2022年04月04日

第三の人生は、後半へ続く! キートン山田

第三の人生は、後半へ続く! キートン山田 潮出版社

 自分がファンであるテレビ番組太川陽介&えびすよしかずのローカル路線バス乗り継ぎ人情旅で、ナレーションを担当されていた方なので、読んでみることにしました。ちびまる子ちゃんのナレーションの方でもあります。

 『人生100年時代』というキャッチフレーズは、先日読んだえびすよしかずさんの『死にたくない 一億総終活時代の人生観』という本にも書いてありました。
 第一の人生が『独身時代』第二の人生が『仕事と子育て』第三の人生が『仕事をすることをやめたあとから、あの世にいくまで』です。項目を見ながら考えると、昔の人生のパターンです。女性はまた違ったパターンになるのでしょう。
 今どきは、第一の独身時代で人生を終わる人もいます。第二の人生の途中に、相方と別れて、第二の2というような枝分かれの人生を歩む人もいます。
 できることなら、すんなり、一、二、三とはいきたい。
 忍耐と努力が必要です。山あり谷ありを乗り越えたあと『報われた(むくわれた)』という実感が体内に湧くことがあります。

 ページをめくります。
 『炭鉱町の少年』という項目があります。自分も小学生ぐらいまでは炭鉱町を転々としたことがあるので親しみが湧きました。半世紀ぐらい前は、石炭から石油へのエネルギー革命の時代ですから、炭鉱の閉山に伴って、全国各地を転々と転職、転校をくりかえした人たちは多かったと思います。
 もうひとつは『養子』という項目です。養子は一般的によくあった話です。兄弟姉妹の子どもがたくさんの家族構成の家が多かった。いっぽう、こどもがいないとか、後継ぎになる男の子がいないという家庭もままありました。次男・三男以下は、養子の対象となるこどもでした。
 キートン山田さんの場合は、養母が母親の妹さんで、叔母さんです。
 わたしも、自分があかちゃんだったときは、実母の妹さん(叔母さん)が、わたしの世話をしていたと聞いたことがあります。ただ、自分自身には記憶はありません。
 
 北海道にある現在むかわ町(昔は穂別町)というのは、恐竜である『むかわ竜』を思い出します。キートン山田さんの育った土地だそうです。

 五右衛門風呂(ごえもんぶろ)には、自分もこどもの頃に入ったことがあるのでなつかしい。
 浴槽の底は熱いので板を踏んで入るのですが、かなり怖かった思い出があります。
 このころの父親像は、お酒飲みで、ばくち打ちというのが一般的でした。家族は迷惑していました。親が酒飲みだとこどもは苦労します。
 まあ、おおらかというか、自由というか、なんでもありの時代です。著者は、まだ5歳なのに小学校に入れられています。昭和26年、第二次世界大戦が終わって6年後です。(でも学力がついていけず、きちんと6歳で入学し直しています)

 水道がまだなかった時代は、自分も体験しました。
 井戸とか、山の湧き出る水をくみに行って、家でためて使っていました。

 この半世紀で、日本人の暮らし方は、急速に変化したことがわかるお話の内容です。

 買い物は、『通い帳(かよいちょう)』でした。自分は『ちょうめん』と読んでいました。
 指定されたお店にいくと、つけ(あと払い)で買い物ができました。通い帳に買ったものの品名と値段が記録されていました。親の給料日のあとに、お店の人が自宅に集金に来ていました。

 かなりひどいビンボー暮らしを体験されています。自分も貧乏でしたが、自分よりもひどい。

 自分が養子であること、仕事が成功したあと、奥さんが浮気していたことがわかって、奥さんと浮気相手との仲を認めるような形で離婚したこと、32歳年下の自分のこどもと同じような年齢の女性と再婚されたことなど、自分をさらけだされるような形で、この自伝をつくりあげられています。
 人生の記録を残したいという気持ちが伝わってきました。

 自分が有名になって、養親であるお酒飲みでマージャン好きのおとうさんが喜んでおられたというお話には、ほろりとくるものがありました。

 楽しみが映画だった。
 そこから、劇団とか、俳優とか、声優に興味をもった。
 
 東京オリンピックがあって、高度経済成長期があった。
 世話やきが好きな人がたくさんいました。
 著者は『人とのよきつながり運』があります。
 
 56ページにある格言めいた言葉が気に入りました。『厚い壁 破ってみれば 意外にも 薄かったなと自信が持てた』
 自分たちは、学校の先生たちに、そんなふうでは、社会に出てからやっていけないぞとさんざん学校でおどされました。
 社会に出たら驚きました。なんだ、いいかげんな人ばっかりじゃないか。だいじょうぶだ。自分はちゃんとやっていけそうだと自信が湧きました。
 世の中は、誤解と錯覚でできあがっているのです。まずは、本当だろうかと疑って、自分の目と耳で事実を確かめたほうがいい。

 お金がない話が出てきます。
 長い人生を送っていると、お金のない時期とお金のある時期を体験することがあります。
 お金のない時期には、めげずに、耐えるのです。
 人生は、終わってみれば、プラスマイナスゼロでよし、と思っています。

 『あきらめなければ夢はかなう』
 『人間にはだれにでも、その人にしかできない使命がある』

 さし絵がやわらかくて、ほんわかして、いいかんじでした。
 ただ、絵が描いてあるページの場所がときに、読みを中断させる位置にあることで、文章を読みづらい面がありました。

 おおぜいの中で認めてもらうためには、人とは違う面を出して、目立つようにしなければなりません。
 『下手でもいいから、生活感のある人間臭いしゃべりをする』
 『名前をアメリカ合衆国の喜劇役者バスター・キートンからとって、キートン山田に変えた』
 『決めゼリフが「後半へ続く」』
 ローカル路線バス乗り継ぎの旅:2007年~2013年
 ちびまる子ちゃん:1990年~2021年

 さくらももこさんの思い出話があります。(2018年(平成30年)53歳没)
 さくらももこさんの本は何冊も読みました。なかなか楽しい内容でした。
 漫画家さんは、若くしてご病気で亡くなる方が多いので、激務なのでしょう。集中力を欠かさずに長時間漫画を書き続けておられるのだと思います。

 本を読んでいて感じたことです。
 まじめすぎてがんこなところがあるような方という印象です。マラソンとか富士山登山に挑戦とか。75歳を人生とか生活の区切りに考えているとか。
 若い奥さんとの生活は、夫婦というよりも『仲間』という感じがしました。60歳で結婚式。相手は28歳とあります。

 最後にある実績一覧は、仕事とはいえ、大量です。
 自分もコツコツと少しずつ積み上げていくことが好きなタイプなので、著者と似たような性格があるのだろうと思いました。

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