2021年04月22日

イーダちゃんの花 アンデルセン 

イーダちゃんの花 原作・アンデルセン 文・角野栄子 絵・市川里美 小学館

 松谷みよ子作品『ふたりのイーダ』のなかで、登場人物のニックネーム「イーダ」の由来としてこの絵本が紹介されていたので読んでみました。
 『ふたりのイーダ』は広島原爆投下の犠牲者のことがからんだお話になっていました。

 アンデルセン:デンマークの童話作家。「マッチ売りの少女」「みにくいアヒルの子」「人魚姫」「裸の王さま」など。1805年-1875年、70歳没 日本は江戸時代後期から明治時代初期のころ。明治元年が1868年。

 優しくて落ち着いた色合いの絵です。ページをめくりながら、絵を見てから文章を読んでいます。
 小学生ぐらいのイーダと家庭教師をしている男子学生さんとの会話のようすだと想像して読み始めました。
 学生は、花が枯れてしまっていると嘆くイーダに、花は舞踏会に行った。花は踊り疲れて枯れてしまったと説明します。
 ヨーロッパの雰囲気があります。王さまがいて、女王さまがいて、王子や王女がいる世界です。君主制でひとりの人間が国家を統治する社会制度です。王族と高級聖職者が国をコントロールしていた時代でしょう。
 チョウたちが飛ぶ絵がきれいです。
 冬になって、王さまたちがまちの城へ帰ると、いなかにある城に花たちが入って来て、歌や踊りの舞踏会を開催するそうです。
 繰り返し読んでみると、少女のイーダは、「イーダさん」ではなくて、「イーダちゃん」のようです。小学生ではなくて、小学校就学前ぐらいの女の子で、お花を使って、ままごとごっこをしているように見えます。イーダちゃんは、しおれたお花をベッドに寝かせました。
 月の光に照らされながら花たちが踊ります。童話や少年少女向け文学では『月』がよく出てきます。こどもにとって『月』にはなにかしら魅力があるのでしょう。
 楽しい夢が広がります。おもちゃのチャチャチャという歌で、兵隊さんが夜中に動いたり、洋画アニメであるトイ・ストーリーのシーンが思い浮かんだりします。

 お話のなかはお祭り騒ぎになってきました。
 ミュージックとダンスです。

 でも花にも命の期限がありました。
 されど花は種になりました。
 命は続くのです。

 文章にある「ノルウェーからいとこたちが来る」というのは、舞台がデンマークという土地柄でしょう。
 最後のページは、お花のお墓がつくられているシーンです。
 フランス映画『禁じられた遊び』を思い出しました。なんだか心にしみじみとくる絵本でした。反戦のメッセージがあるなと勝手に自己解釈をしました。

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