2022年03月22日
死にたくない 一億総終活時代の人生観 蛭子能収
死にたくない 一億総終活時代の人生観 蛭子能収(えびす・よしかず) 角川新書
人生観:それぞれが考える自分の生き方でいいような気がします。
2019年10月に出版された本です。
えびすよしかずさんの認知症発見が、2020年の夏です。ですから、本には、本人の認知症のことは書かれていません。認知症については少しだけもしかしたらというふうで触れてありますが、最終的に現在は、健康体と書かれています。
「はじめに」で、自分のように健康で長く働ける老齢者になりましょうとアピールされています。その点で、この本は、あてがはずれた失敗本ではないかと思うのですが、出版当時は認知症が見つかっていなかったのでしかたがありません。ページの小見出しに『高齢者総蛭子化計画を発動する』と書いてあります。えびすさんをまねて認知症になるわけにはいきません。残念。
読み始めてみます。
お金がほしい。お金がいりますと書いてあります。(そのくせ、ご家庭の資産額をご存じないというご本人です)
えびすよしかずさん自身が文章を書いたようには見えません。
質問形式のインタビューをして、本人の返答をライターが上手にまとめたような文脈です。
健康で長生きした人が、人生の勝利者だと思うことはあります。
お金に関しては、長生きした人が、年金でもうかるということはあります。自分が納めた保険料以上の収入を得ることができます。
平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳です。
自分の年齢を逆算して、余命年数を出してプランを立てるという流れです。
自分の死に方を考える。
えびすよしかずさんのユニークな面が出てきます。
『葬式で笑ってしまう(みんなが本音を隠してお芝居をしているように見えるそうです)』『僕は人の葬式にまったく行かない代わりに、自分の葬式にも来てもらわなくてもいいと考えています。』『他人から時間もお金も奪いたくないし……』
自分が思うに、芸術家には発達障害のような人が多い。一歩距離をおいて付き合うのは楽しいけれど、いっしょに仕事をすることは避けたい。
他人に負担をかけない。
他人は、自分が相手を思っているほど、自分のことを思ってくれてはいないということはあります。
素寒貧(すかんぴん):まったくお金がない。
えびすよしかずさんのことがいろいろ書いてあります。
自分と重なる部分も多い。
自分が親しみを感じる原因です。
『他人と自分とを比べない』
2018年に、人生で初めて4日間入院した。(めまいのため。それまで入院体験がなかったことが珍しい。4日間では入院したうちに入らないような)
書いてあることは、話半分で読んでいます。(全面的に信用しない)そういうお人柄です。誇張や正確ではない話もあるでしょう。
『仕事がしたい』→『お金がほしい』(できれば現金で、報酬を手にしたい。現金を見ると力がみなぎりますとあります)
同じような時代を過ごしてきた者として、共感する部分があります。
高校生時代からアルバイトをしてきたえびすよしかずさんです。「路線バスの車掌(バス車内での切符売り。降車案内(今のように運転手に降車を伝えるボタンはなかった))」→「長崎の看板屋」→「東京渋谷の看板屋」
たぶんバス旅でお話をされていたような気がするのですが、そのほかに「チリ紙交換」→「お掃除サービスのセールスマン」→「漫画家」→「タレント」というような職業体験をおもちです。
アルバイトに関しては、自分も似たようなものでした。中学生・高校生の時は新聞朝刊の配達、学校の長期休みには土方仕事(どかたしごと。穴掘り、セメント運びなど)をしていました。お金がなければ働くしかないのです。初めて働いたのは小学二年生のときで、近所の駄菓子屋(だがしや)のまわりの草を集落のこどもたちといっしょに地面からひっこぬいて、報酬として5円をもらいました。その5円で、その駄菓子屋でお菓子を買いました。今思うと、じょうずにだまされました。
最近、お金がないから大学に行けないとか、国が就学資金を援助してくださいとかいう話を聞くと違和感があるのです。強い進学希望があるのなら、まずは、本人が働くべきです。働いて貯めてから進学しても遅くはないはずです。
