2021年09月22日

はれときどきあまのじゃく 矢玉四郎

はれときどきあまのじゃく 矢玉四郎(やだま・しろう) 岩崎書店

 「アマノジャク(天邪鬼)」は小さないたずら鬼で、奈良県にあるお寺さんあたりに行くと、四天王さま(四神(東の持国天、南の増長天、西の広目天、北の多聞天)に足で踏みつぶされて、「ぎょえ」みたいな顔をしている彫刻像を見ることができます。
 この本では、毘沙門天(びしゃもんてん)に踏まれている絵が描いてあります。
 自分が奈良を訪問したときのメモを探したら、東大寺の二月堂のものが見つかったので、ここに落としてみます。天邪鬼(アマノジャク)ではなくて単なる邪鬼(ジャキ)かもしれません。
 二月堂におられる邪鬼です。懸命にお線香を入れる大きな器を支えておられます。









 「ああいえば、こういう」のがあまのじゃくです。相手の言うことの反対のことを言うのです。いやな奴です。話しかけた時に、否定ばかりする人と話をしていると、こちらは、だんだん腹が立ってくることがあります。

 本の絵を見ていると楽しい気分になれます。
 絵は写実的ではありませんが、ユーモラスで心が落ち着きます。人間の顔はみんな横顔です。猫は立体的です。見ていると笑いたくなります。
 同作者の「はれときどきぶた」は、孫たちに何度も読まされました。長い物語なので、最後までたどりつくのが大変でした。こちらのあまのじゃくも長いです。

 主人公は、畠山則安(はたけやま・のりやす)くんで三年三組にいます。あだなは「十円安(じゅうえんやす)」です。10円玉ぐらいのハゲが頭にあるからついたあだなでしょう。いまどきは、あだなで呼ぶのは学校では禁じられているというニュースを見たことがあります。いいようなわるいような。なんだか、人間の気持ちのもちようが、どんどん弱くなっていくようで、未来が心配な日本です。

 わざということをきかない。他人の気をひく。
 文章がやさしい。
 パソコンからアマノジャクが出てくるところの発想がいい。
 そのあともあれやこれや空想ほら話が続きます。おもしろい。
 鉛筆が丸くなったのが良かった。
 発想がすべて反対になるのです。
 犬は、「お手」のときに、うしろ足を出すのです。笑いました。漫才やコントのネタになりそうです。
 招き猫は、あっちへ行けとあごで指示するのです。
 携帯電話は大きくなって、めちゃくちゃです。
 人が困っている姿を見て喜ぶ人間の悪の部分をあぶり出すブラックユーモアがある作品です。
 被害者がどんどん拡大していきます。
 どうなっちゃうんだろう。
 「宝くじ売り場」は「貧乏くじ売り場」です。当たったら一億円を払わなければなりません。そんなばかな。
 まあ、めちゃくちゃな世界が続きます。
 動物園の入場料は、払うのではなく、もらうのです。
 スカイツリーに富士山、スケールが大きくなってきました。
 壮大なほら話でした。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t145074
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい