2020年12月14日

二分間の冒険 岡田淳

二分間の冒険 岡田淳 偕成社文庫

 わたしは勘違いをしておりました。
 タイトルから推定して、二分間で読める怖くて短い怪談話が列挙してある本だと思い込んでいました。
 違っていました。ちょっとびっくり。

 6年3組の出来事です。
 主人公が、悟(さとる)です。いっしょに冒険に出るのが、かおりですが、現実社会のかおりとは違うかおりです。
 ふたりは、竜のいけにえに選ばれるのですが、それぞれ剣をもって竜と闘うつもりです。「竜」は、足のない、あるいは足の小さいドラゴンのような姿形を想像していましたが、どうも、両足で立つティラノサウルスのような姿をしているようです。トカゲのようなしっぽがあります。翼はありません。(その後、くわしい姿が明らかになります)
 92ページまで読みました。そうそう、黒猫の「ダレカ」がからんでいます。

 空想世界は、へんなところです。こどもと老人しかいません。中間のおとながいないのです。こどもは竜の力によって老人にされてしまうようです。『時間』が鍵を握る言葉です。それから『とげぬき』もキーワードだし、あとに続く伏線です。

 悟はもとの世界にある家や学校に帰りたい。
 
 かおりは不思議な存在です。人間じゃないみたい。人間の姿をしている人間以外の生き物みたい。

 『若さを奪う魔法』があります。

(つづく)

 竜との闘いは、まずは暴力的な闘いではなく、なぞなぞ対決です。
 こどもたちが竜になぞなぞを出します。次に竜がこどもたちになぞなぞを出します。解けません。解けなかったばつに、竜はこどもたちから「若さ」を奪います。「若さ」は竜のうろこに変化します。こどもたちは死にませんが、気力の消えた老人に変り果てます。竜は魔法を使います。

 竜の館はお城形式ではなく、小学校の校舎のようだそうです。
 
 これは、「悟の夢物語」なのだろうか。

 「竜」とは何でしょう。一部の資産家に思えます。こどもたちは労働者で、資産家の財産形成のために安い給料で働かされている。ヨーロッパの歴史で言えば、「竜」は、王族に思える。

 悟とかおりは、小学生コンビの四番目に竜と闘います。毎日ひと組が竜と闘って敗れていきます。

 キーワードとして、「にせの希望」

 黒猫ダレカが化けている「いちばんたしかなもの」の候補として、「竜を退治できる剣」「竜本体」、悟が抱きついて、「捕まえた」と言えば、悟は元の世界へ戻ることができる。もしかしたら、ダレカは「かおり」ではないかと思いました。愛情です。(違っていました)

 竜の目は怒ると黄色から赤色に変化します。信号機の色みたい。

 「見えているのにけしてとどかず、うまれてから死ぬまえの日までにあるもの」とは何か。命、寿命、時間、愛情、どれもあてはまらない。

 「やみのなかでもそれとわかるが、光のなかでもそれは見えない。音はたてぬし、さわれもしない。どこからくるかはわかっても、どこへいくかはわからぬもの。」(答えがわかったときには、頭のなかがすっきりしました。気分が良くなりました)

 ちょっとわかりにくい部分もあるのですが、なるほど。そういう理屈建てかと納得はしました。
 
 黒猫のダレカはどこにいるのか。

 同作者の「びりっかすの神さま」とテーマ、メッセージは同じです。それは「協力」です。
 されど、いちばんたしかなものとは、「チームワーク」ではなく、べつのものでした。

 お話は、ラブストーリーに変化しましたが、まだ終わりではありません。

 自分を大事にする。自分を責めない。自分を守る。自信をもつ。

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