大学に入ったからといって、その先に安定した生活があるわけではありません。仕事が続かない新卒大学生が目立ちます。
72ページに『働かざる者、食うべからず』という言葉が書いてあります。
75ページには『仕事なんてなんだっていい』と書いてあります。
86ページには『馬車馬のように働く』とあります。
認知症の話が出てきます。
同じ話を繰り返す(自慢話が多い)
約束や、予定の日時を忘れる。
このころはまだえびすよしかずさんに自分が認知症であるという自覚はありません。
むかし結婚式で、出席者のなかに、無表情のおじいちゃん70歳なかばぐらいの人を見たことがあります。表情に喜怒哀楽の感情がありませんでした。会話もできません。ろう人形のようでした。脳細胞の何割かが死んでいたのでしょう。びっくりしました。認知症の方だったのでしょう。
金銭管理のお話が出ます。
自分の預金額をご存じないそうです。
奥さまが管理されています。
たぶん、十分なお金があると思います。
仕事の鬼になるのなら、預金通帳とキャッシュカード、クレジットカードは、奥さんに渡しておいたほうがいい。妻を信頼するのです。
えびすよしかずさんは、なんだかんだいっても、『金運』と『女性運』はある人です。
話題は、『健康』の話です。体、頭、そして、介護の話です。
介護保険の手続きは必要です。
自分は、施設や病院には入りたくありません。
できるだけ自宅で最期を迎えたい。
えびすよしかずさんは、自分は、施設入所もやむなしとご自分で言われています。この本がまるで、えびすよしかずさんのエンディングノートのようになっています。公表されています。
以前読んだことのあるマンガ作品『ティラノ部長』鈴木おさむ著に、いいことが書いてありました。家庭よりも仕事が優先のティラノ部長は、五十代で離婚歴があります。別れるときに妻に言われた言葉が『わたしたちには情(じょう。なさけ)はあるけれど愛がないの』夫婦愛を継続していくためには努力が必要なのです。
何かひとつでも相手に尊敬できることがあったら、そのほかの嫌なことは我慢できます。
前妻を病気で亡くされて、気持ちが沈んで、泣き続けた体験が綴られています。
『僕にはほとんどともだちがいないのです』『けんかしないために、ともだちをつくらないということです』
自分の体験だと『結婚というものは、頭をばかにして、何が何でもこの女性(ひと)と、何があっても結婚するんだ』という強い意思がないと結婚式までたどりつけないということでした。結婚すると言い出すと、たいてい、反対して、足を引っ張ろうとする人が現れます。
高齢施設入所者同士の結婚はむずかしい。相続がからんできます。戸籍の届はせずに、事実婚だけにしておくのが無難です。
えびすよしかずさんは、母親を引き取って東京で同居する話がでますが、実現していません。辞めたほうがいいと思います。
自分も何十年も前に同様の話を親にしたことがありますが、きっぱりと断られました。知らない土地で言葉も違う(方言)で、きょうだいしまいもいないところでは生活できないと言われました。そうかと。ちょっとほっとした面もありました。
えびすよしかずさんは、頭の中はやっぱりギャンブラーです。やっぱり話半分で聞いたほうがいい。
(つづく)
えびすよしかずさんが、中学時代のいやだったお話があります。暗い中学生生活です。いじめとか、のさばる不良とかです。
中学時代は、不良にいいようにこきつかわれていたという体験談があります。
クラス替えで救われています。
読んでいるうちに自分の小学校二年生ぐらいのときのことを思い出しました。
担任の女教師が、体罰教師でした。全員が着席して静まった教室で、(なにか理由があって)着席しているこどものほっぺたに、びんたを何発もくらわせるのです。女教師は、金切り声をあげながらこどもを激しく叱りつけるのです。自分がたたかれているようで恐ろしかった。それがいやで、学校へ行くのが嫌でした。されど、学校給食の時間に、校内放送が流れていました。彦一とんちばなしだったと思います。お話を聞くことが楽しみで、給食を食べることとお話をきくためだけに、がんばって、学校へ行っていました。
