2021年02月27日

コレット 洋画DVD

コレット 米国・英国・ハンガリー製作 2019年日本公開 DVD

 フランスの女性小説家。1873年-1954年。81歳没の伝記映画です。
 小説家の夫の代わりに14歳年下の妻が小説を書きます。いわゆるゴーストライターです。ゴーストライターは売れなければ問題は発生しないのですが、彼女が書いた小説は爆発的にヒットします。当然著作権でもめます。夫はクズ男です。印税で得た収入で女遊びをしたり、ギャンブルをしたり、遊びほうけます。されど夫にとってゴーストライターの妻は金づるです。夫の言うことは嘘ばかりです。
 この映画がもつひとつのメッセージとして、女性が男性から独立する。女性が男性の収入に頼らないで生活していくということがあります。ゆえに男尊女卑の下地がある映画です。
 もうひとつのメッセージは、性差別への闘いです。女性に生まれて来たけれど心は男性という夫人が登場します。コレットと彼女が恋愛関係になります。
 
 映像が絵画のように美しい。蒸気機関車の白い蒸気を見ていると落ち着きます。時代背景が、1890年代の映画です。日本では、明治元年が1868年でした。

 パリのお金持ちの夫人は、田舎から出てきた主人公の女性コレットをばかにします。ひどい言葉をいくらでも投げつけてきます。(都市に住むご婦人は、田舎者より自分のほうが上でいたい)
 生きているカメに電灯で装飾がほどこされています。田舎娘のコレットは、生き物が人間の犠牲になっているとして、電気装飾されたカメに優しい。
 主人公のコレットが住んでいた地方のフランス田園風景の映像が流れますが、建築物が林立している都市よりも自然が豊かなほうが上等だということがお金持ちの夫人にはわかりません。
 パリにあるのは、夜の飲酒と紫色のタバコの煙がこもった暗い室内となにかをばかにするジョークなどです。パリの人間は色と金銭欲にまみれています。おごりたかぶる金持ち社会があります。
 それでも、コレットは目覚めます。音楽や歌を聴いて、演劇を観て、彼女の文才が芽を出します。まだ、テレビがなかった時代ですから、金持ち社会で、実演の歌と踊りと演劇を観ることができたのは彼女にとってのチャンスでした。ですからていねいに考えると、人間関係が広い夫との生活には、もちつもたれつの部分がありました。ただ、夫と妻のバランスの均衡がとれていなかった。
 爆発的に売れた小説作品は、女性の一人称語りですから、中年の男性が書ける内容ではないことは、読者の一部は承知していたのでしょう。ゴーストライターがいるぞと。それでも当時は通用する社会だったのでしょう。

 この映画が目指しているのは娯楽作品ではなく芸術作品であろうと受け止めました。けっこうなんども性描写が出てきます。映像で観ると美しいのですが、実際には体力がいる肉体労働で疲れるだけです。登場人物たちは、心の求めるままに愛の行為を続けるみたいな意思表示をしますが、現実的ではありません。やがて体がもういいわ。やめてくれと言い出すでしょう。

 妻コレットがイカサマ師の夫に最後に言い放った言葉が良かった。「もう修復は不可能よ!」

 ちょっと気になったので調べておきました。
 フランスパリのエッフェル塔:1889年3月15日竣工 先端の高さ324m 1889年は明治22年
 東京タワー:1958年12月23日竣工 高さは333m

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