2021年07月07日

記憶屋 あなたを忘れない 邦画DVD

記憶屋 あなたを忘れない 邦画DVD 2020年公開

 思い切って、最後のほうのシーンをスタートにもってきて、項目を組み上げていけば、濃厚で濃密な時間帯を形成できて、観ている人を惹き付ける(ひきつける)力のある、胸にぐぐっとくる、完成度の高い映画に仕上げることができたのではなかろうかという感想をもちました。

 観ている途中は、『何が問題点なのだろう』という疑問をもちながらの中途半端な気分での鑑賞でした。

 忘れたい記憶を消す、あるいは、記憶を食べる都市伝説(噂話)の説明が続きます。
 そこに連続誘拐事件をからませてあります。
 さらに余命半年もない脳腫瘍の弁護士が関わってきます。

 男性が女性にプロポーズをしたという、そして、女性は申し出を受け入れたというのに、そのふたりの仲良しさがまったく伝わってきません。(女性が記憶を失ったから)それにしてもカップルに見えないふたりでした。

 主人公の男性は熱演なのに、訴えたいメッセージが伝わってきません。

 生活感がない室内空間シーンです。

 最初のパソコン画面シーンで、『記憶屋』がだれなのかにピンときてしまいました。
 けっこう入り組んでつくられています。
 セリフが良かった。『困った人を助けるのはけっこうたいへんで、頭の中、ぐじゃぐじゃ』

 映画は鑑賞者に『許容』を求めます。うらみを晴らすために復讐することを我慢して、苦境を克服してくださいという要求メッセージがあります。(非合理的です:非合理的とは、理屈で説明できないけれど世の中では通用していることです。たとえば、神さまのおかげで助かりましたとか)
 されど、被害者は、やられ損ではいけないのです。加害者には明るい未来があってはならないのです。悲劇として、加害行為とは無関係な加害者の関係者(親族など)までが、復讐の対象者としてみられることがあることです。

 この映画は『不条理』を扱っています。
 先日観た別の映画と同様の感想をもちました。
 不条理なこと(あるべき姿に反していること)、理不尽なこと(避けることが無理な圧力に屈すること)、不合理なこと(理屈にあわないこと)に折り合いをつけて生きていくのがおとなの世界です。許すことはできなくても、復讐をしてはいけないのです。復讐の連鎖を避けるためです。

 観終えて、恋愛映画だったのかと気づかされました。

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