その当時の教師のみなさんはすでに他界されていると思います。たぶん、自分自身もそのような教育を受けて育ち、だから、自分がこどもにひどいことをしたという自覚はまったくなかったのでしょう。昭和時代に入ってから続いた軍国主義的社会が背景にあったとも推測されます。教師の体罰は、合法的な児童虐待でした。
自分は、貧困のすさんだ子ども時代に『物語』があって良かったと思います。着のみ着のまま(服がひとつしかない)で、粗食、家にはテレビもない、学校に行けば体罰教師ばかり(廊下に立たされたり、黒板の前で正座させられたり。げんこつという頭の両側をげんこつでぐりぐりやられる体罰など)それでも通学できたのは、学級文庫の本を貸してもらえるおかげでもありました。
えびすよしかずさんの割り切りがあります。ギャンブルは、失敗すれば、お金を失うだけのこと。(借金してまでの賭け事はしない)
暴力をふるう人は、弱い者を虐げたい(しいたげたい。むごい扱いをして苦しめる)だけ。[まるで、ロシアの大統領のようです。どうして、ロシアの大統領は「ごめんなさい」とあやまれないのだろう。「二日間でウクライナに勝てると思っていたら、勝てませんでした。失敗しちゃいました。許してちょうだい」と言えないのだろう。このままでは、ロシア国のほうが滅びてしまいます]
人は群れるとおかしくなるから自分は群れないそうです。そういうことは確かにあります。
ボスの性格がゆがんでいたら集団はどんどん暴走し始めてしまう。(また、ロシアの大統領の話につながりました)
つらくなったときや、ゆきづまったときには、『自分が望む幸せのランクを落とす』そうです。なるほど。
最低限の人づきあいとして、あいさつをする。自分がそれに加えると、ありがとうという。あいさつをされたり、「ありがとう」と言われたりして怒る人はいません。
えびすよしかずさんは、案外理屈っぽい人です。
夫婦や家庭の維持のしかたについて書いてあります。
『自分が死んだら、妻には再婚してもらってもかまわない』宣言があります。先に逝く(いく)人は、残る人の幸せを望みます。
お墓の話が出ます。自分のお墓はいらないそうです。競艇場の水に骨をまいてもらえばいいそうです。(競艇場の管理者は迷惑だと思います)
最近は、納骨堂方式が多くなっていると感じます。
お墓の維持管理をできる親族が減りました。
車の運転で迷惑をかけるからと、とっくの昔に運転免許証は返納したそうです。
自分も長くは乗るつもりはありません。
えびすよしかずさんからのメッセージとして『学歴なんてあってもなくてもどっちでもいいじゃないですか』『生きているだけで楽しいという思える人間になることが人生の目標です』
えびすよしかずさんは、本の中では人に気を使っていると書いてあるのですが、バス旅での暴言が目立ちます。発達障害気味です。やはり、書いてあることは話半分ということで読みます。
『「先生」と呼ばれる人やボス的な人は、じつはひとりぼっちの人が多い』
『僕みたいなダメ人間と何日間も旅をする太川陽介さんは偉大だなあ』(同感です)
昔は、マンガを描くときに湯水のごとくストーリーも湧いてきたそうです。夢でみたことをストーリーにしていたそうです。やがて、夢が尽きてしまった。
自営業の芸術家(えびすさんの場合は漫画家)というのは、自称でいいと思うのです。
引退も復帰も自由自在です。
バス旅のギャラを知らないそうです。
奥さんと事務所が金銭管理をしているのでしょう。
貯蓄計画とか金銭運用のことは考えずに、ひたすら稼ぐことに意識を集中することができます。
お金が欲しかったら、鬼のように働かなければなりません。家族をほったらかしにして、長時間労働の世界に身を置かねばなりません。
後半は、雑事のられつになっていきます。
インタビューで得られた情報のうちのさまつなものを整理したように見えます。
あのご本人が、これほどの長文を手書きで書いて一冊の本に仕上げているというイメージはありません。
お金が欲しくて働いているけれど、ギャラは知らないし、家にお金がいくらあるのかも知らない。(妻が管理)
不思議な個性です。
