2021年08月25日

チビねずくんのながーいよる

チビねずくんのながーいよる ダイアナ・ヘンドリー作 ジェーン・チャップマン絵 くぼしま りお訳 ポプラ社

 原題は『THE VERY NOISY NIGHT』です。自分なりに訳すと『とてもやかましい夜』
 イギリスの絵本です。1999年の作と英語で書いてあります。日本版絵本の発行は2000年です。もう22年も前の作品になりますが、本はいつまでも本として残り、次世代へとつながれていきます。

 今回の絵本の選択として、平坦で淡々とした内容の作品を読みたかった。
 奇を衒る(きをてらう。レアケース(希少な事例)をおおげさに公表するとか、変わった事例で気をひこうとするとか)のではなく、平凡な営みで、心を落ち着かせる物語を読んでみたかった。この絵本はリサイクルショップで選んで手に入れました。

 チビねずみとオオねずみの関係は書いてありません。
 兄と弟、姉と妹のようではあります。
 友だち同士にも見えなくはありませんが、そうとは思えません。
 父親と息子、母親と娘のようではあります。

 チビねずみは心配性なのか、夜、なかなか寝付けないのです。

 むかし家で飼っていたハムスターのぴーちゃんを思い出しました。
 ジャンガリアンハムスターだったか、ゴールデンハムスターだったか。どっちだったかは思い出せません。
 ハムスターが死ぬとかなり精神的に落ち込みます。ぴーちゃんは、暑い夏に昇天してしまいました。もともと寿命が短いこともありますが、あの時は、しばらく悲しみにひたりました。
 
 ふと、矛盾に気づきました。ねずみは、夜行性なのです。
 ぴーちゃんも夜になると元気いっぱいで、回し車を回していました。
 だから、この絵本に出てくるねずみくんふたりも、夜は寝てちゃダメなのです。
 
 まあ、それはよしとして読み始めます。
 チビねずみの心配事です。チビねずみの気持ちは敏感です。いろいろと悪いことを想像しすぎて臆病です。
 なにか物音がする→外で吹いている風の音です。
 屋根の上から音がする→木の枝が屋根に当たっています。
 ホーホーっていう声が聞こえる→ふくろうの鳴き声です。
 家の中で雨が降っている→水道から水が漏って、水滴が落ちているのです。

 漫画「トムとジェリー」では、ネコはネズミの天敵でした。(でも漫画では、ネズミのジェリーのほうが強かった)この物語では、ネコは出てきませんでした。
 チビねずみは、オオねずみといっしょに寝たいけれど。オオねずみはいやがって断ります。チビねずみといっしょに寝るとベッドの中が窮屈になる。チビねずみは、ねぞうが悪い。チビねずみの足が冷たい。だからイヤ。

 チビねずみがようやく眠れると思ったら、こんどは、オオねずみのいびきが大きいのでうるさくて眠れません。

 なんだかんだあって、ようやくふたりは眠ることができました。
 平凡で平和な家庭です。

 チビねずみは、さみしがりやで、絵本を読むときは、こどもさんの立場です。

 こまやかな観察眼がある作品です。

 なるほど。おもしろい。

 あとは、絵の色合いが独特でした。

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