん、藤原紀香さん、故小林真央さん。
正式な夫(歌舞伎役者)とのあいだに、3歳の長男(貴博。初代「清之助」)もいるというのに、33歳の人妻が、52歳の写真家(フランスのパリと東京を往復する生活している男性)といい仲になります。とりあえず、35ページまで読みました。
(つづく)
テレビ番組『徹子の部屋』にときおり、歌舞伎役者さんのこどもたちがゲストで登場します。かわいい。
未来の歌舞伎役者となる運命として生まれてきて、たいへんでしょうが、そういう立場(後継ぎ)で生まれてくるお子さんはけっこう多い。運命を受け入れて、健やかに(すこやかに)育ってほしい。
歌舞伎役者の妻は、ふつうの奥さんとは思えない生活です。
家に家事をしてくれるお手伝いさんがいます。
男から見て、家庭に『妻』という存在はいらないのではないか。
凡人とは暮らし方が違います。
この本では、奥さんが浮気をしますが、現実社会では、だんなさんのほうが愛人をつくるパターンが多い。(このあと、読んでいったら、だんなさんも浮気をしていました。芸能界にいる夫婦の暮らし方の基本的なありようがおかしい)
ノンフィクション(実際にあったこと)のようなことが書いてありますが、自分は知らない芸能の世界です。実名で書いてあるとありますが、名前を読んでもわかりません。
田原博子:1997年27歳(既婚状態)のときに田原桂一(当時46歳。1951年京都生まれ)と出会う。6年後再会して、恋に燃え上がる。ふーむ。年齢差が19歳もあるのう。ふたりとも頭の中は少年少女なのか。田原桂一氏には離婚歴があるようです。
自分には理解しがたい世界です。
お金に余裕がある人たちです。
凡人は低賃金で生活費を稼ぐために、必死になって長時間労働に耐えながら働いています。
少し前に動画配信サービスで観た邦画『青春の門』で、杉田かおるさんの良かったセリフとして『結婚して、こどもを産んで育てて、人間ってそんなもんとちがうやろか』がありました。
凡人はふつう結婚するときに<この人とペアを組んで、苦しいことやつらいことがあったとしても、長い人生をこの人といっしょにがんばっていこう>と決心して、じっさいそのように生活していきます。相手にイヤなところがあったとしても、いいところもあるわけで、お互い(おたがい)そんなふうだから、互いをいたわりあって、優しくしあって毎日を送っていきます。喜怒哀楽を共有しながら思い出づくりをしつつ老いていきます。そして、最後がお葬式です。
本文に『愛しあった男と女』とあります。
愛し合うということは、苦労を共にして、たまにふたりで、幸せ気分を味わうことです。
怒られるかもしれませんが、この設定の場合、男の初期動機は、若い女性の体が目的だったのではなかろうか。
女性の33歳はまだ若い。男性は52歳ぐらいです。
女性のほうは、男には、お金がある。見た目がかっこいい。強引なところにひかれるということがあるのでしょう。まあからだの関係に溺れるということもあるのでしょう。
読んでいるとなんだか、金持ちの道楽のようです。(時間つぶしの遊び)
一部の女性というものは、そういうものだろうか。
快楽に溺れることで幸福感が芽生える。
男から見て、彼氏はいいかげんな男にしか見えない。
だんなと息子はどうなるんだ。(だけど、だんなも浮気をしている。なんだかむちゃくちゃです)
一芸に秀でた(ひいでた)人は、どこか変なところがあるに違いない。
まわりにいる人間がフォローしなければならない。(尻ぬぐい)
(つづく)
現実に存在する人たちのお話です。
ちょっとスキャンダラスです。いいのだろうか。(恥部をさらけだして名誉をけなす)
主人公である1970年千葉県香取市生まれ田原博子さん(作中では清十郎の元妻。同じく作中では貴博という名の初代清之助の母。舅(しゅうと。夫の父)が作中では清左衛門)から著者が聞き取りをしてつくった本なのでしょう。
女性ご本人が離婚されているから書けることでもあるのでしょう。
著者と田原博子さんは、こどもさんがらみのママ友であったというような記事もあります。
田原博子さんの再婚相手が、田原桂一さん(写真家、建築プロデューサー)という家系図のメモができあがりました。
