2022年01月11日
マンション管理員オロオロ日記 南野苑生(みなみの・そのお)
マンション管理員オロオロ日記 南野苑生(みなみの・そのお) 三五館シンシャ フォレスト出版
現場で働く人の仕事に関するエッセイというのは、ありそうでこれまでなかったパターンです。
守秘義務が課せられているので発表しにくい性格があるのでしょう。
この出版社では、シリーズ化されるように次々と同類の本を出しています。
タイトルを観て興味が湧いたものは読むようにしています。
72歳夫婦住み込みのマンション管理員業務とあります。
もうずいぶん昔のことですが、マンションで十年ちょっと生活したことがあります。
管理員は通いの人で、週2回、午前中のみ。清掃と蛍光灯の消耗品交換、建物や設備の点検立ち合いなどをされていましたが、あいさつ程度の関わりで頼みごと等をお願いしたことはありませんでした。
管理員の方はおそらくいったん定年退職されたあとに働いているのであろうという年配の男性だったこともあるし、パート仕事のような女性だったこともあります。かけもちでマンションを巡回されていたのではないかと推測します。
住み込み管理員だといろいろめんどうなことを要求されそうな労働環境です。(そのわりに給料は安い。されど、住居は提供されている。年金収入があればなんとかがまんできそうかも)一日24時間、365日、こき使われそうです。
自分が就職した時にお世話になっていた独身寮の管理員ご家族を思い出しました。
ご夫婦と大学生の息子さんと高校生の娘さんがおられました。ご夫婦はもう亡くなっているであろうと思われる年齢です。寮生だった先輩で、もう亡くなった方もおられます。ひとつの時代がありました。
マンションの住人からの『タクシーを呼んでちょうだい』という要求から始まります。
(そんな人がいるのか)
世の中にはいろんな人がいると驚きながら読み始めました。
お金を払えばなんでもできるという考え方に、うーむとうなりました。
ごみ屋敷というのはけっこうあるようです。
密室なので外からはわかりません。
漏水の原因を知って、そういうこともあるのかと、新しい気づきがありました。
『保険』というものは、使わずに残る金額のほうがたくさんあるものだろうか。
一年間使い切り、残った保険掛け金は還付が基本のような気がします。
保険掛け金を使って経済を回す。
保険の掛け金が、税金みたいです。
住み込みの場合、管理員と清掃員が別々の人であることを初めて知りました。
あれはだめ、これはだめの張り紙がたくさんはってある公園などをみると、ああ、だれかクレーマーみたいな人がいるのだろうなあと思うことがあります。
張り紙など、何もないのが一番美しいのに。
マンションでも似たようなことがあるようです。
著者は、奥さんの存在に助けられています。
「水道メーター検針」の話が出ています。
先日、検診員が廃止になって、遠隔操作によるコンピューター管理で使用量がわかるようになるというような記事を読みました。水道メーターではなくて、電気メーターだった記憶です。
これからはなんでも電算管理で、人間が雇用される場所がなくなっていきます。
3段式ガレージというのは使ったことがありませんが、駐車場所の間違いというのはありそうです。
大規模な移動式立体駐車場というのは、トラブルの原因になりやすいことがわかりました。
第一章の終わり近く、1991年ころのバブル経済崩壊から1995年の阪神淡路大震災に至るまでの経過が書かれた文章が、ドキュメンタリー映像を観るようで秀逸でした。
同じ時代を知る者として共感できる部分があります。
夫婦で住み込みのマンション管理員を始めることになったきっかけが書いてあります。
第二章に入って『フロントマン』というのは聞いたことがありませんが、管理員の上司にあたる管理会社の社員のようです。上司といっても年齢的には若い人のようです。
権限があることを利用して悪事に手を染める責任者がいます。
逮捕ですな。
読んでいると、先日ニュースになった、大学のなんとか理事長を思い浮かべます。
人のお金で飲み食いするのが当然のこととする人はいます。
権限を握る者同士がグル(仲間)になると止めるのが大変になります。
とはいえ、これが世間によくある縮図・構図なのでしょう。
なんだか、暴力事件でも起こりそうな気配です。
悪事を働く人を守ろうとすると、秩序が崩壊します。
うーむ。かなりひどい目にあっておられます。
自分の経験から考えると、そういう会社はいずれ倒産します。
現象はその1スポット(ワンスポット)だけではなく、複数の現場で発生していることでしょう。
『信頼関係』とか『信用』は大事です。
