2020年09月26日
明け方の若者たち カツセマサヒコ
明け方の若者たち カツセマサヒコ 幻冬舎
テレビ東京のバラエティ番組「家、ついて行ってイイですか?」をよく見ています。スタッフが駅前などで一般の方に声をかけるのですが、この本のなかに出てくる駅でのロケがけっこうあるような気がします。まずそこに興味をもちました。
小説の内容は、東京の山手線の西側の地域に住む若者たちの青春グラフィティだと思います。グラフィティ=落書きのような思い出記録です。登場する人物たちとは世代の違いがありますが、本の評判がいいので読んでみることにしました。
「一、産声」
2012年5月、東日本大震災から一年ちょっと。東京都世田谷区明大前から始まります。
思い出の記なので、現在は、5年後、2017年の設定です。
登場人物たちと共通体験がある人が読むと共感と感動が生まれる作品なのでしょう。
大学のクラスコンパで、男子大学生と女子大生が出会います。就職が内定した勝ち組の集まりだそうです。ふたりは、「クジラ公園」で遊びます。(玉川上水公園。クジラの遊具がある)
観察力が鋭い文章です。
年長者から見ると、人生の本番前の世界です。怒られるかもしれませんが、大学生というものは、無難な失業者だという解釈をもっています。
女性の態度をみていると要警戒です。美人局(つつもたせ)かもしれません。男子は気がゆるみすぎています。
これは、ラブストーリーなのかなあ。このあとどうなるのだろうか。
ソリューション:問題の解決方法
マウントをとる:相手よりも上のポジションをとって、相手に対して威圧的な態度をとる。
レセプション・パーティ:社交、交流のためのパーティ
ローンチ・イベント:新しいことを公に発表するイベント
スミノフ:ウォッカのブランド
シンハー:ライオンのこと。ビールの銘柄
クラフト・ビール:地ビール
RADWIMPS:ラッドウィンプス。日本人4人組のロックバンド
気に入った文章表現として、
何も生まない議論は泡のように分解されて、濁った空気に溶けた。
「二、下北沢は湿ったアスファルトの上で静かに光る」
コンバースオールスター:スニーカー
三日後ふたりの男女は偶然再会します。
ヴィレッジヴァンガード:雑貨、書籍、CD販売店。記述を読みながら、ああそういうことなのか。東京ではありませんが、以前仕事のお昼休憩時間に何度か足を運んで店内をうろうろしたことがあります。
承認欲求:他者に認められたい。あわせて、自分で自分の価値を認めたい。
気に入った表現として、「エロとオシャレの境界線」
本多劇場:最近テレビ番組で二本ぐらい下北沢の紹介シーンを見たときに出てきていました。演劇専用民営劇場
シェークスピアの四大悲劇:ハムレット、オセロー、マクベス、リア王
自作劇の最終で、出演者たちは盛り上がるけれど、観客には消化不良の不満が残っている。
「三、明け方のエイリアンズ」
煌めいて:きらめいて
なんだろう。自分で自分に惚れて(ほれて)います。郷愁に浸って(ひたって)います。読み手としては、厳しさがほしい。
キリンジのエイリアンズ:音楽バンド。エイリアンズは曲名
気に入った文節として、
引き返すことのできない「彼女のいる世界」が、始まった瞬間だった。
主人公は、印刷会社に就職しました。採用された新人は200人近くです。
「四、描いた未来と異なる現在」
気に入った文節として、
自分の手の届く範囲のゴールを甘んじて受け入れて……
2013年夏、主人公の総務部配属が決定されました。
大企業の名刺も肩書きも役に立たないこの街(高円寺のこと)
そして時は流れ、就職して三年目です。
人間までロボット化する総務部内の静かな事務室です。
主人公は時おり、奇声を発するようになります。心が壊れる前に休んだほうがいい。
ノマドワーク:パソコンや端末を用いてオフィス以外の場所で働く。ノマドは英語で遊牧民
24時間体制で働き続けていた会社(昔はどこもたいていそうでした)
ホッピー:ビールのような清涼飲料水。アルコール分0.8%
「五、怠惰と楽園」
2015年です。
フリーランス:個人事業主
夏が暑かった。(2020年の夏はもっと暑かった)
暑さや服装のこと。
もう、過去になってしまったことが語られます。
労働に関する話が愚痴に聞こえてしまうのは、世代の違い、意識の違いか。
無給なら文句を言えるが、カネが出ているならがまんです。
