2020年12月24日

(再鑑賞)しあわせの隠れ場所 アメリカ映画DVD

(再鑑賞)しあわせの隠れ場所 アメリカ映画DVD 2009年米国公開

 どなたか忘れてしまいましたが、この映画を大好きな女優さんがいて、なんども繰り返し観ていますということをテレビのインタビュー番組で話されていました。
 クローゼットを整理していて古いDVDが出てきたので観てみました。

 実話とあります。
 主人公のマイケル・オワーは、かなりつらい境遇にあります。父親は不明死(転落)、母親は薬物中毒で、マイケルは7歳のときに児童相談所に保護されています。本人にとっては、たぶん大部分が面識のない12人兄弟姉妹(父親違い)がいます。本人は、里親を転々として、映画では高校生から始まっています。巨体ですが、心は優しい。平和主義者で、「お花が好きな牛」と呼ばれています。特技として、運動能力が高い。ただし学校の成績はよくない。
 彼は寝るところがない(家がない)から体育館で寝ると言います。体育館は暖かいからという言葉に、うちへ来なさいと声がけをする女性がいます。その後、彼の後見人になるサンドラ・ブロックさんが演じるファミリーは事業家の夫のおかげで裕福です。ご家族は、お金持ちだけど意地悪な人たちではありません。心が広い。夫婦仲も親子の仲も良い。旦那さんが奥さんにいろいろと押されるのですが、旦那さんは、奥さんの要求を受け止めて、受け入れます。言い出したらきかないからという、あきらめもあります。
 気持ちのこもった心温かい映画です。
 学校の成績がかんばしくないマイケルの家庭教師候補女性が、自分は民主党支持者だが(雇ってもらって)いいのかとたずねます。ちょっとわからなかったのですが、どうも米国は、白人が共和党支持で、有色人種は民主党支持という区別があるようです。この映画には、肌の色の違いによる人種差別はやめようというメッセージがあります。
 映画を観ている自分はアメリカンフットボールのルールとか戦法がわからないので、試合シーンはよくわからないのですが、わかる人が観たら興奮できるのでしょう。
 
 アメリカ人が好きなサクセスストーリー(成功物語)です。夢の実現とヒーローの誕生があります。ユーモアもちりばめてあります。
 アメリカ人は誇りと勇気を大事にします。映画は後半になるにつれて、小説を読んでいるような雰囲気になってきます。考える素材はシンプルです。
 子の養育ができない母親について、人間としてどうなのかという考えにも至ります。実父母がどうすることもできなければ、代わりにどうにかできる人が養育を肩代わりすることは悪いことではないという結論にたどりつきます。

 後半、サンドラ・ブロックさんやファミリーが、マイケルを自分たちの欲望(慈善による自己顕示欲)を満足させるための道具として使ったのではないかという疑惑が生まれて関係機関の取り調べがあります。
 後見人の女性は、人助けで病的な満足を得るタイプと分析されます。
 あわせて、大学への不適正な入学の疑いをかけられます。
 マイケルがサンドラ・ブロックさんに投げかけた言葉があります。「ぼくはバカじゃない(他者からの指摘・評価として、ぼくは、あなたの自己満足のために利用されたことになっているがそんなことはない)」そのあと、彼は、自分で自分の意見をはっきりと事情聴取の相手に言葉で表現します。自分の意思でしていることで、(血はつながっていないが)自分はみんなを家族だと思っている。

 「家族」という固まりを大事にする映画でした。「家族」は血縁関係で結ばれているのではなく、気持ちで結ばれているのです。
 シーンをさかのぼってみると、後見人の手続きを始める前にサンドラ・ブロックさんがマイケルに問いました。
 「うちの家族の一員になりたいか?」
 ひと呼吸おいて、マイケルが答えます。「もう(家族に)なっていると思っていた」そのシーンがとてもよかった。


(2015年12月のときの感想)
しあわせの隠れ場所 洋画 DVD
 使い古しの安いDVDを手に入れて観ているので、たまに調子が悪くなったりします。このDVDでは、1時間ぐらい過ぎたあたりでトラブルになり、画面が動かなくなってしまいました。あれこれやってもだめで、別の部屋にある新しいデッキを使ったら徐々に動くようになりました。その結果、同じシーンを何回か繰り返して観ました。おかげで、最初は理解できなかった最初と最後のシーンがつながることとか、アメリカンフットボールのルール(ほんの少しわかった)、キリスト教の教え、人種差別問題、大学入試制度、奨学金制度、貧困問題などを少し理解し、映画のもつメッセージが伝わってきましした。作り話っぽくあったり、強引であったり、理想主義であったりもしますが、気持ちに響いた今年観てよかった1本です。
 家庭と両親に恵まれない、なおかつ、学力も低い、けれども、運動能力は抜群の黒人高校生マイケル・オアー少年をリー・アン・テューイファミリーが支えて一流のアメリカンフットボール選手に育て上げます。
 ヒューマン(人道的、人として守るべき道)です。「育てる」ことの苦労と喜びが表現されていました。温かい気持ちになれます。

 主役のサンドラ・ブロックさんという女優さんは、「ゼロ・グラビティ(無重力)」を映画館で観ました。宇宙事故で、宇宙でひとりぼっちになった彼女が地球に生還する映画でした。圧巻の演技でした。

 ファミリーのなかの少年役がなかなかの芸達者でよかった。笑いました。

 主人公の運動能力で特徴的なのは「攻撃」ではなく「保護」です。守る。守備力が高い。それが、家族を守るとか、チームは家族という言葉につながっていきます。
 幼年時代・少年時代に貧困や暴力でつらい思いをしたから「忘却すること」によって苦痛を逃れることを覚えた主人公には、過去の記憶がほとんどありません。彼の脳には、ときおりフラッシュバック(嫌な記憶が瞬間的に脳によみがえる)が起こります。
 徹底的に守るという性質が、アメリカンフットボールの中にあるなにかのポジションに適しているという設定でした。

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