頭に残る言葉として『自慢しい(じまんしい。知識の披露)』『素人同士の推断は時間のムダ』
共同住宅のトラブルといえば騒音問題です。
どうするのか。
読みましたが、やはり音の発生地の当事者にわかるようにするのです。
いろいろと文句を言う人は、未来において、それなりの人生を送っていくのでしょう。
さきゆきは幸せそうにはみえません。
以前、コンビニ店員さんの体験本を読んだことがあるのを思い出しました。
きついお客さんがいるけれど、優しいお客さんもいますという話がありました。
世の中はいつでもどこでもふたつの面があるのでしょう。
いやな人が、別の場所ではいい人だったりもします。同一人物に対する評判です。
認知症高齢者ご夫婦の入居者のお話は、明日は我が身かもしれないので読んでいてしみじみしました。
若い頃、美男美女、スタイル良く健康で生き生き、はきはきしていたような人であっても、老いは万人に平等に訪れます。
歳をとれば、最後はみんなが障害者になるということが、実感としてあります。目が見えにくい。耳が聞こえにくい。歩行がゆっくり。体の節々のあちこちが痛む。歯がぐらぐらになる。言葉が出てこない。頭の中がうまく機能してくれない。
昔の人情がらみのやり方が、新世代の人たちに通用しにくくなっている世の中があります。
トラブルの原因の第一が無断駐車、次にペット、そして生活騒音だそうです。
なんだかなあという展開です。
騒ぎを一種のお祭りみたいなイベントとしてとらえて楽しめるようになると、自信あふれるたいした人物として、勤労生活を楽しむことができるのでしょう。
まあ、まじめに考えて悩むと、心の病気になりそうです。
『防犯カメラ』は、防犯というよりも、犯罪後の記録証拠でしかない。
防犯カメラの画面を隠されて犯行がなされ、防犯の役に立たないこともあるそうです。
なんでも人にやらせようとする人が多い。
後半は『やりがい話』です。
人に感謝される。
人の命を守る。
そういう仕事ってたくさんあります。
情景は、ドラマチックで映画のシーンを観ているようでした。
読み終えました。
お疲れさまでした。
ゆっくり余生を楽しんでください。
今はもう管理員はされていないそうです。住み込み管理員制度は廃止になって、通いの管理員に変更されたそうです。やってくれる人がいないということもあるのでしょう。
現場で働く人の仕事に関するエッセイというのは、ありそうでこれまでなかったパターンです。
守秘義務が課せられているので発表しにくい性格があるのでしょう。
この出版社では、シリーズ化されるように次々と同類の本を出しています。
タイトルを観て興味が湧いたものは読むようにしています。
72歳夫婦住み込みのマンション管理員業務とあります。
もうずいぶん昔のことですが、マンションで十年ちょっと生活したことがあります。
管理員は通いの人で、週2回、午前中のみ。清掃と蛍光灯の消耗品交換、建物や設備の点検立ち合いなどをされていましたが、あいさつ程度の関わりで頼みごと等をお願いしたことはありませんでした。
管理員の方はおそらくいったん定年退職されたあとに働いているのであろうという年配の男性だったこともあるし、パート仕事のような女性だったこともあります。かけもちでマンションを巡回されていたのではないかと推測します。
住み込み管理員だといろいろめんどうなことを要求されそうな労働環境です。(そのわりに給料は安い。されど、住居は提供されている。年金収入があればなんとかがまんできそうかも)一日24時間、365日、こき使われそうです。
自分が就職した時にお世話になっていた独身寮の管理員ご家族を思い出しました。
ご夫婦と大学生の息子さんと高校生の娘さんがおられました。ご夫婦はもう亡くなっているであろうと思われる年齢です。寮生だった先輩で、もう亡くなった方もおられます。ひとつの時代がありました。
マンションの住人からの『タクシーを呼んでちょうだい』という要求から始まります。
(そんな人がいるのか)
世の中にはいろんな人がいると驚きながら読み始めました。
お金を払えばなんでもできるという考え方に、うーむとうなりました。
ごみ屋敷というのはけっこうあるようです。
密室なので外からはわかりません。
漏水の原因を知って、そういうこともあるのかと、新しい気づきがありました。
『保険』というものは、使わずに残る金額のほうがたくさんあるものだろうか。
一年間使い切り、残った保険掛け金は還付が基本のような気がします。
保険掛け金を使って経済を回す。
保険の掛け金が、税金みたいです。
住み込みの場合、管理員と清掃員が別々の人であることを初めて知りました。
