2021年05月20日
わたしたちのカメムシずかん やっかいものが宝ものになった話
わたしたちのカメムシずかん やっかいものが宝ものになった話 鈴木海花(すずき・かいか)・文 はた こうしろう・絵 福音館
読み終えてみると本のタイトルの意味がわかります。
自分たちでつくるカメムシの図鑑なのです。
本の表紙には、可愛らしい男の子の絵が描いてあります。
自分にもあった小学二年生ぐらいのころの虫が大好きだった時代が脳裏によみがえりました。バッタとか、カマキリとか、アリジゴクを捕まえてきて、紙製のお菓子箱の中とか、自宅の庭で飼っていたこともありました。
思い出すに、自分の本格的な読書は、虫の「図鑑」から始まりました。小学二年生の時に、クラスにあった学級文庫から借りていました。
カメムシは最近あまり身近で見かけることがなくなりました。都市化された地域で暮らしているからでしょう。(これを書いた数日後に家のベランダで見つけました。大きめの立派なカメムシでした)
本の舞台は岩手県にある葛巻(くずまき)という町です。人口は7000人ぐらいです。本の中の絵を見ると、里山や畑の緑が多いいなかの町です。何もないといえば何もないように見えます。娯楽施設とか観光の場所、飲食店などのお店が見当たりません。
最近のテレビでよく見る田舎の風景を散策、探検する番組に出てくるようなところです。
地図で調べたら、昔、東北旅行へ行ったときに、レンタカーで高速道路を走ったのですが、葛巻町のそばを通っていたことがわかりました。親近感が湧きます。葛巻町は、盛岡市の近くで、西南に岩手山があります。
カメムシが集団化しているそうです。カメムシは、11月ごろに寒い冬を避けるために家の中に入ってくるそうです。
校長先生を描いた絵が、最初は、男性なのか、女性なのか区別がつきませんでした。最後まで読んで、女性だと判断しました。最近の男女平等を強調するご時世で、中性的に描いてあるのかなと考えました。昔の絵本だと、朝礼台の上で、太ってメガネをかけたおじさん校長先生が、ふんぞりかえっている絵が思い浮かびます。
カメムシは、やっかいものという位置づけでお話が始まります。害虫扱いです。デメリットばかりでメリットがない。(悪いところ。良いところ)
でも、カメムシのせいにして、宿泊したのに、ホテル代を払わない人はひどい人です。自然を知らない都会人が増えました。このあいだ動物園に行ったら、小学生の女の子が「こんな汚いトイレはいやだ」と母親に向かって怒っていてびっくりしました。池のそばの公衆トイレですが、年配者のわたしからすればきれいなトイレでした。わたしがこどもころは当然水洗トイレではなく、どっぽん便所の汲み取り式が主流でした。水洗トイレを生まれて初めて見たのは、小学二年生のときでした。使い方を教えてもらいました。ひもを引っ張ると上から水が落ちてきて便器を洗い流す方式でした。
もし自然災害が起こって、便利なものがみんな使えなくなったら、新しい世代の人たちはどうやって生き残っていくのだろうかと心配です。
「ナカグロカスミカメムシ」は小さい。
校長先生が「カメムシはかせになろう」という提案をされます。
葛巻町には、カメムシにとって、快適な環境があるのです。
「クサギカメムシ」の絵が校長室の横にある掲示板にはりだされました。
知らないことを知る。学習の手法としての「研究」です。カメムシの名前がいろいろあります。だれがどうしてどうやって、この名前を付けたのだろう。興味が湧きます。「スコットカメムシ」「ツマジロカメムシ」どちらのカメムシも紫色だそうです。だんだんカメムシの種類が増えてきました。
カメムシの種類は人間の種類のようなものです。「人種」とか「民族」みたいです。「オオヘリカメムシ」が出てきました。
カメムシの成長を「齢(れい)」という文字で表示してあります。人間の年齢とは数え方が違うようです。調べてみました。脱皮するごとに1齢(いちれい)、2齢(にれい)と増加していくそうです。
絵本の絵では、チャイロカメムシが5齢幼虫(ごれいようちゅう)として描いてあります。
あわせて、カメムシの口について書いてあります。ストローみたいな形をしています。「口吻(こうふん)」というそうです。
「エゾアオカメムシ」は、小さなアマガエルのようです。「アオクチブトカメムシ」も緑色をしています。
本の最後のところに「書き方の例」というペーパーが付けてあります。本の16ページに、この書き方の例を使用した観察の絵と文章が展示してあります。数えてみると、カメムシの種類が30ぐらいあることがわかります。それらを見学しているこどもの数が16人です。こどもの数よりカメムシの種類の数のほうが多いのでびっくりしました。次のページをめくると、カメムシは世界に3万8000種類あると書いてあってさらにびっくりしました。さらに、アメンボやミズカマキリもカメムシの仲間だそうです。驚くことばかりです。