フジロックフェスティバル:1997年山梨県で開催。以降、新潟県苗場スキー場で7月下旬に開催。日本最大級の音楽イベント
何かを得ているようで、何かをなくしていく生活ぶりです。
しっかり生きていないと、しあわせは離れていきます。
「六、唯一の憂鬱な真実」
良かった文節として、「人に深入りしすぎることを極力避けるようになった気がする」
2015年10月。人生はまだ、はるかに長く遠い。
ムックの本:雑誌と書籍をあわせ持った本。
今いる場所以外のどこかにいくと幸福がありそうな気がするが、たいていは、どこに行っても変わりはない。
最後のセリフがどっちの人のセリフなのかがわかりませんでした。
「甘いミルクティーの氷は溶けて」
「モラトリアム」という言葉が頭に浮かびました。おとなとこどもの間の時期
いつまでも10代や20代の意識ではいられない。どこかで見切りをつけることになる。
仕事は金のためと割り切れるようにならないと、精神的にきつい仕事は続きません。
主人公は悩んでいますが、まだまだです。この先、子育て、介護、病気、事故、アクシデントが続くのが人生です。
彼女との関係は、「世界の中心で愛を叫ぶ」とか、「クローズト・ノート」の雰囲気です。
洋服のブランド名とか、音楽の演奏者名、曲名を出すのは、最近のはやりだろうか。知っている人にわかりますが、知らない人にはわかりません。わからないと活字離れが進みます。
男女関係を長続きさせるためには、「あきらめと努力」が必要です。相手のいやなところも含めて受け入れます。友情とも似ています。
物語全体の中盤以降の展開にはがっかりしました。
男女二人の関係は愛情ではなく、ナニをするためのフレンドとしか読み取れません。ふたりで遊びに行くだけのシーンしかありません。トラブルをふたりで乗り越えていくのが愛情です。
あざとさがあります。(わざとらしいずるさ)
DOMMUNEのストリーム配信:ドミューン。インターネット上のテレビ番組。ストリームはデータの流れ。
最初の章の設定はなんだったのだろうかという疑問が湧きます。
女子に遊ばれている男子という印象です。
ソイラテ:豆乳を使ったコーヒーの飲み物
主人公の男子は、「泥棒猫」状態です。
「肝心なときに、欲しい言葉をくれない人」よりも「優しい言葉をくれない人」のほうがいい。
主人公は、自分は被害者だったような意識で語りますが、自分が加害者であったことに気づいてほしい。本人が言うとおり、「どこまでも情けない男」です。
話をこうもっていく理由がわかりません。感動は生まれません。最後はどう結ぶのか。
「八、現実まみれの夢の国」
男女関係は、なにかひとつでも相手を尊敬できる部分がないと長続きできない。
エロい話はキモイだけです。そんな話を読み手に聞かせて相手が喜ぶと思ったらそれは誤解です。女性がはけ口になっています。
「また来年になっても」
2016年12月年末
良かった文節として、「たくさんの理不尽を体で学んで、今日までなんとかやってきた」
オージェ―ティー:オン・ザ・ジョブ・トレーニング。職場内研修。仕事をしながら同時進行で学ぶ。
エムティージー:ビジネスミーティング
エーエスエーピー:できるだけ早く。as soon as possible。アサップともいう。
「尚人(なおと)」が、鍵を握る人物なのに、人格がぼんやりとしていてはっきりしないと思いながら読んでいました。後半で、詳しく紹介されてわかりました。
足掻けば足掻くほど:(あしかけばあしかくほど)と読んで、意味をとれませんでした。あがけばあがくほどでした。恥ずかしい。
王様のブランチ:土曜日のテレビ番組。観たことはありません。
「十、選ばれなかった僕らのための歌」
最初に戻るのが、物語づくりの基本的な構成です。
怠そう:だるそう。読めませんでした。
人生や就職に、「勝ち」とか、「負け」があるのかなあ。自分の気持ちの持ち方次第のような気がします。
208ページでようやく、人生の本格的な苦労話が出てきました。
でも、最後は、歳をとって、リタイアして、自由になれます。
みんな、本に書かれているような感じで歳をとって、順番に死んでいくのです。
メンヘラ:精神的にまいっている人
甲州街道:日本橋から、新宿、八王子、甲府から下諏訪へ。
最後の一行の意味がとれませんでした。
しばらくして、ああそういうことかと気がつきました。
