2020年09月27日

「どこいったん」「ちがうねん」 ジョン・クラッセン・作

「どこいったん」「ちがうねん」 ジョン・クラッセン・作 長谷川義史・訳 クレヨンハウス

「どこいったん」
 こどもさん向けの絵本です。
 どこいったん? とさがすのは、くまさんのぼうしです。
 彫刻の置物のような絵です。くまさんときつねさんから始まります。
 なにゆえに関西弁? くまさんもかえるさんも関西出身です。
 あれ? うさぎさんがかぶっているぼうしがくまさんのぼうしじゃないのかなあ。そもそも、くまさんのぼうしって、どんなぼうし?
 かめさんがのぼろうとしている岩がぼうしに見えました。
 青くて丸いぼうしは、くまさんのぼうしではないそうです。
 「ぼうしってなんや?」 きみこそ、なんという動物なんや? 太ったにょろにょろみたい。
 あおむけにねっころがったくまさんの体は、海に浮かぶ島のようです。
 やっぱり(うさぎ)
 ほら!
 よいしょ、よいしょ、あともどり。
 どうなるの?
 あー!
 やったー とりかえした
 だけど、ぼうしどこいったんから、こんどは、うさぎ、どこいったん? くっちゃったかなー
 えーっ! こたえがない。終わっちゃった。
 ほっとしました。うさぎさんは裏表紙にいました。ちょっとブラックジョーク気味
『でも本当は、くっちゃったんだろうなあ。でも、こどもにはそんなこと言えない。この絵本はプレゼントには不向きです。どこいったん? くまさんのおなかの中にいったんよ。そこからまたお話をつないで、おなかのなかからうさぎさんが出てきましたとなると、なかなかおもしろそうですが……』
 裏表紙の絵を見ながら思ったこと。
 動物たちがみんな左を向いているのはなぜだろう。
 みんなの視線の先に着目すべき何かがある。
 たぶん、食べ物だと思う。きっとおいしいなにかだと思う。


「ちがうねん」
 「どこいったん」のアンサーソングみたいな絵本です。「どこいったん」と対(つい。セット)の関係にあります。
 「どこいったん」は、帽子を盗まれたほうがお話しします。
 「ちがうねん」は、帽子を盗んだほうのお話です。少々、ぞっとします。
 おさかなの絵と、おさかなが素材なのは、レオ=レオニの絵本を思い出します。「スイミー」です。
 「スイミー」には「協力」とか、「チームワーク」というぬくもりがありました。
 こちらの絵本は、怖いです。
 物を盗んだら、「制裁」が待ち受けているのです。
 世の中のルールを破ったらこの世から消される。
 この二冊は、人の世の厳しさを教える絵本なのか。
 いずれも読み聞かせはしにくいです。
 読むときは、人の物をとったらだめよと、道徳を教えることになります。

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