田原桂一さんは、2017年(平成29年)に65歳で肺がんのためお亡くなりになっています。(81ページにそのころ三人で暮らしていた。田原さんが亡くなったとき、息子さんは17歳だったとあります。13年間3人で暮らされたそうです。本の中では息子さんは現在21歳です)
1995年 結婚
2000年 長男誕生
2002年 別居(夫の浮気が原因でしょう)
2013年 博子氏が歌舞伎役者と離婚。
2014年 田原桂一氏と結婚。
2016年 田原桂一氏の離婚した前妻が死去。
2017年 田原桂一氏死去。65歳。亡くなるまでの13年間、博子氏の長男も含めて三人で暮らす。
主人公女性の出身地である水郷の里千葉県香取市は、テレビの旅番組で何度も観ました。歴史ある情緒ただよういい風景の街だと感じました。
主人公は、いいところのお嬢さんとしてお生まれになっています。
文章を読んでいると、親や祖父母の愛情に満たされていなかったお子さんに思えます。
お金が一番優先という生活です。
名誉とプライド(誇り)が大事なのです。
アバンギャルド:革新的、先駆け。すでにあるものを否定して新しいものをつくり出して表現する。
親ががんこだと、こどもの心は壊れます。
両親は、がんこな人たちです。
娘は『商品』なのだろうか。
(全部を読み終えて思ったことです。娘さんもがんこです。親子そろってがんこなのは、親子だからでしょう)
主人公女性は、自分の家にいることがいやだったのではないか。
実家もそうだし、嫁ぎ先の婚家もそうなのでしょう。
実家にも婚家にも『自由』がありません。
いい娘、いい妻、いい母、いい嫁を演じられない。
主人公女性個人だけのことではなく、女性が社会で生きるときのむずかしさという女性問題を扱った作品という受け止め方をした55ページ付近です。
男が主人公女性を束縛(そくばく)から解放したという構図ですが、体(からだ)目当てという下心もなきにしもあらずの部分はあります。本音として、男女の関係は体の関係がベースということもあります。
東京會舘(とうきょうかいかん):大正11年創業。宴会場、結婚式場、レストランなどを経営する企業。
2004年、主人公は34歳です。
カルティエ:フランスの高級宝飾ブランド。宝石商の王
ドン・ペリニヨン:フランスで生産されるシャンパンの銘柄。『ドンペリ』
ディレクション:制作現場の総指揮・管理
宥める(なだめる):怒りや不安をやわらげ、穏やかになるようにする。
コモ湖:イタリア。ミラノの北、スイスの南。中学生のころに学校で習ったイタリアの北部にミラノ、トリノ、ジェノバという工業地帯があるということを思い出しました。
主人公女性の家庭が崩壊していきます。
夫も浮気をしているわけです。最悪です。
みんなストレスがたまっているのね。
歌舞伎役者の浮気はOKなのか。むかしは、そういう時代がありました。
歌舞伎界というのはいじめがある世界なのだろうか。まあ、どこでもあるのだけれど。
アンジュノワール:フランス語。黒い天使。田原桂一氏が関わったお店(総指揮、管理)。東京港区南青山骨董通り(こっとうどおり)にあった。
地頭(じあたま):生まれつきの頭の良さ。
歌舞伎界の家族は、日常生活を世間にさらされるような不自由な生活を送られています。
時間の流れがけっこう早い。
息子の清之助さんが14歳になりました。
セルリアンタワー能楽堂:渋谷駅から徒歩5分の位置にある。
2004年(平成16年)
木村伊兵衛賞:木村伊兵衛氏は、写真家。1901年(明治34年)-1974年(昭和49年)72歳没。賞の主催は朝日新聞社。新人写真家が賞の対象者。
鍵を握る田原桂一氏の言葉として『祈るというのは、光をとらえる行為なんですよ』
ちょっと自分にはピンとこない言葉です。写真家のセンス(感覚)なのでしょう。
ノエル:フランス語で、クリスマス。
アパレルメーカー:アパレル(衣料品)の企画、製造、卸し(おろし)、販売を行う会社
この本に書いてある恋愛ごとは、もう終わったことです。(過去のこと)
しあわせって、どういう状態にあることをいうのだろうと考えこんでしまいました。
最低限のこととして言えることは『生きていること』です。
物もお金も豊かです。
住んでいる家も広いという生活です。
でも、住んでいるのは、夫とは別居中の妻と夫の間に生まれた長男、妻の彼氏の三人です。
