2021年12月09日

石ころのスープ トルコのおはなし

石ころのスープ トルコのおはなし ジェディス・マリカ・リバーマン文 ゼイネップ・オザタライ絵 こだまともこ訳 光村教育図書

 読む前の予想として、石鍋スープを思い浮かべました。
 あちちの熱く熱した石を、液体スープに入れて、液体を温めてつくるスープのイメージです。
 読んだら、ぜんぜん違っていました。(冷たい石を入れるのです)
 読み終えてみての感想は、「会社組織」をつくるマニュアル本(手引き)の印象が残りました。

 ひとりの若い男性旅人が登場します。
 旅人は、知らない人の家をノックして、スープをいっぱい飲ませてほしい。あわせて、今夜一泊させてほしいと、出てきた中年女性に声をかけます。
 ふつう、知らない人を家に入れたり、泊めたりすることは怖いことです。知らない人は犯罪者かもしれません。
 これは、お話なのでそうはなりませんが。

 旅人の申し出は、当然断わられます。
 
 旅人は、逆に申し出るのです。
 『わたしがごちそうします』『石ころのスープをつくるんです』お金はかかりません。
 日本民話『わらしべ長者』のように、最初は、塩とこしょうから始まって、いろんな人たちが、鍋に入れる食材を持ち寄ります。
 石ころスープの歌らしきものが、人々を引き寄せます。
 おもしろげな歌です。
 『楽しむ』歌です。
 
 そういうことか。
 『協力』があります。
 昔の日本文化でいうところの『結い(ゆい。農家の協力体制。屋根の吹き替え、田植え、稲刈り時の協力など)』とか『もやい(共同でひとつのことをしたり所有したりすること)』です。
 どこの国で生まれても、何人(なんぴと)でも、考えることや感じることは同じです。

 みんなで、少しずつ持ち寄って、おいしい料理をつくります。
 『寄附』のようでもありますし、『ふるさと納税』のようでもあります。

 されど『旅人』は、詐欺師のようでもあります。
 人々に暗示をかける。
 良い方向へと導いてくれればいいけれど、その反対なら迷惑なことです。

 オレガノ:ヨーロッパ地中海沿岸原産の葉っぱ。多年草。和名はハナハッカ。
 バグラマ:ギターのような弦楽器
 ズルナ:笛。木管楽器。
 プディング:プリンのようなもの。
 カルダモン:香辛料。さわやかで上品な香りがする。
 シナモン:樹木の樹皮からつくる香辛料。

 心温まるストーリーでした。

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