2020年07月12日

山のちょうじょうの木のてんぺん 2020課題図書

山のちょうじょうの木のてんぺん 最上一平・作 有田奈央・絵 新日本出版社 2020課題図書

 犬の名前が、『ごんすけ』で、いまどきの犬の名前ではないと思いつきました。現在、おじいさんになっている人の自分のこども時代の思い出ばなしではなかろうか。
 いまどきの犬の名前は、カタカナが多いような気がします。「レオ」「マロン」「チョコ」「ココ」「モカ」「ソラ」「マル」「ハナ」など。
 あわせて、主人公いがらしくんの幼稚園からのともだちの西山君の呼び方が、『にしやん』で、これもまた、昭和時代の呼び方ではなかろうかと察して読み始めました。
 
 さて、お話は、『命』をめぐる物語です。絵本のような本です。きれいな絵がかいてあります。
 西山君の家で飼われている高齢の犬の『ごんすけ』が老衰と病気で死にそうなのです。最終的には死んでしまうのですが、何も知らないこれから体験を積んでいくこどもにとって、『死』は、興味深いものです。昔は、動物の死や、人間の死を見る機会が多かったのですが、いまはどうでしょうか。
 こどもは、『死』について考える時期があります。死ぬとはどういうことなのかを知りたい興味は強い。だけど、怖いという感情もあります。

 生きているものに愛情を感じ、しみじみとした気持ちになるお話でした。山のちょうじょうに木がいっぽん生えていて、葉っぱが風に吹かれて揺れるのです。歌、『千の風に』の世界です。亡くなったワンちゃんは、亡くなってから、風になったのです。

 いがらしくんは、元気な男の子です。はなの穴に豆を入れて、とれなくなって、おおさわぎ、病院でとってもらいました。
 いがらしくんとくらべて、にしやまくんは、おとなしい男の子です。無口で、運動はにがて、けんかもしないそうです。そして、泣き虫です。そんな、にしやまくんですから、にしやまくんにとって、犬のごんすけは、だいじなともだちでした。
 人は、自分の孤独をいやすためにペットを飼育することがあります。

 調べたことばとして、
ミジンコ:水中にいるプランクトン

 にしやまくんは、ごんすけを『みとる(死ぬときにいっしょにいる)』ことにしました。
 にしやまくんは、ごんすけにやさしい。
 にしやまくんは、弱ったごんすけに寄り添います。
 にしやまくんの言葉です。『ごんすけがいたから、たのしかった』『ごんすけは、死んだって死なない』

 ごんすけの出身地である長野県の栄村はじっさいにある村です。
 新潟県に接していて、人口は、1600人ぐらいです。この本には、雪がたくさんふりますと書いてあります。7m85cm積もったのが記録だそうです。
 すごいなあ。そんなに積もったら、家から出られない。
 山のちょうじょうの一本の木は、栄村にあるのです。
 ごんすけは、死んだら、たましいが、ふるさとの栄村にかえるのです。

 『命』『別れ』『ともだち』いろいろと感じるところがある物語でした。

 56ページの絵が気に入りました。ごんすけが風になって空を飛んでいます。

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