2021年12月14日

むれ ひろたあきら

むれ ひろたあきら 角川書店

 『よのなかには さまざまな むれがあります。』から始まります。
 意味深いお言葉です。
 群れのなかにいないと、孤独が口を開けて待っています。
 群れのなかにいると、自分の思いどおりにできないこともあります。
 さて、はじまりはじまり。

 ひつじのむれ。
 異端児がいます。
 (正統からはずれ、特異な存在)

 きりんがいます。
 一頭だけ首が短い。

 魚のむれ。

 鳥のむれ。

 まちがいさがしの絵本のようです。
 『ミッケ』という写真絵本のようでもあります。
 見つけるのです。

 どんどん続いていきます。

 おもしろい。
 ユーモアがあります。

 とうめい人間のむれ。

 かみなりのむれのなかに
 ひとつだけ 『やさしい』があります。

 ありのむれのなかの、ひとつさがしは わかりませんでした。
 わたしは老眼で、見つけきれません。

 最後のページ。
 本当は、これが、現実の世界なのです。
 ひとりひとりが違うのに、みんなで群れのふりをしている。
 ひとりがいやだから、演技をしながら、むれのなかにいる。
 意味は深いのです。
 
(付けたしとして)
 この絵本を読んだころに、同時進行で読んでいた本にオーソン・ウェルズの『一九八四年』があります。全体主義に関する小説です。個人の自由を認めない。国家が政治と思想を統治する。国家の利益を最優先とする。
 『一九八四年』もこちらの絵本も言いたいことの根っこは同じでしょう。
 みんな同じように見えるけれど、個々は個々の個性をもつ個体なのです。

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