奥さんは、いいだんなさんを見つけました。
人生観:それぞれが考える自分の生き方でいいような気がします。
2019年10月に出版された本です。
えびすよしかずさんの認知症発見が、2020年の夏です。ですから、本には、本人の認知症のことは書かれていません。認知症については少しだけもしかしたらというふうで触れてありますが、最終的に現在は、健康体と書かれています。
「はじめに」で、自分のように健康で長く働ける老齢者になりましょうとアピールされています。その点で、この本は、あてがはずれた失敗本ではないかと思うのですが、出版当時は認知症が見つかっていなかったのでしかたがありません。ページの小見出しに『高齢者総蛭子化計画を発動する』と書いてあります。えびすさんをまねて認知症になるわけにはいきません。残念。
読み始めてみます。
お金がほしい。お金がいりますと書いてあります。(そのくせ、ご家庭の資産額をご存じないというご本人です)
えびすよしかずさん自身が文章を書いたようには見えません。
質問形式のインタビューをして、本人の返答をライターが上手にまとめたような文脈です。
健康で長生きした人が、人生の勝利者だと思うことはあります。
お金に関しては、長生きした人が、年金でもうかるということはあります。自分が納めた保険料以上の収入を得ることができます。
平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳です。
自分の年齢を逆算して、余命年数を出してプランを立てるという流れです。
自分の死に方を考える。
えびすよしかずさんのユニークな面が出てきます。
『葬式で笑ってしまう(みんなが本音を隠してお芝居をしているように見えるそうです)』『僕は人の葬式にまったく行かない代わりに、自分の葬式にも来てもらわなくてもいいと考えています。』『他人から時間もお金も奪いたくないし……』
自分が思うに、芸術家には発達障害のような人が多い。一歩距離をおいて付き合うのは楽しいけれど、いっしょに仕事をすることは避けたい。
他人に負担をかけない。
他人は、自分が相手を思っているほど、自分のことを思ってくれてはいないということはあります。
素寒貧(すかんぴん):まったくお金がない。
えびすよしかずさんのことがいろいろ書いてあります。
自分と重なる部分も多い。
自分が親しみを感じる原因です。
『他人と自分とを比べない』
2018年に、人生で初めて4日間入院した。(めまいのため。それまで入院体験がなかったことが珍しい。4日間では入院したうちに入らないような)
書いてあることは、話半分で読んでいます。(全面的に信用しない)そういうお人柄です。誇張や正確ではない話もあるでしょう。
『仕事がしたい』→『お金がほしい』(できれば現金で、報酬を手にしたい。現金を見ると力がみなぎりますとあります)
同じような時代を過ごしてきた者として、共感する部分があります。
高校生時代からアルバイトをしてきたえびすよしかずさんです。「路線バスの車掌(バス車内での切符売り。降車案内(今のように運転手に降車を伝えるボタンはなかった))」→「長崎の看板屋」→「東京渋谷の看板屋」
たぶんバス旅でお話をされていたような気がするのですが、そのほかに「チリ紙交換」→「お掃除サービスのセールスマン」→「漫画家」→「タレント」というような職業体験をおもちです。
アルバイトに関しては、自分も似たようなものでした。中学生・高校生の時は新聞朝刊の配達、学校の長期休みには土方仕事(どかたしごと。穴掘り、セメント運びなど)をしていました。お金がなければ働くしかないのです。初めて働いたのは小学二年生のときで、近所の駄菓子屋(だがしや)のまわりの草を集落のこどもたちといっしょに地面からひっこぬいて、報酬として5円をもらいました。その5円で、その駄菓子屋でお菓子を買いました。今思うと、じょうずにだまされました。
最近、お金がないから大学に行けないとか、国が就学資金を援助してくださいとかいう話を聞くと違和感があるのです。強い進学希望があるのなら、まずは、本人が働くべきです。働いて貯めてから進学しても遅くはないはずです。