カメムシには草食と肉食があるそうです。草食は、植物の葉やくき、実を食べます。肉食は、昆虫やクモを食べるそうです。
カメムシは5回も脱皮して、羽根のある成虫になるそうです。
カメムシの背中の模様は、デザイン作品をつくるときのヒントになりそうです。
カメムシだって、必要があるからこの世に生きています。
川の水があって、空から降る雨があって、植物や動物がいて、おいしい空気がある。カメムシにとっては楽園のような葛巻町(くずまきまち)です。自然が豊かです。
「アカスジキンカメムシ」は宝石のように見える美しい背中をもっているそうです。
カメムシがくさいという話が出ます。
人間だっておならをします。
カメムシは自分のくさいにおいで死ぬこともあるそうです。ちょっと信じられないような出来事です。
コリアンダー:植物。セリ科の一年草。料理に使用する。
欧米や東南アジアの人たちは、香辛料や香水が好きです。
カメムシにイヤなにおいを出させないようにするには、「やさしく、そっと」扱うことが大切だそうです。
カメムシがどうして集団で集まるのか。身を寄せ合って、乾燥を防いで、適度の湿気と温度を保つためだそうです。
いろいろと人間生活と似ている部分もあります。
カメムシにも天敵がいるはずだと思って読んでいたら、次のページに野鳥の絵が出てきました。やっぱり鳥に食べられてしまうんだ。
図鑑は、できあがっているものを見るだけではなく、自分でつくってみてもいい。自分でつくる喜びもあります。創意工夫が楽しみです。
絵本の中では、図鑑を自分でつくるとわからないこと、間違ってしまうことがあるので、専門家にみてもらうことになりました。
研究するといろんなものが「数値化」されていきます。
こどもたちがつくった図鑑には、35種類のカメムシが登載されたそうです。36ページと37ページには、たくさんのカメムシの絵があります。子ども向けテレビ番組の戦隊ものに出てくるメンバーとか、ポケモンの種類を思い出します。
カメムシもまた地球にすむ家族なのです。
マイナーな世界(あまり知られていない世界)に光をあてた科学に関する絵本作品でした。
読み終えてみると本のタイトルの意味がわかります。
自分たちでつくるカメムシの図鑑なのです。
本の表紙には、可愛らしい男の子の絵が描いてあります。
自分にもあった小学二年生ぐらいのころの虫が大好きだった時代が脳裏によみがえりました。バッタとか、カマキリとか、アリジゴクを捕まえてきて、紙製のお菓子箱の中とか、自宅の庭で飼っていたこともありました。
思い出すに、自分の本格的な読書は、虫の「図鑑」から始まりました。小学二年生の時に、クラスにあった学級文庫から借りていました。
カメムシは最近あまり身近で見かけることがなくなりました。都市化された地域で暮らしているからでしょう。(これを書いた数日後に家のベランダで見つけました。大きめの立派なカメムシでした)
本の舞台は岩手県にある葛巻(くずまき)という町です。人口は7000人ぐらいです。本の中の絵を見ると、里山や畑の緑が多いいなかの町です。何もないといえば何もないように見えます。娯楽施設とか観光の場所、飲食店などのお店が見当たりません。
最近のテレビでよく見る田舎の風景を散策、探検する番組に出てくるようなところです。
地図で調べたら、昔、東北旅行へ行ったときに、レンタカーで高速道路を走ったのですが、葛巻町のそばを通っていたことがわかりました。親近感が湧きます。葛巻町は、盛岡市の近くで、西南に岩手山があります。
カメムシが集団化しているそうです。カメムシは、11月ごろに寒い冬を避けるために家の中に入ってくるそうです。
校長先生を描いた絵が、最初は、男性なのか、女性なのか区別がつきませんでした。最後まで読んで、女性だと判断しました。最近の男女平等を強調するご時世で、中性的に描いてあるのかなと考えました。昔の絵本だと、朝礼台の上で、太ってメガネをかけたおじさん校長先生が、ふんぞりかえっている絵が思い浮かびます。
カメムシは、やっかいものという位置づけでお話が始まります。害虫扱いです。デメリットばかりでメリットがない。(悪いところ。良いところ)
