2021年12月15日
三日間の幸福 三秋 縋(みあき すがる)
三日間の幸福 三秋 縋(みあき すがる) メディアワークス文庫
ショートショートの連作だろうか。
短い文章が、15本あります。
「十年後の約束」「終わりの始まり」
10歳小学生の「ヒメノ」という女子と「俺(あとでクスノキと判明する)」がいます。
10年後のクスノキがいます。ヒメノは小学生の時に転校してしまいました。
10年前のヒメノは、密か(ひそか)に、クスノキにプロポーズをしました。
二十歳になったクスノキは、寿命(あと30年と3か月あったらしい。50歳で死去する予定だった)をブックオフで本を売るように査定を受けて、自分の命の期間を買取り店で売ってしまいました。
クスノキは、30年分の自分の命を売却したので、あと3か月間しか生きられないという設定です。
作者は顛末(てんまつ。オチ)をどうもっていくのだろうが、目下(もっか)の読書の興味です。
「三角座りの監視員」「答えあわせといきましょう」「これから起こることすべて」「変わってしまった人、変われなかった人」
100ページまで読み進めました。おもしろい内容です。今年読んで良かった一本になりそうです。
映像化も望めます。調べたら、小説は2013年の作品で未映像化ですが、同作者の別の作品が映画化されて、現在上映中だそうです。タイトルは『恋する寄生虫』だそうです。
主人公二十歳男子クスノキのつぶやきが延々と続きます。
彼の死をみとどける役割を果たす監視員女子ミヤギも二十歳ぐらいだそうです。ミヤギは死神的存在です。ミヤギは、クスノキ以外の人間には目視で見えません。
「ミヤギ」に既視感あり。どこかの小説作品で登場した人物の名前と同じではないかと思いつきました。
クスノキの余命が三日間になると、監視員ミヤギの監視がはずれるそうです。
いい文章が続きます。『いつだって俺は、救いがたく間の悪い人間だった』『期限はとっくに過ぎていたのだ』『以後、あなたを好きになろうとしてくれる人は、二度と現れません』『家族というものが、誰にとっても心温まる存在であるとは限らない』『人生に負け続けてきた人は、非現実的な幸せを望むようになるんでしょうね』『負けの中に勝ちを見いだす生き方の方が……』『そこにあるのは、いたって平凡な絶望です』
人間がもつイヤな部分を浮かび上がらせる小説です。
目の付け所がいい。
『夢をかなえるゾウ』水野敬也(みずの・けいや)パターンの展開です。
同作品に出てくるガネーシャの立ち位置にあるのがミヤギでしょう。
虚構なのでしょう。たとえば病気で死を間近に控えた人は、本に書いてあるようなことは思わないでしょう。
100ページまできましたが、主人公は最終的に「生きる」を選択するのでしょう。
「タイムカプセル荒らし」「不適切な行動」「できすぎた話」「私の、たった一人の幼馴染へ」「自販機巡りのすすめ」
流れとしては、アガサクリスティーの作品『春にしてきみを離れ』のテーマと同じで、自分では相手に対して良いことをしていると思っていても、相手は迷惑だと感じているという、人間がもつ自意識過剰な人格を浮き彫りにするものです。(自己中心的で自己愛が強い)
クスノキには、他者への責任転嫁(せきにんてんか。人のせいにする)をするものの考え方があります。わたしの嫌いな考え方です。
主人公のクスノキは、不幸をミヤギのせいにします。
クスノキは、自分が何者なのかを考えたほうがよい。
『時間を売る』
わかりにくいシステムです。
『人生の一番いい時期』が、若いときとは限りません。
情に流されて、メインテーマからはずれた人生を、クスノキとミヤギのふたりは歩んでいます。
『彼女を心の拠り所(よりどころ)にしてはならない』
いじめられていた者同士、仲間はずれにされていた者同士のLOVEがあります。
妄想です。
読んでいると、自分が高校生だったときのなつかしいシーンが脳裏によみがえってきます。
五十代になったころ、同窓会の話がぽつりぽつりと出てくると、すでにクラスメートのうちの何人かが亡くなっていたことに気づかされます。
(自分は)よくぞここまで長く、なんとか生きてくることができたと『運(うん)』に感謝します。
『自分が死ぬ前にどんな本を読みたくなるのだろう』(わかりません。老化で目が見えるだろうかということのほうが心配です)今までできていたことが、だんだんできなくなっていくことが老化です。