あれはだめ、これはだめの張り紙がたくさんはってある公園などをみると、ああ、だれかクレーマーみたいな人がいるのだろうなあと思うことがあります。
張り紙など、何もないのが一番美しいのに。
マンションでも似たようなことがあるようです。
著者は、奥さんの存在に助けられています。
「水道メーター検針」の話が出ています。
先日、検診員が廃止になって、遠隔操作によるコンピューター管理で使用量がわかるようになるというような記事を読みました。水道メーターではなくて、電気メーターだった記憶です。
これからはなんでも電算管理で、人間が雇用される場所がなくなっていきます。
3段式ガレージというのは使ったことがありませんが、駐車場所の間違いというのはありそうです。
大規模な移動式立体駐車場というのは、トラブルの原因になりやすいことがわかりました。
第一章の終わり近く、1991年ころのバブル経済崩壊から1995年の阪神淡路大震災に至るまでの経過が書かれた文章が、ドキュメンタリー映像を観るようで秀逸でした。
同じ時代を知る者として共感できる部分があります。
夫婦で住み込みのマンション管理員を始めることになったきっかけが書いてあります。
第二章に入って『フロントマン』というのは聞いたことがありませんが、管理員の上司にあたる管理会社の社員のようです。上司といっても年齢的には若い人のようです。
権限があることを利用して悪事に手を染める責任者がいます。
逮捕ですな。
読んでいると、先日ニュースになった、大学のなんとか理事長を思い浮かべます。
人のお金で飲み食いするのが当然のこととする人はいます。
権限を握る者同士がグル(仲間)になると止めるのが大変になります。
とはいえ、これが世間によくある縮図・構図なのでしょう。
なんだか、暴力事件でも起こりそうな気配です。
悪事を働く人を守ろうとすると、秩序が崩壊します。
うーむ。かなりひどい目にあっておられます。
自分の経験から考えると、そういう会社はいずれ倒産します。
現象はその1スポット(ワンスポット)だけではなく、複数の現場で発生していることでしょう。
『信頼関係』とか『信用』は大事です。
頭に残る言葉として『自慢しい(じまんしい。知識の披露)』『素人同士の推断は時間のムダ』
共同住宅のトラブルといえば騒音問題です。
どうするのか。
読みましたが、やはり音の発生地の当事者にわかるようにするのです。
いろいろと文句を言う人は、未来において、それなりの人生を送っていくのでしょう。
さきゆきは幸せそうにはみえません。
以前、コンビニ店員さんの体験本を読んだことがあるのを思い出しました。
きついお客さんがいるけれど、優しいお客さんもいますという話がありました。
世の中はいつでもどこでもふたつの面があるのでしょう。
いやな人が、別の場所ではいい人だったりもします。同一人物に対する評判です。
認知症高齢者ご夫婦の入居者のお話は、明日は我が身かもしれないので読んでいてしみじみしました。
若い頃、美男美女、スタイル良く健康で生き生き、はきはきしていたような人であっても、老いは万人に平等に訪れます。
歳をとれば、最後はみんなが障害者になるということが、実感としてあります。目が見えにくい。耳が聞こえにくい。歩行がゆっくり。体の節々のあちこちが痛む。歯がぐらぐらになる。言葉が出てこない。頭の中がうまく機能してくれない。
昔の人情がらみのやり方が、新世代の人たちに通用しにくくなっている世の中があります。
トラブルの原因の第一が無断駐車、次にペット、そして生活騒音だそうです。
なんだかなあという展開です。
騒ぎを一種のお祭りみたいなイベントとしてとらえて楽しめるようになると、自信あふれるたいした人物として、勤労生活を楽しむことができるのでしょう。
まあ、まじめに考えて悩むと、心の病気になりそうです。
『防犯カメラ』は、防犯というよりも、犯罪後の記録証拠でしかない。
防犯カメラの画面を隠されて犯行がなされ、防犯の役に立たないこともあるそうです。
なんでも人にやらせようとする人が多い。
後半は『やりがい話』です。
人に感謝される。
人の命を守る。
そういう仕事ってたくさんあります。
情景は、ドラマチックで映画のシーンを観ているようでした。
読み終えました。
お疲れさまでした。
ゆっくり余生を楽しんでください。
今はもう管理員はされていないそうです。住み込み管理員制度は廃止になって、通いの管理員に変更されたそうです。やってくれる人がいないということもあるのでしょう。
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