凡人には体験できない世界があります。
自家用ジェット機があります。
クルーズ船もあります。
ヨーロッパで過ごす期間も長い。
ワインと料理をおいしくいただく。
長男は母親の彼氏を「おじちゃん」と呼びます。
読み手の頭の中が壊れそうです。
うーむ。意識がついていけません。
それぞれの人生です。
血はつながってはいないけれど、妻の連れ子には優しい父親役を果たしている妻の彼氏です。母親よりも19歳年上の彼氏は、こどもから見れば、父というよりも祖父に近い年齢の男性です。
こどもにとっては、妻子の経済生活を維持してくれる必要な存在です。
こどもを守ってくれる保護者が必要です。
2010年(平成22年)になりました。
田原桂一氏は、パリを引き上げて帰国しました。
病気で亡くなるまであと7年です。
互いのあきらめ→落ち着き→静寂(せいじゃく。静かでひっそりしたようす)。法律上の主人公夫婦の関係の変化です。愛情の無い者同士がいっしょにいてもしかたがない。
主人公女性の両親は世間体(せけんてい)を気にします。
両親を責めることはできません。
よくある話です。
結婚するときはよく考えたほうがいい。
この人でいいのかとよく考えたほうがいい。
2013年(平成25年)になりました。主人公女性は離婚して、彼氏と再婚しました。女性の長男は中学二年生です。
2014年(平成26年)長男が15歳になる年(とし)です。どういうわけか『元服(げんぷく。奈良時代以降の儀式。成人扱いとなる)』ということにこだわっておられます。やはり歌舞伎界の人です。一般人は、元服にはこだわりません。
肺がんで歳若くして亡くなった彼氏のヘビースモーカーぶりについて書いてあります。
喫煙は自殺行為です。
今、同時進行で読んでいる本が『江戸のジャーナリスト 葛飾北斎 千野境子(ちの・けいこ) 国土社』です。葛飾北斎は数え九十歳まで生きました。できるだけたくさんの絵を描きたかったので、健康に気をつけていたそうです。飲酒はほとんどしなかったとあります。葛飾北斎師匠を見習ってほしい。
結婚披露パーティーの雰囲気部分を読みながら、なんともいえない虚無感がありました。(きょむ。なにもない)
利害関係者の集まりです。
ランバン:フランスのファッションブランド
ペニンシュラ:東京有楽町駅の近くにあるホテル
2016年(平成28年)-2017年(平成29年)終章へと向かいます。
写真家としては『光』にこだわる彼氏という印象をもちました。『白』と『黒』の世界です。
田中泯(たなか・みん):舞踏家。1945年(昭和20年)77歳(こないだの日曜日に大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場されたのでびっくりしました)
レッド・ブッダ・シアター:イギリスの実験芸術集団。主宰者は、ツトム・ヤマシタ。1947年生まれ。75歳。
オプジーボ:がん治療薬
決めゼリフの『桂一と博子は、“無敵”ですから』は、けっこうつらい。
ふたりは、なにものかといつも闘っていた。
本のタイトル『奇跡』は、内容とマッチ(合致)していないような読後感をもちました。
自分がタイトルを付けるなら『めぐり逢い』あるいは『めぐり逢い紡いで(めぐりあいつむいで)』です。
昔、大塚博堂さん(おおつか・はくどうさん)とか、布施明さんが歌っていた『めぐり逢い紡いで(めぐりあいつむいで)』という歌唱が頭の中に流れた読後感でした。大塚博堂さんもご病気で亡くなってしまいました。(1981年。昭和56年。37歳没 脳内出血)
ミシュラン:フランスのタイヤメーカー。ミュシュランガイドブックを発行している。
感情はアウトオブコントロール(58ページ):制御不能。手がつけられない。
後半になるにつれて、雰囲気をつくりあげていく文脈になりました。
物足りなさが残る読後感になりました。
2012年に読んだ同作者の『下流の宴(かりゅうのうたげ)』は、緻密(ちみつ。こまかい)でいい作品でした。読み終えて、つい比較してしまいました。
実録物(じつろくもの)の不倫物語だろうか。
前知識なしで読み始めました。
