2021年04月02日
わたしもかわいく生まれたかったな 川村エミコ
わたしもかわいく生まれたかったな 川村エミコ 集英社
先日、テレビのマラソン中継で、一般ランナーとして走っている著者をお見かけしました。かなりたいへんそうでした。
こちらの本は、書評のページを見ていて興味が湧いたので手に入れて読み始めました。
ページ数、文字数は少ない小品です。ちびまる子ちゃんのように小学校低学年頃のお話が多い思い出の自伝です。インタビューをゴーストライターが書いたものかと予想しましたが、ご自分で書いておられることが伝わってくる文章です。
「悲しみのマミー券」から始まります。なんだか、悲しい思い出からのスタートです。このあとも周囲との容姿の「比較」で悩む日々が続きます。幼児のころからの孤独です。「ヒロシです」という自虐ネタに通じるものがあります。
幼児だった頃の著者の心が傷ついた保母さんのひとことについては、労働というものは、だれしも、楽で、もらうお金が良くて、休みが多いほうがいいというのが本音ですから仕方がないことでしょう。
父親の仕事が不明で不安だったというお話は独特でした。いまはどうか知りませんが、昔の父親はこどもとの会話が少なかった。父親は仕事のことばかりを考えていました。
見た目で嫌な思いをすることが多かったようです。されど、見た目がいい人の苦労もあるような気がします。あたりまえのことですが、人間の外見の見た目と中身の心は違います。
著者はまじめです。そして、陰口恐怖症(人のかげぐちきょうふしょう)の気配があります。
祖父の危篤時に著者だけが運動会とはいえ行かなかったのは不思議でした。いっしょに行くのが普通のことだと思えるのです。
著者にその気はないのでしょうが、うらみはらしますの面もなきにしもあらずの文面です。
孤独な時間を埋めるために、鉛筆でノートの1ページを真っ黒になるまで塗って時間つぶしをする。すごいエネルギーです。
言葉を繰り返して強調するところが文章の特徴です。
「皿うどん」とはなんのことかと思いながら読んでいました。やはり「焼うどん」のことでした。そのことに著者が気づくのに三十年かかったそうです。案外そういうことってあると思います。
いじめにあった話はお気の毒です。内容は陰湿です。一般的にいじめたほうは忘れても、いじめられたほうは忘れません。
引っ込み思案なようすが書かれています。あんがいそういう人が芸能界には多い。
役者をしていた伯父さんの影響で舞台に興味をもたれています。やはり親族から受ける進路のきっかけは多い。
ときおり出てくる「それもまた別のお話しです」という文節の意味がわかりませんでした。また別の本で書きますということなのか。いまこの本では書きませんということなのか(結果としてもうどこにも書かないということなのか)
こけしの話が出てきて、バス鉄道対決の旅の村井美樹さんを思い出しました。読んでいて、こけしに執着する理由がよくわかりました。こけしが、ご自身と重なるそうです。ゆえに困難に耐えることができる。こけしの写真をみながらなんだかすごいなあと思いました。
ときおり強調されるのが、「自分は、母親が38歳、父親が40歳のときに生まれた子どもです」という文章です。読みながら、そうかとつぶやきつつ、わたし自身は母親が23歳のときに生まれたこどもなので実感が湧きませんでした。
ご自身のおばあさんのお話が良かった。戦争の話、関東大震災の話をしてくださっています。おばあさんの口癖が「とにかく生きなきゃならない」だったそうで、同感です。
エジプトに行ったことがないけれどエジプトの絵を描くことが好きなお母さんも素敵です。
最後のほうまで読み続けてきて思ったのは、女の人もたいへんなんだなぁということでした。
思い切っていろいろ書かれています。
人生を謳歌しているようないい感じでした。謳歌(おうか):おおいに楽しむこと。
調べた単語などとして、
フレンチクーラー:シュー生地を揚げたドーナッツ。ねじれがあるのが特徴
せせり:焼き鳥。ニワトリの首まわりの肉
グリスト:厨房排水にある油脂、残飯を阻止する装置
所謂(いわゆる):世間で言われている。
