2021年02月26日

ビロードのうさぎ 酒井駒子・絵・抄訳

ビロードのうさぎ マージェリィ・W・ビアンコ原作 酒井駒子・絵・抄訳 ブロンズ新社

(1回目の本読み)
 四歳ぐらいの男の子の絵があります。小ぶりのうさぎのぬいぐるみ人形があります。
 ビロード:織物の生地。ドレスやカーテンに使用される。
 ピンクサテンの耳:織物。光を反射してなめらかで高級感がある。

 うさぎのぬいぐるみは、ほかのおもちゃたちから、おもちゃとしての価値が低い。本物のおもちゃじゃないとばかにされますが、男の子はうさぎのぬいぐるみといっしょにベッドで寝るようになり、うさぎのぬいぐるみと会話をするようになります。
 うさぎは、おもちゃの世界で、肩身の狭い思いをしていましたが、だんだん自分が本物に近づいていく実感が湧いてきてうれしい。

 人間であるお片付け係のナナさんはお手伝いさんです。うさぎのぬいぐるみのことを良くは思っていません。

 読んでいて、ふと、現在、うさぎを飼っている知り合いのことを思い出しました。ぬいぐるみではなく、本物のうさぎです。自分自身も小学生の時にうさぎを二匹飼っていたことがあります。死んでしまいました。かわいそうなことをしたという思い出がよみがえりました。

 この絵本物語は、最後をどう落とすのだろう。
 つまり、オチはどうするのだろう。

 不思議な感覚に陥る(おちいる)結末です。
 結末は違いますが、小学生のころに読んだ少年ニルスと渡り鳥のリーダーアッカさんとの心の交流を描いた「ニルスの不思議な旅」の結末が頭にふと浮かびました。こびとにされたニルスは鳥と会話ができたのに、こびとから少年の姿に戻ったニルスは渡り鳥のアッカさんと会話ができなくなりました。
 
 この絵本では、「物」をどこまで大切にするかという質問の投げかけがあります。以前だったら、もったいない精神で、いつまでも物を大切にしてとっておくとなるのですが、今では考えを切り替える世の中に変化しました。
 物を大事にしすぎると家の中が散らかり放題になってしまうのです。そして、自分にとって大切だと思っている物であっても、人から見れば価値がないものなのです。歳をとってきて、ようやくそういう真実がわかりました。持ち主が死んだあと、残っている人が困るのです。自分が大切な物は、人も大切に思ってくれていると思っていました。誤解でした。

(2回目の本読み)
 絵本の絵に着目してページをめくってみます。
 うさぎの碧色(みどりいろ)の目に魅力があります。ヒスイのような宝石の輝きです。
 うさぎはまるで生きているようです。
 玩具の白馬も生きているようです。絵本の絵というよりも油絵のような絵画です。
 幼児は寝るときにだれかがいっしょに寝てほしいものです。
 親といっしょに寝ない子は、ぬいぐるみといっしょに寝ます。
 ぬいぐるみに気持ちが依存することをなんとかといったような。
 以前書いた感想文を探してみたら出てきました。『2歳から8歳ぐらいに出るという「イマジナリーフレンド」「見えないお友だち」「空想上の友だち」』 成長していつかは別れるともだちです。こどもはいつかひとりだちしなければなりません。

(3回目の本読み)
 油絵というよりもパステル画風でした。
 上品で気持ちが落ち着く作品でした。

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