2020年02月15日

ルドルフとスノーホワイト 斉藤洋

ルドルフとスノーホワイト 斉藤洋・作 杉浦範茂(すぎうら・はんも)・絵 講談社

 この本は2012年が初版本です。このシリーズの本では、4冊目で、1冊目の初版は、1987年です。
 25年が経過していますが、物語のなかでは、ルドルフが岐阜市からトラックで東京都江戸川区内に来てから2年半の経過です。
 作者の自由な記述が続きます。絵はユニーク(独特)です。

 この物語のパターンは、「……だったんだけれど、いまは……」、例として、「対立していたけれど、和解して、あるいは、互いを理解して、今は仲良し」です。
 
 アメリカン・ショートヘアのメスねこミーシャと白黒のぶちねこブッチーとの間には、子ねこが三匹生まれています。オス、オス、メスで、オスのクッキー(葛飾柴又帝釈天の参道近くにあるの床屋バーバー・林へもらわれていきます)、同じくオスのラッキー(葛飾区奥戸へもらわれていきます)、白地に黒の毛並みでメス猫の名前はチェリーです。

 もらわれていくこねこたち(ブッチーとミーシャ夫婦の三匹の子どものうち、長男クッキー、次男ラッキー)を見送る父親のブッチーとドラゴン三兄弟の一番下のテリー、そして、岐阜からきたのらねこの黒ねこルドルフがいます。
 彼らのそれぞれの気持ちが語られます。読みながら心にしみるものがあります。親子関係のことで、それぞれ、感じ方が違います。
 ブッチーとテリーがけんかになりました。もらわれていくことがわかっているから、さびしくなることを避けるために、ルドルフは、子どもたちに距離を置いた付き合いをします。

 ブッチーが、どこかでけんかをして傷ついて帰ってきましたが、本人はなにがあったのかを言いません。

 舞台となる地域は、映画男はつらいよフーテンの寅さんが生きていたころの雰囲気が残る場所です。柴又、新柴又、矢切、江戸川、中川、新中川、京成金町、京成高砂、京成小岩、総武線小岩駅などがあります。以前観光で訪問したことがありますので、なじみ深い。

 ブッチーとミーシャのこどもである子ねこのチェリーが行方不明になります。ルドルフとスノーホワイトが横浜へ探しに行きます。

 マリンタワーとか、シーバスとか、氷川丸とか、行ったことがあるので、書いてあることが身近です。

 なんだか、やくざ映画を観ているような内容で、シリーズのこれまでの3冊とは雰囲気が違います。

 横浜港山下公園あたりで、物語は展開していきます。その付近を仕切っているボスが、ブチねこブルースとアメリカン・ショートヘアのジェントル・ジョニーです。

 「ポケット版ことわざ辞典」をもとにして、「柳の下にいつもどじょうはいない」とか、「あとの祭り」とか、「虎穴に入らざれば虎子を得ず」など、言葉のお勉強の時間が続いていきます。このシリーズはもしかしたらこの本で終わるのかもしれないという感想をもちました。


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