2022年02月09日

ルリユールおじさん いせひでこ

ルリユールおじさん いせひでこ 講談社

 先日読んだ同作者の『チェロの木』と筋立ては同じパターンです。
 こちらの本では、おじいさんがいて少女がいて、ストーリーが流れていきます。チェロの木のほうは、おじいさんと少年からの始まりでした。

 ルリユールというのは、フランスパリにいる本をつくる人という職業のことです。製本です。手づくり本です。

 絵本は、パリの風景から始まります。洋風の建物風景です。
 『パリの街に朝がきた。』から始まります。
 いつかパリに行ってみたい。
 コロナ禍がおさまるのを待ちます。
 それまでは、健康に気をつけて暮らします。

 少女が持つ大きくて立派なたぶん植物図鑑(おもに樹木の紹介)が、バラバラに壊れてしまいました。
 
 絵本の絵は、絵画です。
 マンガではありませんが、ながめていると、動画に見えます。映画のシーンのようでもあります。静止画なのに、絵に動きがあるのです。

 本をつくる職人が『ルリユール』
 ルリユールは、本の修繕(しゅうぜん)もしてくれる。
 老人とこどもの組み合わせは、イタリア映画『ニュー・シネマパラダイス』を思い出させてくれました。映写技師と少年の心のふれあいです。少年は成長して島を出て、映画監督になりました。

 カルトン:ボール紙

 電子書籍だと、この紙でできた絵本の感触の良さが伝わってこないでしょう。

 ふと調べたら、自分は、2014年の1月に『ルリユール』というタイトルの本を読んでいました。
 ルリユール 村山早紀(むらやま・さき) ポプラ社
 もう内容を覚えていませんが、読書メモを見ると、舞台は沖縄で、親子関係がうまくいっていない母親と13歳中学生娘の話とありました。
 娘の祖父は米兵で米国に帰国済み。娘は本土に住む未婚の母だった祖母にひとり旅で会いに行きます。
 読書メモとして記録が残っています。
 心情に残ったこととして『本を読む人には、本を読まねばならない事情があるのです』

 ルリユールには、世襲もあるのだろう。(親の仕事を子が継ぐ(つぐ))
 
 先日読んだ『チェロの木』と同じく、木の話が出ます。
 作者は、樹木が好きです。
 アカシアの木:春から秋にかけて、ふわふわでぽんぽんとした球体の黄色い花を咲かせる。

 少女の名前は『ソフィー』

 本をつくる職人仕事について、絵でていねいに描いてあります。
 
(2回目の本読みとして)

 本を愛する人の絵本です。
 ルリユール(製本職人)の仕事ぶりを絵本で観ていて思うことは、効率優先の資本主義システムに背をむけて、人間らしい生活をしようということ。
 時間がかかってもいいじゃないか。手間がかかってもいいじゃないか。ムダがあってもいいじゃないか。
 
 紙しばいの絵を見るようです。
 絵の中にいる少女が、実際にしゃべっているように見える絵です。
 おじいさんと少女が、同じ作業(本づくり)をしています。
 まず、気持ちがあって、絵があって、物語が始まって、お話が流れていく。
 絵の具の色合いは明るい。
 
 修繕した本は壊れなかった。
 本に『壊れる』という発想はありませんでした。

 精神的に、商業的ではない『本』があります。

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