2020年09月03日
グッドバイ 太宰治 小説と映画DVD
グッドバイ 太宰治 小説と映画DVD
「小説」 新潮文庫
レンタルビデオショップで、大泉洋さん主演映画のDVDがあるのを見かけて、自宅にある本棚を探したところ文庫本が出てきたので、まずは、小説を読んで、それから映画を観ることにしました。
文庫には、16編の短編がおさめられていますが、この「グッドバイ」だけを読んでみます。グッドバイの意味合いとしては、「サヨナラだけが人生よ」ということを暗に教えてくださる昭和47年3月記事の文芸評論家奥野健男さんの巻末解説でした。
解説にあったのは、太宰治氏は、1948年(昭和23年)6月13日に山崎富栄(やまざき・とみえ)さんと玉川上水に入水自殺をされ、同月19日に遺体が発見されていますが、作品「グッドバイ」は、彼の死後、昭和23年7月号の「朝日評論」に掲載された。5月中旬から書き始めていて、死の前日までに13回分まで書かれていた。本作品は、本人にとっての未完の絶筆とあります。
終戦が昭和20年8月ですから、戦後まもなくのことです。作品の中でも時代が昭和23年であることが記述されています。
作品創作の背景は暗いのですが、作品の内容を読み終えてみると、本作品の位置づけとしては、解説にもあるとおり、「ユーモア風刺小説」です。文章にリズム感があります。読者の笑いを誘うための文脈です。
ロイド眼鏡(セルロイドでできている丸いメガネ)をかけて、縞ズボン(しまずぼん)をはいた若くてハンサムな34歳の雑誌編集長田島周二が主人公です。
彼は関西なまりで、お金持ちであり、愛人が十人ぐらいいるそうです。先妻は肺炎で亡くなり、先妻との間にできたこどもと後妻を田舎の家に住まわせて、自分は都会でバリバリ働いています。
このたび、後妻とこどもを引き取って同居生活をするために、愛人たちひとりひとりと別れることを決心しました。
別れ話の手法が変わっています。25歳ぐらいの永井キヌ子という女性とふたりで、愛人のところへ行って、愛人に別れを懇願するのです。
永井キヌ子は美人で腕力が強い。田島周二のボディガード役です。報酬は、彼の財布を彼女に渡して、お金をある程度なら使っていいよです。
美人の永井キヌ子のアパートの部屋がごみ屋敷なのには笑いました。
人は、見た目と中身は違います。
おもしろい筋書です。登場人物のモデルになった実際の人も当時はいたのでしょう。
目には見えませんが、作品には、「孤独」という観念がただよっています。以前、青森県にある太宰の生家を見学した時のことを思い出しました。大きな建物でしたが、家の大きさと幸福感は比例していないと感じました。
調べた言葉などとして、
洋行(ようこう):海外旅行。こどものころはよく聞いた言葉ですが、いまでは死語でしょう。
十貫:重さの単位。一貫が3.75キログラムぐらいだから、十貫だと、37.5キログラム
鋭鋒(えいほう):鋭い攻撃
海容の美徳(かいようのびとく):海のような広い心で相手を許す。
ファウスト:ドイツゲーテの戯曲「ファウスト」での登場人物。1832年出版
「映画 グッドバイ 邦画DVD 2020年公開」
大泉洋さんが田島周二さん役で、小池栄子さんが永井キヌ子さん役でした。
おおむね、小説の筋書きどおりでしたが、小説は未完の尻切れトンボなので、以降のシーンは、想像の追加です。
観ていて、「グッドバイ」の意味合いが違うようなと戸惑いました。映画では、愛人たちひとりひとりと別れるときに「グッドバイ」を強調されていました。そうではなくて、サヨナラだけが人生よのグッドバイだと思っていたのです。つまり、自殺して、この世に、「グッドバイ」をするのです。
映画を観終わって、なんだかよくわからなかったというのが正直な感想です。
以下は鑑賞の経過です。
映像が暗い。終戦後の白黒ニュース映像画面からスタートしました。
カラー映像になったあとも茶色がかっていてかすんだ画面です。
小池栄子さんは可愛い。
小説にもありましたが、小池さんの言い間違いとして、「腹水の陣(ふくすいのじん)」は、「背水(はいすい)の陣」が正しいという部分がおもしろかった。
小池栄子さんは、だみ声を出す必要はありませんでした。普通の声のほうが良かった。
水原ケイ子さん役の橋本愛さんが美しい。じぇじぇじぇのあまちゃんだなと思って観ていたら、じぇじぇじぇの朝ドラで水産高校の先生役をしていた皆川猿時さんが、橋本愛さんのお兄さん役で出てきたのでびっくりしました。
小説にはない後半の話のもっていきかたが、これでいいのかなあと……
なんだか、イメージが違いました。
