2020年12月17日

(再鑑賞)チャンプ アメリカ映画

(再鑑賞)チャンプ アメリカ映画VHSビデオテープ 1979年公開

 棚の整理をしていたら出てきたので観てみました。もう41年前の映画です。
 おとなが上手につくった子どもがらみのあり得ないようなお話ですが、だまされるように観ても名作です。愛情があふれるいい映画でした。
 元チャンピョンボクサーの父親ビリーをチャンプと呼ぶ8歳の息子TJです。(ティージェイ)離婚父子家庭です。

 夜明け前の競馬場での練習風景は、映画を観終えたあとでも記憶にいつまでも残ります。
 ウェアリズマイガールフレンド?((馬のこと)オレのガールフレンドはどこだ?)
 子役さんの表情がいい。輝いています。
 ファイトアゲイン?(また(ボクシングを)やるの?)
 主人公のビリーは37歳です。
 けなげな少年です。(力の無い者が困難の中にあっても立派にがんばっている)
 片親貧乏父子家庭の荒れた生活があります。競馬場の厩舎(きゅうしゃ)で働く父親の日常はギャンブルとアルコールです。
 TJ(こども。ティージェイ)の腕に切り傷のかさぶたがあるのが、心にしみます。
 息子の貯金箱から貯金を盗んでギャンブルに使う父親です。ぼくのお金はおとうさんのお金と、父親をかばう息子です。なんていいやつなんでしょう。
 
 アメリカ白人はヒーローが好きです。
 
 野生のフラミンゴだと思いますが、ときおり情景に登場して、雰囲気づくりをしてくれます。

 TJの良かったセリフとして、「馬を叱っちゃだめだよ」TJは心が優しい。それから、「どうして(靴の)ひもがとけないのかなあ(たぶん涙でひもがしっかり見えていないから)」「(実母が)ママにやらせて(ひもをとかせて)」

 鑑賞者に対して小芝居をつくってありますが、それはそれでいい。秘密→明かす。
 お金持ち対貧乏人

 ストッピング!(やめてよ!) TJが小さいころに交通事故死したとされた母親も必死です。アイムヒアーアンドアイアムヨアマザー(わたしはここにいて、そして、あなたの母親なの)

 小気味よい流れです。

 こどものとっては厳しい状況設定です。父子の会話のヤマ場でBGMが流れなかったのが良かった。静かななかでの言い合いでした。集中できました。試練です。そして、試練を乗り越える。

 TJはなんていいやつなんだ。

 実母には、女性としての悲劇があります。
 母親の存在も尊重してほしいという理屈がありますが、理屈だけでは夫も息子もついてこない。
 離婚にあたって、父親と父親が引き取った息子、別の男性と再婚した元妻。場所はフロリダ州マイアミ。人は海から来て海に帰る暗示のようなシーンがあります。父親は全力を尽くして海に帰っていきました。
 ステイダウン((ボクシングの試合でパンチを受けて)倒れていろ)
 死闘でした。父親の威厳(堂々とした風格)を息子に見せたかった。
 死んだらだめです。
 演技とはいえすごい。熱意の塊(かたまり)です。
 <もらうんだ。(ボクシングの)かけ金をもらうんだ>お金より命が大事です。
 ウェアーリズマイボーイ?(うちの息子はどこだ?)
 夫婦の苦境を乗り越えられなかったこと。離婚したことを悔いる父親のセリフは悲痛でした。人間とはなにかまで考えさせられました。離婚で親子三人が犠牲者になりました。まずは生きていてこそ。ウェイクアップ!(起きて!)ゴーホームチャンプ!(家に帰ろう。おとうさん!)
 父親のビリーがこの世に遺したものは大きい。


(2014年8月のときの感想)
チャンプ 映画 VHSテープ
 ほこりをかぶっていたVHSテープを整理していたら出てきました。1979年の作品です。購入したのはもう20年ぐらい前でしょう。どこかの駅構内にあったお店で買ったような記憶がかすかに残っています。
 8歳の息子TJは、父親である元プロボクサーチャンピョン37歳ビリーと競馬場の厩舎村で暮らしている。母親は死んだと父親から聞かされていたTJは、ビリーと離婚後に再婚した母親アニーと偶然再会してしまった。
 よくできた脚本です。元通り、3人で暮らしたいというビリー、それはできないという再婚してしまった前妻のアニー、ビリーを慕い続けるTJ、3人の心の葛藤が見事に描かれています。血縁関係がある本当の親子3人なのに一緒に暮らせない。アニーの立場で言えば、TJの母親にはなれるけれど、ビリーの妻には戻れない。観ていて、「映画だなあ」という感慨にふけりました。
 監督が絵面(えづら、構図)にこだわっていることが伝わってきました。バックグランドミュージックはなつかしい。
 短い時間にいろいろなメッセージが伝わってきます。心のこまやかな動きを絶妙に表現してあります。馬の転倒事故は、父親の死の前兆であることに今回初めて気づきました。困難はつきもの。人が死を選択しないために「克服」という言葉が生まれた。子どもは、親にとって心の支え。愛があってもお金がなければ生活できない。されど、お金では満たせないものがある。子育てよりも仕事を優先して、ファッションデザイナ-になることを選んだ母親。自分の想いを妻に対する力(ちから、暴力)で遂げようとする夫の卑劣さ。元妻アニーがタバコを吸うのは、元夫ビリーの言動が原因でしょう。
 貧富の差が上手に描かれています。チャンプが死んだとき、厩舎村のだれもが彼が死んだ責任を感じています。

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