2020年12月16日

(再鑑賞)太陽がいっぱい フランス・イタリア映画

(再鑑賞)太陽がいっぱい フランス・イタリア映画VHSビデオテープ 1960年公開

 棚の整理をしていたら奥から出てきたビデオテープです。もう60年前の映画になってしまいましたが、きれいな画像で観ることができました。

 犯罪映画です。最後にどんでん返しがあります。
 なんだかつまらない出だしです。チンピラみたいなふたりがふざけています。アランドロンがとても若い。24歳ぐらいです。現在は85歳です。
 ふたりの青年のうちのひとりが目が見えない障害者のふりをして女性をだまします。うそつきです。大金持ちの資産家の息子と彼の子分のような貧民のアランドロンです。
 資産家の息子はドロンをさげすみ馬鹿にしますが、ドロンは彼のおこぼれで生活しています。そこが犯行の動機になっていきます。彼を殺して彼になりすまして、彼の財産と彼の彼女を手に入れる。
 
 昔のフランスやイタリアの景色を映像で楽しむことができます。タイムトラベル、時間旅行です。

 貧しいことで差別を受けた人間が、いばるお金持ちに仕返しをする。永遠に続く素材と主題なのでしょう。
 嘘はばれます。だから、手法として、犯人に嘘をつかせて嘘をあばく。杉下右京の「相棒」方式の構成手法です。もっともこちらの作品のほうが先に出来上がっていますが。
 殺人+詐欺+死体遺棄、無期懲役か死刑か。
 もうひとりの犠牲者の災難は目の前に迫っています。前方になにが待ち受けているか注意しなければ。
 演劇のようでもあります。少人数で物語を進行させていきます。
 
 主人公の最後のセリフです。
「太陽がいっぱいだ。いままでで一番いい気持ちだ。最高だ」
 彼はこのあと、いっきに転落します。
 名作でした。哀愁を帯びたテーマ曲も心地よい。
 地中海の風景は福井県若狭湾の風景に似ていました。

(2014年2月のときの感想)
太陽がいっぱい 映画 VHSテープ
 通信販売で購入しました。DVDだと思っていたらVHSテープでした。数年ぶりにVHSのデッキで映画を観ました。デッキが動いてよかった。
 53年前のフランス映画です。中学生の頃、テレビの洋画劇場で観ました。内容は覚えていません。衝撃的なラストシーンだけの記憶が残っています。
 貧困家庭に育った青年が、富豪の息子を殺害してその息子になりすまし、大金と富豪の息子の婚約者女性を手に入れます。富豪の息子は、貧困家庭の青年をさげすみます。その部分で、犯人に同情の念が湧く映画です。アメリカ人青年トムは、終盤近くに「太陽がいっぱいある。最高の気持ち」と言います。その直後彼は、最高から最低に突き落とされます。
 映画の冒頭付近二枚目俳優アランドロンが若い。しかし、どういうわけか、終盤にさしかかるにつれて3歳ぐらい年をとったような顔になる。周囲の役者も同様です。最後近くに、宗教的行列をさえぎるように主人公が歩きます。フェデリコ・フェリーニ監督「道」でも同様のシーンがありました。本作品の場合、神が主人公に罰を与えるという意味にとりました。
 ニーノ・ロータの音楽は悲哀に満ちています。悲しく切ない。お金のためなら人をも殺す。
 53年前の映画を観ながら53年後に思いをめぐらしました。

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