梨園の妻(りえんのつま)とは、なんのことだろう。梨園は「歌舞伎の世界」で、歌舞伎役者と結婚した女性を梨園の妻というそうです。例として、三田寛子さん、藤原紀香さん、故小林真央さん。
正式な夫(歌舞伎役者)とのあいだに、3歳の長男(貴博。初代「清之助」)もいるというのに、33歳の人妻が、52歳の写真家(フランスのパリと東京を往復する生活している男性)といい仲になります。とりあえず、35ページまで読みました。
(つづく)
テレビ番組『徹子の部屋』にときおり、歌舞伎役者さんのこどもたちがゲストで登場します。かわいい。
未来の歌舞伎役者となる運命として生まれてきて、たいへんでしょうが、そういう立場(後継ぎ)で生まれてくるお子さんはけっこう多い。運命を受け入れて、健やかに(すこやかに)育ってほしい。
歌舞伎役者の妻は、ふつうの奥さんとは思えない生活です。
家に家事をしてくれるお手伝いさんがいます。
男から見て、家庭に『妻』という存在はいらないのではないか。
凡人とは暮らし方が違います。
この本では、奥さんが浮気をしますが、現実社会では、だんなさんのほうが愛人をつくるパターンが多い。(このあと、読んでいったら、だんなさんも浮気をしていました。芸能界にいる夫婦の暮らし方の基本的なありようがおかしい)
ノンフィクション(実際にあったこと)のようなことが書いてありますが、自分は知らない芸能の世界です。実名で書いてあるとありますが、名前を読んでもわかりません。
田原博子:1997年27歳(既婚状態)のときに田原桂一(当時46歳。1951年京都生まれ)と出会う。6年後再会して、恋に燃え上がる。ふーむ。年齢差が19歳もあるのう。ふたりとも頭の中は少年少女なのか。田原桂一氏には離婚歴があるようです。
自分には理解しがたい世界です。
お金に余裕がある人たちです。
凡人は低賃金で生活費を稼ぐために、必死になって長時間労働に耐えながら働いています。
少し前に動画配信サービスで観た邦画『青春の門』で、杉田かおるさんの良かったセリフとして『結婚して、こどもを産んで育てて、人間ってそんなもんとちがうやろか』がありました。
凡人はふつう結婚するときに<この人とペアを組んで、苦しいことやつらいことがあったとしても、長い人生をこの人といっしょにがんばっていこう>と決心して、じっさいそのように生活していきます。相手にイヤなところがあったとしても、いいところもあるわけで、お互い(おたがい)そんなふうだから、互いをいたわりあって、優しくしあって毎日を送っていきます。喜怒哀楽を共有しながら思い出づくりをしつつ老いていきます。そして、最後がお葬式です。
本文に『愛しあった男と女』とあります。
愛し合うということは、苦労を共にして、たまにふたりで、幸せ気分を味わうことです。
怒られるかもしれませんが、この設定の場合、男の初期動機は、若い女性の体が目的だったのではなかろうか。
女性の33歳はまだ若い。男性は52歳ぐらいです。
女性のほうは、男には、お金がある。見た目がかっこいい。強引なところにひかれるということがあるのでしょう。まあからだの関係に溺れるということもあるのでしょう。
読んでいるとなんだか、金持ちの道楽のようです。(時間つぶしの遊び)
一部の女性というものは、そういうものだろうか。
快楽に溺れることで幸福感が芽生える。
男から見て、彼氏はいいかげんな男にしか見えない。
だんなと息子はどうなるんだ。(だけど、だんなも浮気をしている。なんだかむちゃくちゃです)
一芸に秀でた(ひいでた)人は、どこか変なところがあるに違いない。
まわりにいる人間がフォローしなければならない。(尻ぬぐい)
(つづく)
現実に存在する人たちのお話です。
ちょっとスキャンダラスです。いいのだろうか。(恥部をさらけだして名誉をけなす)
主人公である1970年千葉県香取市生まれ田原博子さん(作中では清十郎の元妻。同じく作中では貴博という名の初代清之助の母。舅(しゅうと。夫の父)が作中では清左衛門)から著者が聞き取りをしてつくった本なのでしょう。
女性ご本人が離婚されているから書けることでもあるのでしょう。
著者と田原博子さんは、こどもさんがらみのママ友であったというような記事もあります。
田原博子さんの再婚相手が、田原桂一さん(写真家、建築プロデューサー)という家系図のメモができあがりました。