「小説」 新潮文庫
レンタルビデオショップで、大泉洋さん主演映画のDVDがあるのを見かけて、自宅にある本棚を探したところ文庫本が出てきたので、まずは、小説を読んで、それから映画を観ることにしました。
文庫には、16編の短編がおさめられていますが、この「グッドバイ」だけを読んでみます。グッドバイの意味合いとしては、「サヨナラだけが人生よ」ということを暗に教えてくださる昭和47年3月記事の文芸評論家奥野健男さんの巻末解説でした。
解説にあったのは、太宰治氏は、1948年(昭和23年)6月13日に山崎富栄(やまざき・とみえ)さんと玉川上水に入水自殺をされ、同月19日に遺体が発見されていますが、作品「グッドバイ」は、彼の死後、昭和23年7月号の「朝日評論」に掲載された。5月中旬から書き始めていて、死の前日までに13回分まで書かれていた。本作品は、本人にとっての未完の絶筆とあります。
終戦が昭和20年8月ですから、戦後まもなくのことです。作品の中でも時代が昭和23年であることが記述されています。
作品創作の背景は暗いのですが、作品の内容を読み終えてみると、本作品の位置づけとしては、解説にもあるとおり、「ユーモア風刺小説」です。文章にリズム感があります。読者の笑いを誘うための文脈です。
ロイド眼鏡(セルロイドでできている丸いメガネ)をかけて、縞ズボン(しまずぼん)をはいた若くてハンサムな34歳の雑誌編集長田島周二が主人公です。
彼は関西なまりで、お金持ちであり、愛人が十人ぐらいいるそうです。先妻は肺炎で亡くなり、先妻との間にできたこどもと後妻を田舎の家に住まわせて、自分は都会でバリバリ働いています。
このたび、後妻とこどもを引き取って同居生活をするために、愛人たちひとりひとりと別れることを決心しました。
別れ話の手法が変わっています。25歳ぐらいの永井キヌ子という女性とふたりで、愛人のところへ行って、愛人に別れを懇願するのです。
永井キヌ子は美人で腕力が強い。田島周二のボディガード役です。報酬は、彼の財布を彼女に渡して、お金をある程度なら使っていいよです。
美人の永井キヌ子のアパートの部屋がごみ屋敷なのには笑いました。
人は、見た目と中身は違います。
おもしろい筋書です。登場人物のモデルになった実際の人も当時はいたのでしょう。
目には見えませんが、作品には、「孤独」という観念がただよっています。以前、青森県にある太宰の生家を見学した時のことを思い出しました。大きな建物でしたが、家の大きさと幸福感は比例していないと感じました。
調べた言葉などとして、
洋行(ようこう):海外旅行。こどものころはよく聞いた言葉ですが、いまでは死語でしょう。
十貫:重さの単位。一貫が3.75キログラムぐらいだから、十貫だと、37.5キログラム
鋭鋒(えいほう):鋭い攻撃
海容の美徳(かいようのびとく):海のような広い心で相手を許す。
ファウスト:ドイツゲーテの戯曲「ファウスト」での登場人物。1832年出版
「映画 グッドバイ 邦画DVD 2020年公開」
大泉洋さんが田島周二さん役で、小池栄子さんが永井キヌ子さん役でした。
おおむね、小説の筋書きどおりでしたが、小説は未完の尻切れトンボなので、以降のシーンは、想像の追加です。
観ていて、「グッドバイ」の意味合いが違うようなと戸惑いました。映画では、愛人たちひとりひとりと別れるときに「グッドバイ」を強調されていました。そうではなくて、サヨナラだけが人生よのグッドバイだと思っていたのです。つまり、自殺して、この世に、「グッドバイ」をするのです。
映画を観終わって、なんだかよくわからなかったというのが正直な感想です。
以下は鑑賞の経過です。
映像が暗い。終戦後の白黒ニュース映像画面からスタートしました。
カラー映像になったあとも茶色がかっていてかすんだ画面です。
小池栄子さんは可愛い。
小説にもありましたが、小池さんの言い間違いとして、「腹水の陣(ふくすいのじん)」は、「背水(はいすい)の陣」が正しいという部分がおもしろかった。
小池栄子さんは、だみ声を出す必要はありませんでした。普通の声のほうが良かった。
水原ケイ子さん役の橋本愛さんが美しい。じぇじぇじぇのあまちゃんだなと思って観ていたら、じぇじぇじぇの朝ドラで水産高校の先生役をしていた皆川猿時さんが、橋本愛さんのお兄さん役で出てきたのでびっくりしました。
小説にはない後半の話のもっていきかたが、これでいいのかなあと……
なんだか、イメージが違いました。
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