ミヤギは、ドラえもんともいえます。クスノキがのび太です。
157ページ付近にいます。
この小説は、ラブストーリーだったのか。
スリラーか、ホラーのつもりで読んでいました。(いやいやまだわからない)
人づきあいで、相手に『はけ口』を求めると失敗します。
だれしも『負担』を嫌います。
いい文節として『音楽鑑賞と読書は、どうしようもない人生と折り合いをとって『生きていくための』の手段だったんだ』
たばこ小説なのか。失望しました。甘えを感じるのです。自己愛です。
フィルム式カメラの現像はいまどき珍しい。
良く出てくる文節が『答え合わせといこう』
デフラグ:デフラグメンテーション。データーファイルの位置を再配置すること。最適化。
昆虫の蛍(ほたる)にも寿命がある。人間にも寿命がある。
幽霊相手のラブストーリーになってきました。
『いつだって賭け事は、金が余っている人間が勝つものだ』
的を射ている言葉です。
幸運は追いかけるものではなく、来るのを待つものです。
「『やれること』を、一つ一つ堅実にこなしていくこと……」が自分の価値を高める。(この作品には名言がたくさんあります)『何かを成し遂げたいなら、まず健康は欠かせない』
亡くなったオリンピックチームの監督の言葉を思い出しました。『思い出がたくさんある人生が、いい人生だよ』
何をやるにしても、賛成してくれる人が半分、反対する人が半分ということはあります。
考えてみれば、淋しい主人公男子のクスノキです。
洋画「ゴースト」の世界です。
歳をとらないと気づけないですが、遅かれ早かれ、男女のカップルというものは死別します。
かぐや姫物語のようです。
死後の名声は、死んでしまった本人にはわからない。
内容が濃厚になってきました。
アメリカ映画『素晴らしき哉(かな)! 人生』が思い浮かびました。
読み手の自分は、クスノキは、三日間では死ねないと思う。
(作者あとがきを読んで)
最近、自分が、若い人に対して感じていることが書かれていました。
自ら転落していくことを是(ぜ。よいこと)とするのです。不可解です。
作者による分析は的確で安心しました。
若い人は誤解しているのです。
ショートショートの連作だろうか。
短い文章が、15本あります。
「十年後の約束」「終わりの始まり」
10歳小学生の「ヒメノ」という女子と「俺(あとでクスノキと判明する)」がいます。
10年後のクスノキがいます。ヒメノは小学生の時に転校してしまいました。
10年前のヒメノは、密か(ひそか)に、クスノキにプロポーズをしました。
二十歳になったクスノキは、寿命(あと30年と3か月あったらしい。50歳で死去する予定だった)をブックオフで本を売るように査定を受けて、自分の命の期間を買取り店で売ってしまいました。
クスノキは、30年分の自分の命を売却したので、あと3か月間しか生きられないという設定です。
作者は顛末(てんまつ。オチ)をどうもっていくのだろうが、目下(もっか)の読書の興味です。
「三角座りの監視員」「答えあわせといきましょう」「これから起こることすべて」「変わってしまった人、変われなかった人」
100ページまで読み進めました。おもしろい内容です。今年読んで良かった一本になりそうです。
映像化も望めます。調べたら、小説は2013年の作品で未映像化ですが、同作者の別の作品が映画化されて、現在上映中だそうです。タイトルは『恋する寄生虫』だそうです。
主人公二十歳男子クスノキのつぶやきが延々と続きます。
彼の死をみとどける役割を果たす監視員女子ミヤギも二十歳ぐらいだそうです。ミヤギは死神的存在です。ミヤギは、クスノキ以外の人間には目視で見えません。
「ミヤギ」に既視感あり。どこかの小説作品で登場した人物の名前と同じではないかと思いつきました。
クスノキの余命が三日間になると、監視員ミヤギの監視がはずれるそうです。
いい文章が続きます。『いつだって俺は、救いがたく間の悪い人間だった』『期限はとっくに過ぎていたのだ』『以後、あなたを好きになろうとしてくれる人は、二度と現れません』『家族というものが、誰にとっても心温まる存在であるとは限らない』『人生に負け続けてきた人は、非現実的な幸せを望むようになるんでしょうね』『負けの中に勝ちを見いだす生き方の方が……』『そこにあるのは、いたって平凡な絶望です』