田原桂一さんは、2017年(平成29年)に65歳で肺がんのためお亡くなりになっています。(81ページにそのころ三人で暮らしていた。田原さんが亡くなったとき、息子さんは17歳だったとあります。13年間3人で暮らされたそうです。本の中では息子さんは現在21歳です)
1995年 結婚
2000年 長男誕生
2002年 別居(夫の浮気が原因でしょう)
2013年 博子氏が歌舞伎役者と離婚。
2014年 田原桂一氏と結婚。
2016年 田原桂一氏の離婚した前妻が死去。
2017年 田原桂一氏死去。65歳。亡くなるまでの13年間、博子氏の長男も含めて三人で暮らす。
主人公女性の出身地である水郷の里千葉県香取市は、テレビの旅番組で何度も観ました。歴史ある情緒ただよういい風景の街だと感じました。
主人公は、いいところのお嬢さんとしてお生まれになっています。
文章を読んでいると、親や祖父母の愛情に満たされていなかったお子さんに思えます。
お金が一番優先という生活です。
名誉とプライド(誇り)が大事なのです。
アバンギャルド:革新的、先駆け。すでにあるものを否定して新しいものをつくり出して表現する。
親ががんこだと、こどもの心は壊れます。
両親は、がんこな人たちです。
娘は『商品』なのだろうか。
(全部を読み終えて思ったことです。娘さんもがんこです。親子そろってがんこなのは、親子だからでしょう)
主人公女性は、自分の家にいることがいやだったのではないか。
実家もそうだし、嫁ぎ先の婚家もそうなのでしょう。
実家にも婚家にも『自由』がありません。
いい娘、いい妻、いい母、いい嫁を演じられない。
主人公女性個人だけのことではなく、女性が社会で生きるときのむずかしさという女性問題を扱った作品という受け止め方をした55ページ付近です。
男が主人公女性を束縛(そくばく)から解放したという構図ですが、体(からだ)目当てという下心もなきにしもあらずの部分はあります。本音として、男女の関係は体の関係がベースということもあります。
東京會舘(とうきょうかいかん):大正11年創業。宴会場、結婚式場、レストランなどを経営する企業。
2004年、主人公は34歳です。
カルティエ:フランスの高級宝飾ブランド。宝石商の王
ドン・ペリニヨン:フランスで生産されるシャンパンの銘柄。『ドンペリ』
ディレクション:制作現場の総指揮・管理
宥める(なだめる):怒りや不安をやわらげ、穏やかになるようにする。
コモ湖:イタリア。ミラノの北、スイスの南。中学生のころに学校で習ったイタリアの北部にミラノ、トリノ、ジェノバという工業地帯があるということを思い出しました。
主人公女性の家庭が崩壊していきます。
夫も浮気をしているわけです。最悪です。
みんなストレスがたまっているのね。
歌舞伎役者の浮気はOKなのか。むかしは、そういう時代がありました。
歌舞伎界というのはいじめがある世界なのだろうか。まあ、どこでもあるのだけれど。
アンジュノワール:フランス語。黒い天使。田原桂一氏が関わったお店(総指揮、管理)。東京港区南青山骨董通り(こっとうどおり)にあった。
地頭(じあたま):生まれつきの頭の良さ。
歌舞伎界の家族は、日常生活を世間にさらされるような不自由な生活を送られています。
時間の流れがけっこう早い。
息子の清之助さんが14歳になりました。
セルリアンタワー能楽堂:渋谷駅から徒歩5分の位置にある。
2004年(平成16年)
木村伊兵衛賞:木村伊兵衛氏は、写真家。1901年(明治34年)-1974年(昭和49年)72歳没。賞の主催は朝日新聞社。新人写真家が賞の対象者。
鍵を握る田原桂一氏の言葉として『祈るというのは、光をとらえる行為なんですよ』
ちょっと自分にはピンとこない言葉です。写真家のセンス(感覚)なのでしょう。
ノエル:フランス語で、クリスマス。
アパレルメーカー:アパレル(衣料品)の企画、製造、卸し(おろし)、販売を行う会社
この本に書いてある恋愛ごとは、もう終わったことです。(過去のこと)
しあわせって、どういう状態にあることをいうのだろうと考えこんでしまいました。
最低限のこととして言えることは『生きていること』です。
物もお金も豊かです。
住んでいる家も広いという生活です。
