2021年07月20日

461個のおべんとう 邦画DVD

461個のおべんとう 邦画DVD 2020年公開

 両親が離婚して、父親に引き取られた高校生男子が、父親がつくってくれるおべんとうをもって高校に通学するというお話です。
 悪人はいない映画です。登場人物は、どこまでも心優しい。それが、物足りなさにもつながっていくのですが、この映画自体が、演じるタレントさんたちのファンが観る映画なのでしょう。
 映画では、お互いに、言いたいことを言えない雰囲気と環境があります。相手の気持ちを気づかって遠慮して声が出ないのです。そういうことってじっさいあります。かなり苦しくなります。

 「離婚」と「高校不合格」が重なります。
 最近は推薦入試で高校に入学する中学生が多いので、高校を不合格になって、翌年合格して入学するこどもさんというのは珍しい。
 
 男親のべんとうづくりは、映画を観ている男性にひとり暮らしの体験があるかないかで、感想が違ってくるでしょう。
 あわせて、こどもとふたり暮らしをしばらくでもしたことがある男親だと感想が違ってきます。
 体験がある者にとっては、べつだん、悲しいことでもつらいことでもありません。やるしかないのです。それが生活していくということです。

 父親が自営業のような仕事だからべんとうづくりができるということもあります。
 高校生なら、自分でべんとうをつくればという意見も出てきます。
 お弁当とか、お料理は、つくるのには時間がかかりますが、食べ終わるまでの時間はそれほどかかりません。いろいろたいへんです。
 この映画の設定の場合の父親は、「親としての親であることの意地」「親権者としての責任」「(離婚するにあたり、自分との同居を選んでくれた息子への)感謝」があります。
 夫婦はどうして離婚するのか。どうして妥協できないのか(折り合いをつけて、合意できる一点を求めることができないところにまで達してしまう)夫婦というものは、譲るとか、相手におまかせしますと言えないと、離婚に近づいていきます。
 最近なにかの本で読んで心に残っている文節です。『家族とは、お互いのことを心配し合いながら、一緒にご飯を食べるメンバーのこと』
 だれかがだれかを、あるいは複数でだれかひとりをいじめるような言動が続くと、メンバー同士のつながりは破たんします。
 
 こどもがこどもである期間は短い。
 類似の映画で『今日も嫌がらせ弁当』がありした。確か撮影地は八丈島でした。

 映像を観ていて、ふと、消えていた記憶がよみがえりました。たしか、七歳ぐらいの頃、病院の病室から小学校へ登校したという記憶です。父親だったのか母親だったのか思い出せませんが、どちらかが入院している病室でひと晩寝てから朝、小学校にランドセルをしょって登校した記憶が残っています。すっかり忘れていました。

 見た目も美しくておいしいおべんとうを、友だちも一緒に、三人で毎日食べるために学校へ行く。あるいは、学校へ行こう。そう、学校へ行こうというメッセージがあります。勉強することは、あとからついてくることです。
 おべんとう=愛情なんだなと、再確認させてもらえる映画です。

 大学に行ったら、おべんとうはどうするかの話が出ます。一般論としては、こどもは、大学に合格したら、いいかげん自立してくださいな。アルバイトもして、できるだけ自活してほしい。

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