大学に入ったからといって、その先に安定した生活があるわけではありません。仕事が続かない新卒大学生が目立ちます。
72ページに『働かざる者、食うべからず』という言葉が書いてあります。
75ページには『仕事なんてなんだっていい』と書いてあります。
86ページには『馬車馬のように働く』とあります。
認知症の話が出てきます。
同じ話を繰り返す(自慢話が多い)
約束や、予定の日時を忘れる。
このころはまだえびすよしかずさんに自分が認知症であるという自覚はありません。
むかし結婚式で、出席者のなかに、無表情のおじいちゃん70歳なかばぐらいの人を見たことがあります。表情に喜怒哀楽の感情がありませんでした。会話もできません。ろう人形のようでした。脳細胞の何割かが死んでいたのでしょう。びっくりしました。認知症の方だったのでしょう。
金銭管理のお話が出ます。
自分の預金額をご存じないそうです。
奥さまが管理されています。
たぶん、十分なお金があると思います。
仕事の鬼になるのなら、預金通帳とキャッシュカード、クレジットカードは、奥さんに渡しておいたほうがいい。妻を信頼するのです。
えびすよしかずさんは、なんだかんだいっても、『金運』と『女性運』はある人です。
話題は、『健康』の話です。体、頭、そして、介護の話です。
介護保険の手続きは必要です。
自分は、施設や病院には入りたくありません。
できるだけ自宅で最期を迎えたい。
えびすよしかずさんは、自分は、施設入所もやむなしとご自分で言われています。この本がまるで、えびすよしかずさんのエンディングノートのようになっています。公表されています。
以前読んだことのあるマンガ作品『ティラノ部長』鈴木おさむ著に、いいことが書いてありました。家庭よりも仕事が優先のティラノ部長は、五十代で離婚歴があります。別れるときに妻に言われた言葉が『わたしたちには情(じょう。なさけ)はあるけれど愛がないの』夫婦愛を継続していくためには努力が必要なのです。
何かひとつでも相手に尊敬できることがあったら、そのほかの嫌なことは我慢できます。
前妻を病気で亡くされて、気持ちが沈んで、泣き続けた体験が綴られています。
『僕にはほとんどともだちがいないのです』『けんかしないために、ともだちをつくらないということです』
自分の体験だと『結婚というものは、頭をばかにして、何が何でもこの女性(ひと)と、何があっても結婚するんだ』という強い意思がないと結婚式までたどりつけないということでした。結婚すると言い出すと、たいてい、反対して、足を引っ張ろうとする人が現れます。
高齢施設入所者同士の結婚はむずかしい。相続がからんできます。戸籍の届はせずに、事実婚だけにしておくのが無難です。
えびすよしかずさんは、母親を引き取って東京で同居する話がでますが、実現していません。辞めたほうがいいと思います。
自分も何十年も前に同様の話を親にしたことがありますが、きっぱりと断られました。知らない土地で言葉も違う(方言)で、きょうだいしまいもいないところでは生活できないと言われました。そうかと。ちょっとほっとした面もありました。
えびすよしかずさんは、頭の中はやっぱりギャンブラーです。やっぱり話半分で聞いたほうがいい。
(つづく)
えびすよしかずさんが、中学時代のいやだったお話があります。暗い中学生生活です。いじめとか、のさばる不良とかです。
中学時代は、不良にいいようにこきつかわれていたという体験談があります。
クラス替えで救われています。
読んでいるうちに自分の小学校二年生ぐらいのときのことを思い出しました。
担任の女教師が、体罰教師でした。全員が着席して静まった教室で、(なにか理由があって)着席しているこどものほっぺたに、びんたを何発もくらわせるのです。女教師は、金切り声をあげながらこどもを激しく叱りつけるのです。自分がたたかれているようで恐ろしかった。それがいやで、学校へ行くのが嫌でした。されど、学校給食の時間に、校内放送が流れていました。彦一とんちばなしだったと思います。お話を聞くことが楽しみで、給食を食べることとお話をきくためだけに、がんばって、学校へ行っていました。
