2021年07月21日

みをつくし料理帖 邦画DVD

みをつくし料理帖 邦画DVD 2020年公開

 澪標(みおつくし):船の目標となる標識。航路や水深を知らせる目印の杭(くい)<大阪市のシンボルマーク>

 女性同士の友情を描いた味わいのある日本映画でした。
 気持ちが落ち着く江戸時代です。
 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)の滝沢馬琴(たきざわばきん)らしき人物が出てくるので、1842年ごろ(イギリスと清が戦ったアヘン戦争のころ)をイメージして映像を観ました。

 料理とか食事の話です。
 上方(関西)から江戸(関東)へ移り住んだふたりの女性です。
 関西は薄味、関東は濃い口(こいくち)の味付けです。
 
 つくり話なので、事実はどうかはわかりませんが、筋を信じて感情移入はできます。
 いい雰囲気のシーンもありますし、つまらない面もありますが、後半に向かっては、観ているほうも感情が高ぶってきます。
 (江戸時代に日本を訪れたことがあるトロイの遺跡を発見したシュリーマン氏によれば、『他の国では、人々は娼婦をあわれみながらもいやしいものとしている。されど、日本では「おいらん」を尊い職業と考えて神格化しているとあり、シュリーマン氏は西洋とは異なる文化的な相違にかなりショックを受けています)(また、別の話として、江戸を訪れたどの外国人が記したものか忘れてしまい外国人の名前を思い出せませんが、江戸時代の地方に生まれたこどもは、幼いうちに、まちに奉公に出されて、読み書き計算、礼儀作法を習うという立派な教育システムが整っている。そのことをすばらしい社会制度だとほめていました。親も子も周囲の人たちもそれがあたりまえと思っていて、だれもいやだとは思っていないと書いてありました。何年か奉公したあと、独立もできるし、親元に帰ることもできたとありました。ゆえに朝ドラ「おしん」のように涙が流れる親子のお別れシーンというのは、じっさいにあったかどうかわからないのです。よく考えてみれば、兄弟姉妹がたくさんいる食うのにも困る貧しい親元にいるよりは、働いてお金をもらって、自由に好きなことをできたほうが本人はうれしいのです)

 キツネが伏線です。
 あともうひとつの伏線が、簪(かんざし)です。

 観ていて、「料理」は、科学と数学、統計、そして、「心をこめて」だと思いました。

 途中「復讐モノ」かと思いましたが、違っていました。

 アイデアを盗まれた被害者のほうが、火をつけるのかと思っていたら、アイデアを盗んだことを抗議された加害者のほうが被害者宅に放火したのでびっくりしました。

 人生は山あり谷ありです。山のときはいばらず、谷のときは、じっと耐えて力と運を蓄えます。

 「おにぎり」は、胸に響くものがあります。涙がにじむ映画です。
 「感謝」という文字が良かった。
 
 案外男社会の映画かもしれません。男が理想とする女性像が描かれています。

 観終わって、ああ、映画を観たなあという気分になれました。
 人情ものです。心意気(まっすぐな強い気持ち)が描かれています。
 映画だからできることがあります。
 夢の世界です。
 貝合わせ(かいあわせ)が良かった。姫路城内で見たことがあります。
 今年観て良かったすがすがしい一本でした。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t144381
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい