2021年02月17日

マナーはいらない 小説の書き方講座 三浦しをん

マナーはいらない 小説の書き方講座 三浦しをん 集英社

 小説の書き方講座です。
 コバルト短編小説というのがベースにあるようですが、自分はそれを知りません。若い人たちが応募するのでしょう。

 メッセージの趣旨は、小説を書くのは自由。されど、ここを踏まえるともっとよくなるというものです。

 内容の構成は、レストランで食べる料理のようにコース仕立てになっています。
 全部で24皿の料理が出るそうです。

 本を読みながら、創作は「悪役」を設定するところから始まるのかなあと発想しました。次に「主役」、それから脇役(第三者)

 人称の話で、短編順番結合方式(別人の一人称で短編を書いてつなげていくやりかた)は、ときおりみかけます。

 記憶に残ったワードとして、「神の視点」「自分の書きたいように書く」「主役に弱点をもたせる」「時間に神経を配る」

 著者は、文学賞応募作品の選考をされているので、適切なアドバイスがあります。
 おもしろかったのは、よくあることなのでしょうが、冒頭は濃厚で、進むにつれて密度が薄くなる。創作者の気持ちの維持がむずかしい。

 この本の文章は話し言葉の連続のような文章です。

 自己評価されているように「理詰めでものを考えるタイプではない」そうなので、やはり、文章は生まれもった才能と自身の努力で書くものなのでしょう。
 文章を書けるということは、生まれもったひとつの能力だと気づきました。スポーツにおけるなにかの種目と同じです。

 売れている小説家の方なのに「気づけば一週間ぐらいだれともしゃべっていない(黙々と書き続けていたから)」ということがあるそうです。また、昼夜逆転生活という文章もありました。驚きました。一週間のうちにたまには仕事の打ち合わせぐらいありそうなものですが、実態は違うのでしょう。

 公募への応募作の中身で「だれのセリフなのかわからない」ものがある。
 ありがちです。
 提示された対処法は適切だと思いました。

 描写は全体ではなく、ピントを合わせるように。
 共感しました。

 登場人物が住む部屋の間取りや地図をイメージする。
 創作者に役立ちそうです。
 本書はエッセイというよりも実用書です。

 取材方法として飲み会をすることにはびっくりしました。
 取材時にメモを取らないという部分には納得しました。

 ご自身は小説の書き方的な本をほとんど読んだことがないそうなので、それぞれ各自が考えて書けばいいのでしょう。

 調べた言葉などとして、
 ゲラ(校正刷り):試し刷り
 目論見(もくろみ):企て、計画
 バリオタ:バリバリのオタク?
 HiGH&LOW:ハイロ―。テレビドラマ? 映画? 物語? あいにく知りません。
 エモい:感情が高まった状態
 中二感:青臭い
 欲望の翼:1990年のイギリス領香港映画。恋愛群像劇。主役がレスリー・チャン(2003年46歳没)
 原民喜(はら・たみき):詩人、小説家。1951年45歳没
 エージェント:代理人
 パブロフの犬:条件反射
 虚心坦懐(きょしんたんかい):素直でさばさばしている。
 アドレナリン:神経が昂る(たかぶる)ホルモン。心臓ドキドキ、血圧上がる。
 脳がトリップ状態になる:幻覚状態?
 マグノリア:1999年製作のアメリカ映画。男女9人24時間の群像劇
 アンソロジー:同じテーマで複数の作家が作品をつくって集める。
 ルサンチマン:弱者が強者に怒りの感情をもつ。
 縷々(るる):こまごまと。
 パリピ:パーティピープルとかパーリーピーポー。パーティ好きな人

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