テレビ東京のバラエティ番組「家、ついて行ってイイですか?」をよく見ています。スタッフが駅前などで一般の方に声をかけるのですが、この本のなかに出てくる駅でのロケがけっこうあるような気がします。まずそこに興味をもちました。
小説の内容は、東京の山手線の西側の地域に住む若者たちの青春グラフィティだと思います。グラフィティ=落書きのような思い出記録です。登場する人物たちとは世代の違いがありますが、本の評判がいいので読んでみることにしました。
「一、産声」
2012年5月、東日本大震災から一年ちょっと。東京都世田谷区明大前から始まります。
思い出の記なので、現在は、5年後、2017年の設定です。
登場人物たちと共通体験がある人が読むと共感と感動が生まれる作品なのでしょう。
大学のクラスコンパで、男子大学生と女子大生が出会います。就職が内定した勝ち組の集まりだそうです。ふたりは、「クジラ公園」で遊びます。(玉川上水公園。クジラの遊具がある)
観察力が鋭い文章です。
年長者から見ると、人生の本番前の世界です。怒られるかもしれませんが、大学生というものは、無難な失業者だという解釈をもっています。
女性の態度をみていると要警戒です。美人局(つつもたせ)かもしれません。男子は気がゆるみすぎています。
これは、ラブストーリーなのかなあ。このあとどうなるのだろうか。
ソリューション:問題の解決方法
マウントをとる:相手よりも上のポジションをとって、相手に対して威圧的な態度をとる。
レセプション・パーティ:社交、交流のためのパーティ
ローンチ・イベント:新しいことを公に発表するイベント
スミノフ:ウォッカのブランド
シンハー:ライオンのこと。ビールの銘柄
クラフト・ビール:地ビール
RADWIMPS:ラッドウィンプス。日本人4人組のロックバンド
気に入った文章表現として、
何も生まない議論は泡のように分解されて、濁った空気に溶けた。
「二、下北沢は湿ったアスファルトの上で静かに光る」
コンバースオールスター:スニーカー
三日後ふたりの男女は偶然再会します。
ヴィレッジヴァンガード:雑貨、書籍、CD販売店。記述を読みながら、ああそういうことなのか。東京ではありませんが、以前仕事のお昼休憩時間に何度か足を運んで店内をうろうろしたことがあります。
承認欲求:他者に認められたい。あわせて、自分で自分の価値を認めたい。
気に入った表現として、「エロとオシャレの境界線」
本多劇場:最近テレビ番組で二本ぐらい下北沢の紹介シーンを見たときに出てきていました。演劇専用民営劇場
シェークスピアの四大悲劇:ハムレット、オセロー、マクベス、リア王
自作劇の最終で、出演者たちは盛り上がるけれど、観客には消化不良の不満が残っている。
「三、明け方のエイリアンズ」
煌めいて:きらめいて
なんだろう。自分で自分に惚れて(ほれて)います。郷愁に浸って(ひたって)います。読み手としては、厳しさがほしい。
キリンジのエイリアンズ:音楽バンド。エイリアンズは曲名
気に入った文節として、
引き返すことのできない「彼女のいる世界」が、始まった瞬間だった。
主人公は、印刷会社に就職しました。採用された新人は200人近くです。
「四、描いた未来と異なる現在」
気に入った文節として、
自分の手の届く範囲のゴールを甘んじて受け入れて……
2013年夏、主人公の総務部配属が決定されました。
大企業の名刺も肩書きも役に立たないこの街(高円寺のこと)
そして時は流れ、就職して三年目です。
人間までロボット化する総務部内の静かな事務室です。
主人公は時おり、奇声を発するようになります。心が壊れる前に休んだほうがいい。
ノマドワーク:パソコンや端末を用いてオフィス以外の場所で働く。ノマドは英語で遊牧民
24時間体制で働き続けていた会社(昔はどこもたいていそうでした)
ホッピー:ビールのような清涼飲料水。アルコール分0.8%
「五、怠惰と楽園」
2015年です。
フリーランス:個人事業主
夏が暑かった。(2020年の夏はもっと暑かった)
暑さや服装のこと。
もう、過去になってしまったことが語られます。
労働に関する話が愚痴に聞こえてしまうのは、世代の違い、意識の違いか。
無給なら文句を言えるが、カネが出ているならがまんです。
フジロックフェスティバル:1997年山梨県で開催。以降、新潟県苗場スキー場で7月下旬に開催。日本最大級の音楽イベント
