2021年05月18日

どこからきたの? おべんとう 鈴木まもる

どこからきたの? おべんとう 鈴木まもる 金の星社

 きれいな絵です。書かれていることが、生き生きして輝いて見えます。
 表紙をめくると、食材とその運送手段の絵があります。それから昔風のお弁当箱の絵があります。

 小学校低学年のこどもたちが、学校の野外学習で外に出て、みんなでお弁当を開く時間が来たようです。
 昔風の木でつくられた楕円形のお弁当箱の絵があります。こどもたちが「これくらいのおべんとばこに……」という歌を習ったのは、こどもたちが幼稚園時代をおくったころでしょう。そんなことを思いました。自然と頭の中に曲のメロディーが流れ出します。
 おべんとう箱も最近は、化学製品がほとんどです。キャラクターが付いたものも多いです。

 もっと昔のお弁当は、おにぎりとおかずの卵焼きでした。お母さんがその朝に握ってくれたものでした。
 遠足に行くと、お互いのおにぎりを見せ合って、大きいとか小さいとか、おにぎりの形が丸いとか楕円形だとか話しながらいっしょに食べました。
 この絵本のおべんとうは、おにぎり、バナナ、アジフライ、たくあん、ミニトマト、ポテトサラダ、タルタルソース、ブロッコリーとコーンのマヨネーズあえということで豪華です。

 つぎに、各食材の流通経路とお弁当のおかずになるまでの紹介があります。そして、食材ひとつひとつについて同様の考察が続きます。
 かなり細かい説明で、今はもう見かけなくなりましたが、百科事典を読むようです。
 たまごやきのたまごは、めんどりが卵を産むところから始まって、おかあさんがフライパンで料理をしてくれるところまでいきます。流れ図です。

 ポテトサラダのことが描いてあります。さきほどのたまごは「養鶏場(ようけいじょう)」こんどは「ジャガイモ農家」です。以前、北海道に行ったときに広大なジャガイモ畑を見ました。まわりには、道路と畑しかありませんでした。レンタカーを借りて、ひたすらまっすぐな道を延々と走りました。

 おにぎりは「お米」です。「米農家」があります。機械化が進みましたが、昔は、家族総出で田植えや稲刈りをしました。中学一年生のときに稲刈りをしたことがあります。のこぎりの歯のようなトゲトゲが付いたカマを使って、イネの根元を握って切っていく作業でした。腰が痛くなりました。
 絵本ではお米に続いて、おにぎりをつつんでいるノリ養殖業者のことが描いてあります。
 日本各地、いや世界各地も含めて、おべんとうのなかに食材がつまっているのです。
 
 「漁業」があります。いろいろなおさかなの絵が魚の名とともに描いてあります。この絵本はこどもさんにとって楽しいものになるでしょう。新しい知識の提示があります。
 ぜいご:アジの尾に近い側面にあるトゲのようなウロコ
 アジフライを食べている男の子は、おいしそうに食べています。

 ミニトマトは「育てる」種から家族で育てたものです。
 ブロッコリーとコーンと続きます。
 なかなか細かい流れ図の内容です。
 たくあんは、だいこんからおばあちゃんがつくります。
 バナナはフィリピンあたりから大きな輸送船で海をこえて日本に届けられます。
 クモカリドリ:くちばしが長くて少し曲がっている。緑色。小さな鳩ぐらいの大きさか。絵本では、バナナの葉の裏に巣をつくると書いてあります。
 
 おべんとうばこやおべんとうぶくろの材料になっている板や布の説明もあります。
 この絵本では、お弁当箱の材料以外のことについても、昔と現在が、混在したように描いてあります。
 
 りくつっぽい内容ですが、こどもさんは興味をもつでしょう。
 
 絵の中では、お昼ごはんを食べたあと、こどもたちがボール遊びをしています。
 こどもは、勉強やスポーツができるとかできないとかいうことを横に置いといて、とりあえず、元気で生きていてくれればそれでいいと読み手の自分は思うのです。

 最後は親を敬う。(うやまう)親に感謝するのです。(おべんとうをつくってくれたおかあさんにありがという気持ちを伝える)

 この絵本を読んで、だれかがつくってくれたお弁当を食べるだけでなく、自分で自分好みのお弁当をつくって楽しめるようになれるといいですね。

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