でも、住んでいるのは、夫とは別居中の妻と夫の間に生まれた長男、妻の彼氏の三人です。
凡人には体験できない世界があります。
自家用ジェット機があります。
クルーズ船もあります。
ヨーロッパで過ごす期間も長い。
ワインと料理をおいしくいただく。
長男は母親の彼氏を「おじちゃん」と呼びます。
読み手の頭の中が壊れそうです。
うーむ。意識がついていけません。
それぞれの人生です。
血はつながってはいないけれど、妻の連れ子には優しい父親役を果たしている妻の彼氏です。母親よりも19歳年上の彼氏は、こどもから見れば、父というよりも祖父に近い年齢の男性です。
こどもにとっては、妻子の経済生活を維持してくれる必要な存在です。
こどもを守ってくれる保護者が必要です。
2010年(平成22年)になりました。
田原桂一氏は、パリを引き上げて帰国しました。
病気で亡くなるまであと7年です。
互いのあきらめ→落ち着き→静寂(せいじゃく。静かでひっそりしたようす)。法律上の主人公夫婦の関係の変化です。愛情の無い者同士がいっしょにいてもしかたがない。
主人公女性の両親は世間体(せけんてい)を気にします。
両親を責めることはできません。
よくある話です。
結婚するときはよく考えたほうがいい。
この人でいいのかとよく考えたほうがいい。
2013年(平成25年)になりました。主人公女性は離婚して、彼氏と再婚しました。女性の長男は中学二年生です。
2014年(平成26年)長男が15歳になる年(とし)です。どういうわけか『元服(げんぷく。奈良時代以降の儀式。成人扱いとなる)』ということにこだわっておられます。やはり歌舞伎界の人です。一般人は、元服にはこだわりません。
肺がんで歳若くして亡くなった彼氏のヘビースモーカーぶりについて書いてあります。
喫煙は自殺行為です。
今、同時進行で読んでいる本が『江戸のジャーナリスト 葛飾北斎 千野境子(ちの・けいこ) 国土社』です。葛飾北斎は数え九十歳まで生きました。できるだけたくさんの絵を描きたかったので、健康に気をつけていたそうです。飲酒はほとんどしなかったとあります。葛飾北斎師匠を見習ってほしい。
結婚披露パーティーの雰囲気部分を読みながら、なんともいえない虚無感がありました。(きょむ。なにもない)
利害関係者の集まりです。
ランバン:フランスのファッションブランド
ペニンシュラ:東京有楽町駅の近くにあるホテル
2016年(平成28年)-2017年(平成29年)終章へと向かいます。
写真家としては『光』にこだわる彼氏という印象をもちました。『白』と『黒』の世界です。
田中泯(たなか・みん):舞踏家。1945年(昭和20年)77歳(こないだの日曜日に大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場されたのでびっくりしました)
レッド・ブッダ・シアター:イギリスの実験芸術集団。主宰者は、ツトム・ヤマシタ。1947年生まれ。75歳。
オプジーボ:がん治療薬
決めゼリフの『桂一と博子は、“無敵”ですから』は、けっこうつらい。
ふたりは、なにものかといつも闘っていた。
本のタイトル『奇跡』は、内容とマッチ(合致)していないような読後感をもちました。
自分がタイトルを付けるなら『めぐり逢い』あるいは『めぐり逢い紡いで(めぐりあいつむいで)』です。
昔、大塚博堂さん(おおつか・はくどうさん)とか、布施明さんが歌っていた『めぐり逢い紡いで(めぐりあいつむいで)』という歌唱が頭の中に流れた読後感でした。大塚博堂さんもご病気で亡くなってしまいました。(1981年。昭和56年。37歳没 脳内出血)
ミシュラン:フランスのタイヤメーカー。ミュシュランガイドブックを発行している。
感情はアウトオブコントロール(58ページ):制御不能。手がつけられない。
後半になるにつれて、雰囲気をつくりあげていく文脈になりました。
物足りなさが残る読後感になりました。
2012年に読んだ同作者の『下流の宴(かりゅうのうたげ)』は、緻密(ちみつ。こまかい)でいい作品でした。読み終えて、つい比較してしまいました。
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