2022年02月15日

もりのなか マリー・ホール・エッツ

もりのなか マリー・ホール・エッツ ぶん/え まさきるりこ/やく 福音館書店

 本のカバーにある絵は、ブレーメンの音楽隊のようです。(グリム童話:ロバ、イヌ、ネコ、ニワトリ)
 こちらの行列は、ラッパを吹く少年、ウサギ、ライオン、ゾウ二頭、クマ二頭、カンガルー二頭、コウノトリ、おさる二匹です。
 
 はじまりはじまりー
 紙でつくられた帽子をかぶった少年が、ラッパを鳴らします。
 少年は森の中に入って行って、動物たちに声をかけ始めます。
 『ぼくの散歩についてきて!』
 
 読み聞かせの時、こどもさんは、動物が出てくるたびに、なんだかんだとしゃべるのでしょう。

 クマたちは、くいしんぼうです。
 ピーナッツとジャムとスプーンを手からはなしません。
 
 カンガルーのおなかにある袋には、あかちゃんカンガルーもいます。

 だんだん行列の仲間が増えていきます。

 うろ:木の幹にある穴。空洞になっているところ。

 民話『桃太郎』も思い出します。イヌ、サル、キジです。外国でも日本でも同じ人類ゆえに、同じパターンで発想があるのでしょう。

 木版画のように、白と黒の絵です。
 作品は、1963年(昭和38年)のものです。

 一行(いっこう)は目的地に到着したらしく、食事をして、ハンカチおとしという遊びを始めました。
 動物たちの絵を見ていて、思いついたことがあります。
 動物たちは、本当は、みんな人間なのです。
 それぞれは、個性をもった人間たちなのです。

 遊びは内容を変えながら続きます。

 そして、動物たちはいなくなってしまいました。
 いつのまにか、そこに、少年の父親が、ひとりで立っているのです。

 後半部のオチ(話の決着)は、幻想的です。
 考え方はいろいろあります。
①動物たちは、人間(少年の父親)が来たから森の中に隠れた。
②じつは、森に住む妖精たちが動物に化身していた。
③すべては、少年の幻覚だった。
④子どもだけがわかる世界だった。(おとなには体験できない世界だった)

 とにもかくにも、不思議な最終部分でした。

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