人間がもつイヤな部分を浮かび上がらせる小説です。
目の付け所がいい。
『夢をかなえるゾウ』水野敬也(みずの・けいや)パターンの展開です。
同作品に出てくるガネーシャの立ち位置にあるのがミヤギでしょう。
虚構なのでしょう。たとえば病気で死を間近に控えた人は、本に書いてあるようなことは思わないでしょう。
100ページまできましたが、主人公は最終的に「生きる」を選択するのでしょう。
「タイムカプセル荒らし」「不適切な行動」「できすぎた話」「私の、たった一人の幼馴染へ」「自販機巡りのすすめ」
流れとしては、アガサクリスティーの作品『春にしてきみを離れ』のテーマと同じで、自分では相手に対して良いことをしていると思っていても、相手は迷惑だと感じているという、人間がもつ自意識過剰な人格を浮き彫りにするものです。(自己中心的で自己愛が強い)
クスノキには、他者への責任転嫁(せきにんてんか。人のせいにする)をするものの考え方があります。わたしの嫌いな考え方です。
主人公のクスノキは、不幸をミヤギのせいにします。
クスノキは、自分が何者なのかを考えたほうがよい。
『時間を売る』
わかりにくいシステムです。
『人生の一番いい時期』が、若いときとは限りません。
情に流されて、メインテーマからはずれた人生を、クスノキとミヤギのふたりは歩んでいます。
『彼女を心の拠り所(よりどころ)にしてはならない』
いじめられていた者同士、仲間はずれにされていた者同士のLOVEがあります。
妄想です。
読んでいると、自分が高校生だったときのなつかしいシーンが脳裏によみがえってきます。
五十代になったころ、同窓会の話がぽつりぽつりと出てくると、すでにクラスメートのうちの何人かが亡くなっていたことに気づかされます。
(自分は)よくぞここまで長く、なんとか生きてくることができたと『運(うん)』に感謝します。
『自分が死ぬ前にどんな本を読みたくなるのだろう』(わかりません。老化で目が見えるだろうかということのほうが心配です)今までできていたことが、だんだんできなくなっていくことが老化です。
ミヤギは、ドラえもんともいえます。クスノキがのび太です。
157ページ付近にいます。
この小説は、ラブストーリーだったのか。
スリラーか、ホラーのつもりで読んでいました。(いやいやまだわからない)
人づきあいで、相手に『はけ口』を求めると失敗します。
だれしも『負担』を嫌います。
いい文節として『音楽鑑賞と読書は、どうしようもない人生と折り合いをとって『生きていくための』の手段だったんだ』
たばこ小説なのか。失望しました。甘えを感じるのです。自己愛です。
フィルム式カメラの現像はいまどき珍しい。
良く出てくる文節が『答え合わせといこう』
デフラグ:デフラグメンテーション。データーファイルの位置を再配置すること。最適化。
昆虫の蛍(ほたる)にも寿命がある。人間にも寿命がある。
幽霊相手のラブストーリーになってきました。
『いつだって賭け事は、金が余っている人間が勝つものだ』
的を射ている言葉です。
幸運は追いかけるものではなく、来るのを待つものです。
「『やれること』を、一つ一つ堅実にこなしていくこと……」が自分の価値を高める。(この作品には名言がたくさんあります)『何かを成し遂げたいなら、まず健康は欠かせない』
亡くなったオリンピックチームの監督の言葉を思い出しました。『思い出がたくさんある人生が、いい人生だよ』
何をやるにしても、賛成してくれる人が半分、反対する人が半分ということはあります。
考えてみれば、淋しい主人公男子のクスノキです。
洋画「ゴースト」の世界です。
歳をとらないと気づけないですが、遅かれ早かれ、男女のカップルというものは死別します。
かぐや姫物語のようです。
死後の名声は、死んでしまった本人にはわからない。
内容が濃厚になってきました。
アメリカ映画『素晴らしき哉(かな)! 人生』が思い浮かびました。
読み手の自分は、クスノキは、三日間では死ねないと思う。
(作者あとがきを読んで)
最近、自分が、若い人に対して感じていることが書かれていました。
自ら転落していくことを是(ぜ。よいこと)とするのです。不可解です。
作者による分析は的確で安心しました。
若い人は誤解しているのです。
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