でも、カメムシのせいにして、宿泊したのに、ホテル代を払わない人はひどい人です。自然を知らない都会人が増えました。このあいだ動物園に行ったら、小学生の女の子が「こんな汚いトイレはいやだ」と母親に向かって怒っていてびっくりしました。池のそばの公衆トイレですが、年配者のわたしからすればきれいなトイレでした。わたしがこどもころは当然水洗トイレではなく、どっぽん便所の汲み取り式が主流でした。水洗トイレを生まれて初めて見たのは、小学二年生のときでした。使い方を教えてもらいました。ひもを引っ張ると上から水が落ちてきて便器を洗い流す方式でした。
もし自然災害が起こって、便利なものがみんな使えなくなったら、新しい世代の人たちはどうやって生き残っていくのだろうかと心配です。
「ナカグロカスミカメムシ」は小さい。
校長先生が「カメムシはかせになろう」という提案をされます。
葛巻町には、カメムシにとって、快適な環境があるのです。
「クサギカメムシ」の絵が校長室の横にある掲示板にはりだされました。
知らないことを知る。学習の手法としての「研究」です。カメムシの名前がいろいろあります。だれがどうしてどうやって、この名前を付けたのだろう。興味が湧きます。「スコットカメムシ」「ツマジロカメムシ」どちらのカメムシも紫色だそうです。だんだんカメムシの種類が増えてきました。
カメムシの種類は人間の種類のようなものです。「人種」とか「民族」みたいです。「オオヘリカメムシ」が出てきました。
カメムシの成長を「齢(れい)」という文字で表示してあります。人間の年齢とは数え方が違うようです。調べてみました。脱皮するごとに1齢(いちれい)、2齢(にれい)と増加していくそうです。
絵本の絵では、チャイロカメムシが5齢幼虫(ごれいようちゅう)として描いてあります。
あわせて、カメムシの口について書いてあります。ストローみたいな形をしています。「口吻(こうふん)」というそうです。
「エゾアオカメムシ」は、小さなアマガエルのようです。「アオクチブトカメムシ」も緑色をしています。
本の最後のところに「書き方の例」というペーパーが付けてあります。本の16ページに、この書き方の例を使用した観察の絵と文章が展示してあります。数えてみると、カメムシの種類が30ぐらいあることがわかります。それらを見学しているこどもの数が16人です。こどもの数よりカメムシの種類の数のほうが多いのでびっくりしました。次のページをめくると、カメムシは世界に3万8000種類あると書いてあってさらにびっくりしました。さらに、アメンボやミズカマキリもカメムシの仲間だそうです。驚くことばかりです。
カメムシには草食と肉食があるそうです。草食は、植物の葉やくき、実を食べます。肉食は、昆虫やクモを食べるそうです。
カメムシは5回も脱皮して、羽根のある成虫になるそうです。
カメムシの背中の模様は、デザイン作品をつくるときのヒントになりそうです。
カメムシだって、必要があるからこの世に生きています。
川の水があって、空から降る雨があって、植物や動物がいて、おいしい空気がある。カメムシにとっては楽園のような葛巻町(くずまきまち)です。自然が豊かです。
「アカスジキンカメムシ」は宝石のように見える美しい背中をもっているそうです。
カメムシがくさいという話が出ます。
人間だっておならをします。
カメムシは自分のくさいにおいで死ぬこともあるそうです。ちょっと信じられないような出来事です。
コリアンダー:植物。セリ科の一年草。料理に使用する。
欧米や東南アジアの人たちは、香辛料や香水が好きです。
カメムシにイヤなにおいを出させないようにするには、「やさしく、そっと」扱うことが大切だそうです。
カメムシがどうして集団で集まるのか。身を寄せ合って、乾燥を防いで、適度の湿気と温度を保つためだそうです。
いろいろと人間生活と似ている部分もあります。
カメムシにも天敵がいるはずだと思って読んでいたら、次のページに野鳥の絵が出てきました。やっぱり鳥に食べられてしまうんだ。
図鑑は、できあがっているものを見るだけではなく、自分でつくってみてもいい。自分でつくる喜びもあります。創意工夫が楽しみです。
絵本の中では、図鑑を自分でつくるとわからないこと、間違ってしまうことがあるので、専門家にみてもらうことになりました。
研究するといろんなものが「数値化」されていきます。
こどもたちがつくった図鑑には、35種類のカメムシが登載されたそうです。36ページと37ページには、たくさんのカメムシの絵があります。子ども向けテレビ番組の戦隊ものに出てくるメンバーとか、ポケモンの種類を思い出します。
カメムシもまた地球にすむ家族なのです。
マイナーな世界(あまり知られていない世界)に光をあてた科学に関する絵本作品でした。
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