何かを得ているようで、何かをなくしていく生活ぶりです。
しっかり生きていないと、しあわせは離れていきます。
「六、唯一の憂鬱な真実」
良かった文節として、「人に深入りしすぎることを極力避けるようになった気がする」
2015年10月。人生はまだ、はるかに長く遠い。
ムックの本:雑誌と書籍をあわせ持った本。
今いる場所以外のどこかにいくと幸福がありそうな気がするが、たいていは、どこに行っても変わりはない。
最後のセリフがどっちの人のセリフなのかがわかりませんでした。
「甘いミルクティーの氷は溶けて」
「モラトリアム」という言葉が頭に浮かびました。おとなとこどもの間の時期
いつまでも10代や20代の意識ではいられない。どこかで見切りをつけることになる。
仕事は金のためと割り切れるようにならないと、精神的にきつい仕事は続きません。
主人公は悩んでいますが、まだまだです。この先、子育て、介護、病気、事故、アクシデントが続くのが人生です。
彼女との関係は、「世界の中心で愛を叫ぶ」とか、「クローズト・ノート」の雰囲気です。
洋服のブランド名とか、音楽の演奏者名、曲名を出すのは、最近のはやりだろうか。知っている人にわかりますが、知らない人にはわかりません。わからないと活字離れが進みます。
男女関係を長続きさせるためには、「あきらめと努力」が必要です。相手のいやなところも含めて受け入れます。友情とも似ています。
物語全体の中盤以降の展開にはがっかりしました。
男女二人の関係は愛情ではなく、ナニをするためのフレンドとしか読み取れません。ふたりで遊びに行くだけのシーンしかありません。トラブルをふたりで乗り越えていくのが愛情です。
あざとさがあります。(わざとらしいずるさ)
DOMMUNEのストリーム配信:ドミューン。インターネット上のテレビ番組。ストリームはデータの流れ。
最初の章の設定はなんだったのだろうかという疑問が湧きます。
女子に遊ばれている男子という印象です。
ソイラテ:豆乳を使ったコーヒーの飲み物
主人公の男子は、「泥棒猫」状態です。
「肝心なときに、欲しい言葉をくれない人」よりも「優しい言葉をくれない人」のほうがいい。
主人公は、自分は被害者だったような意識で語りますが、自分が加害者であったことに気づいてほしい。本人が言うとおり、「どこまでも情けない男」です。
話をこうもっていく理由がわかりません。感動は生まれません。最後はどう結ぶのか。
「八、現実まみれの夢の国」
男女関係は、なにかひとつでも相手を尊敬できる部分がないと長続きできない。
エロい話はキモイだけです。そんな話を読み手に聞かせて相手が喜ぶと思ったらそれは誤解です。女性がはけ口になっています。
「また来年になっても」
2016年12月年末
良かった文節として、「たくさんの理不尽を体で学んで、今日までなんとかやってきた」
オージェ―ティー:オン・ザ・ジョブ・トレーニング。職場内研修。仕事をしながら同時進行で学ぶ。
エムティージー:ビジネスミーティング
エーエスエーピー:できるだけ早く。as soon as possible。アサップともいう。
「尚人(なおと)」が、鍵を握る人物なのに、人格がぼんやりとしていてはっきりしないと思いながら読んでいました。後半で、詳しく紹介されてわかりました。
足掻けば足掻くほど:(あしかけばあしかくほど)と読んで、意味をとれませんでした。あがけばあがくほどでした。恥ずかしい。
王様のブランチ:土曜日のテレビ番組。観たことはありません。
「十、選ばれなかった僕らのための歌」
最初に戻るのが、物語づくりの基本的な構成です。
怠そう:だるそう。読めませんでした。
人生や就職に、「勝ち」とか、「負け」があるのかなあ。自分の気持ちの持ち方次第のような気がします。
208ページでようやく、人生の本格的な苦労話が出てきました。
でも、最後は、歳をとって、リタイアして、自由になれます。
みんな、本に書かれているような感じで歳をとって、順番に死んでいくのです。
メンヘラ:精神的にまいっている人
甲州街道:日本橋から、新宿、八王子、甲府から下諏訪へ。
最後の一行の意味がとれませんでした。
しばらくして、ああそういうことかと気がつきました。
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