2019年12月26日

さっちゃんのまほうのて

さっちゃんのまほうのて たばたせいいち のべあきこ しざわさよこ 偕成社

 先天性四肢障害児父母の会共同制作の絵本となっています。
 1985年10月初版のロングセラー作品です。

(1回目の本読み)
 右手首から先がないさっちゃんです。さっちゃんは、幼稚園にかよっています。
 さっちゃんは、ままごと遊びで、お母さん役になりたいけれど、ならせてもらいない。
 理由は手がないことにあるようです。手のない人は、お母さんは無理ということでしょう。
 それでもさっちゃんは、お母さんになりたい。

 途中、さっちゃんが、くまのぬいぐるみをおふとんで寝かしつける絵がでてきます。ほのぼのしました。さっちゃんが、くまさんをあかちゃんとして、おぶいひもでおんぶしています。今の時代だったらだっこひもで前抱きをするのでしょう。

 「さっちゃん、ゆびがなくてもおかあさんになれるかなあ」というフレーズが出てきます。さっちゃん自身が発した心配ごとの言葉です。
 お父さんは、さっちゃんに、「なれる」と声をかけて励まします。
 そこで、「まほうのて」という言葉が出てきます。まほうの手から、幸せが伝わってくるのです。
 
 さっちゃんは、お母さんになる前に、お姉さんになりました。
 弟が生まれたのです。

 いじめっこだったあきらくんがいますが、あきらくんのことは、2回目の本読みのところで書きます。

(2回目の本読み)
 乳幼児の虐待をする親がいるいっぽう、悩みながらも障害児のこどもさんに愛情を注ぎながら育てている親がいます。いろいろ考えさせられる子育ての風景です。
 絵本の作成にかかわった左手指のない女性が書かれた文章が、絵本とは別紙のしおりとして本に付いています。
 こどものころに、障害を理由として、あなたは、結婚はできないと教育されたそうです。(それでも結婚されてこどもさんを複数もたれています)
 夢はあきらめたときにかなわなくなります。親になりたいという夢は、あきらめるべき夢ではありません。
 絵本の絵を見ていると、登場人物のこどもたちがまるで今、生きているように見えます。
 親の側の気持ちがいっぱいこめられている絵本です。絵本のもつ大きな力が伝わってきました。
 絵にスピード感があります。
 みんな違っていて、いいんだよという言葉が聞こえてきます。
 攻撃してくるほうだったあばれんぼうのあきらくんが、さっちゃんにプレゼントをします。謝罪と励ましのハートのチョコレートです。
 5年間かけてできあがった絵本だそうです。魂がこもっています。


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