先日、テレビのマラソン中継で、一般ランナーとして走っている著者をお見かけしました。かなりたいへんそうでした。
こちらの本は、書評のページを見ていて興味が湧いたので手に入れて読み始めました。
ページ数、文字数は少ない小品です。ちびまる子ちゃんのように小学校低学年頃のお話が多い思い出の自伝です。インタビューをゴーストライターが書いたものかと予想しましたが、ご自分で書いておられることが伝わってくる文章です。
「悲しみのマミー券」から始まります。なんだか、悲しい思い出からのスタートです。このあとも周囲との容姿の「比較」で悩む日々が続きます。幼児のころからの孤独です。「ヒロシです」という自虐ネタに通じるものがあります。
幼児だった頃の著者の心が傷ついた保母さんのひとことについては、労働というものは、だれしも、楽で、もらうお金が良くて、休みが多いほうがいいというのが本音ですから仕方がないことでしょう。
父親の仕事が不明で不安だったというお話は独特でした。いまはどうか知りませんが、昔の父親はこどもとの会話が少なかった。父親は仕事のことばかりを考えていました。
見た目で嫌な思いをすることが多かったようです。されど、見た目がいい人の苦労もあるような気がします。あたりまえのことですが、人間の外見の見た目と中身の心は違います。
著者はまじめです。そして、陰口恐怖症(人のかげぐちきょうふしょう)の気配があります。
祖父の危篤時に著者だけが運動会とはいえ行かなかったのは不思議でした。いっしょに行くのが普通のことだと思えるのです。
著者にその気はないのでしょうが、うらみはらしますの面もなきにしもあらずの文面です。
孤独な時間を埋めるために、鉛筆でノートの1ページを真っ黒になるまで塗って時間つぶしをする。すごいエネルギーです。
言葉を繰り返して強調するところが文章の特徴です。
「皿うどん」とはなんのことかと思いながら読んでいました。やはり「焼うどん」のことでした。そのことに著者が気づくのに三十年かかったそうです。案外そういうことってあると思います。
いじめにあった話はお気の毒です。内容は陰湿です。一般的にいじめたほうは忘れても、いじめられたほうは忘れません。
引っ込み思案なようすが書かれています。あんがいそういう人が芸能界には多い。
役者をしていた伯父さんの影響で舞台に興味をもたれています。やはり親族から受ける進路のきっかけは多い。
ときおり出てくる「それもまた別のお話しです」という文節の意味がわかりませんでした。また別の本で書きますということなのか。いまこの本では書きませんということなのか(結果としてもうどこにも書かないということなのか)
こけしの話が出てきて、バス鉄道対決の旅の村井美樹さんを思い出しました。読んでいて、こけしに執着する理由がよくわかりました。こけしが、ご自身と重なるそうです。ゆえに困難に耐えることができる。こけしの写真をみながらなんだかすごいなあと思いました。
ときおり強調されるのが、「自分は、母親が38歳、父親が40歳のときに生まれた子どもです」という文章です。読みながら、そうかとつぶやきつつ、わたし自身は母親が23歳のときに生まれたこどもなので実感が湧きませんでした。
ご自身のおばあさんのお話が良かった。戦争の話、関東大震災の話をしてくださっています。おばあさんの口癖が「とにかく生きなきゃならない」だったそうで、同感です。
エジプトに行ったことがないけれどエジプトの絵を描くことが好きなお母さんも素敵です。
最後のほうまで読み続けてきて思ったのは、女の人もたいへんなんだなぁということでした。
思い切っていろいろ書かれています。
人生を謳歌しているようないい感じでした。謳歌(おうか):おおいに楽しむこと。
調べた単語などとして、
フレンチクーラー:シュー生地を揚げたドーナッツ。ねじれがあるのが特徴
せせり:焼き鳥。ニワトリの首まわりの肉
グリスト:厨房排水にある油脂、残飯を阻止する装置
所謂(いわゆる):世間で言われている。
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