2020年10月31日

かたあしだちょうのエルフ 文・絵 おのき がく

かたあしだちょうのエルフ 文・絵 おのき がく ポプラ社

 若くて、強くて、素晴らしく大きな雄のだちょうエルフがみんなのためにがんばる物語です。
 「エルフ」は、アフリカの言葉で、「千」を表し、千メートルをいっきに走ることを意味します。
 超能力をもったエルフは、みんなのために野獣たちと闘います。ジャッカル、ライオン。だけど、エルフはライオンに足を一本くいちぎられてしまいます。
 悲しいことにあんなにみんなのために働いたエルフは時間の経過とともにみんなから見放されていきます。

 ハイエナや、はげわしが、エルフの死を待っています。
 エルフはほかの動物の餌(えさ)になるのです。
 黒豹(くろひょう)が現れました。

 「願い」がこもっている作品です。
 エルフは化身します。エルフは黒豹に勝ちました。
 エルフはエルフの姿形をした大樹(たいじゅ)に変化したのです。
 その後動物たちは大樹の木陰で過ごすようになったそうです。

 偉大な人を讃えた(たたえた)お話でした。
 ひとりの人間に頼りきるのではなく、それぞれに与えられた役割を果たして、協力と自立を調和させて社会を築けたらいいのにという感想をもちました。
 お話の側面として、エルフは他人からいいように利用されたとも思えるのです。
 みんなのためにがんばっただちょうのエルフが大樹になったとはいえ悲しい結末を迎えるのですが、それはたぶん彼が望んだことなのです。
 だれもが彼の遺志をそれぞれの立場に応じて引き継がねばなりません。それが彼への償い(つぐない)です。

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