その当時の教師のみなさんはすでに他界されていると思います。たぶん、自分自身もそのような教育を受けて育ち、だから、自分がこどもにひどいことをしたという自覚はまったくなかったのでしょう。昭和時代に入ってから続いた軍国主義的社会が背景にあったとも推測されます。教師の体罰は、合法的な児童虐待でした。
自分は、貧困のすさんだ子ども時代に『物語』があって良かったと思います。着のみ着のまま(服がひとつしかない)で、粗食、家にはテレビもない、学校に行けば体罰教師ばかり(廊下に立たされたり、黒板の前で正座させられたり。げんこつという頭の両側をげんこつでぐりぐりやられる体罰など)それでも通学できたのは、学級文庫の本を貸してもらえるおかげでもありました。
えびすよしかずさんの割り切りがあります。ギャンブルは、失敗すれば、お金を失うだけのこと。(借金してまでの賭け事はしない)
暴力をふるう人は、弱い者を虐げたい(しいたげたい。むごい扱いをして苦しめる)だけ。[まるで、ロシアの大統領のようです。どうして、ロシアの大統領は「ごめんなさい」とあやまれないのだろう。「二日間でウクライナに勝てると思っていたら、勝てませんでした。失敗しちゃいました。許してちょうだい」と言えないのだろう。このままでは、ロシア国のほうが滅びてしまいます]
人は群れるとおかしくなるから自分は群れないそうです。そういうことは確かにあります。
ボスの性格がゆがんでいたら集団はどんどん暴走し始めてしまう。(また、ロシアの大統領の話につながりました)
つらくなったときや、ゆきづまったときには、『自分が望む幸せのランクを落とす』そうです。なるほど。
最低限の人づきあいとして、あいさつをする。自分がそれに加えると、ありがとうという。あいさつをされたり、「ありがとう」と言われたりして怒る人はいません。
えびすよしかずさんは、案外理屈っぽい人です。
夫婦や家庭の維持のしかたについて書いてあります。
『自分が死んだら、妻には再婚してもらってもかまわない』宣言があります。先に逝く(いく)人は、残る人の幸せを望みます。
お墓の話が出ます。自分のお墓はいらないそうです。競艇場の水に骨をまいてもらえばいいそうです。(競艇場の管理者は迷惑だと思います)
最近は、納骨堂方式が多くなっていると感じます。
お墓の維持管理をできる親族が減りました。
車の運転で迷惑をかけるからと、とっくの昔に運転免許証は返納したそうです。
自分も長くは乗るつもりはありません。
えびすよしかずさんからのメッセージとして『学歴なんてあってもなくてもどっちでもいいじゃないですか』『生きているだけで楽しいという思える人間になることが人生の目標です』
えびすよしかずさんは、本の中では人に気を使っていると書いてあるのですが、バス旅での暴言が目立ちます。発達障害気味です。やはり、書いてあることは話半分ということで読みます。
『「先生」と呼ばれる人やボス的な人は、じつはひとりぼっちの人が多い』
『僕みたいなダメ人間と何日間も旅をする太川陽介さんは偉大だなあ』(同感です)
昔は、マンガを描くときに湯水のごとくストーリーも湧いてきたそうです。夢でみたことをストーリーにしていたそうです。やがて、夢が尽きてしまった。
自営業の芸術家(えびすさんの場合は漫画家)というのは、自称でいいと思うのです。
引退も復帰も自由自在です。
バス旅のギャラを知らないそうです。
奥さんと事務所が金銭管理をしているのでしょう。
貯蓄計画とか金銭運用のことは考えずに、ひたすら稼ぐことに意識を集中することができます。
お金が欲しかったら、鬼のように働かなければなりません。家族をほったらかしにして、長時間労働の世界に身を置かねばなりません。
後半は、雑事のられつになっていきます。
インタビューで得られた情報のうちのさまつなものを整理したように見えます。
あのご本人が、これほどの長文を手書きで書いて一冊の本に仕上げているというイメージはありません。
お金が欲しくて働いているけれど、ギャラは知らないし、家にお金がいくらあるのかも知らない。(妻が管理)
不思議な個性です。
奥さんは、いいだんなさんを見つけました。
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