2019年11月09日

11ぴきのねこ 馬場のぼる

11ぴきのねこ 馬場のぼる こぐま社

 子どもさん向けの絵本です。1967年初版で、2019年8月現在196刷もされているロングセラーです。道徳っぽさがありません。英米のマザーグース的で、不道徳さ、残酷さはあります。弱肉強食の世界です。生きるためには食べなければならないこともあります。
 
 なぜ、10匹ではなくて、11匹なのか。割り切れないから、不公平が生まれることを示唆していると思いました。1匹の魚をねこ11匹で分けるシーンが登場します。しっぽをもらっても、食べたことにはなりません。

 大きな魚は獲物として11ぴきのねこに狙われます。魚は、大きな魚になってしまった「不幸」があります。ねこたちの前進は、「侵略行為」です。なんだか、とある国がとある国に攻め込むようで、どきどきします。暗喩があるのかもしれません。

 逆転の発想があります。魚をつかまえようとした11ぴきのねこのほうが、魚に飲み込まれそうになりました。魚のほうが巨大なのです。

 小さな猫たちは大きな魚をつかまえるためのプランをねります。
 
 「ねんねこさっしゃれ」の歌の文節が何度も出てくるところがおもしろい。おおきなさかなが、「ねんねこさっしゃれ」を海の上で歌うのです。

 物語は、「冒険もの」に発展します。

 大きなさかなにも「油断」するときがあります。
 ねこたちは、さかなをさらに油断させて、わなをかけるようなことをします。だましうち。すごい発想です。
 
 桃太郎の鬼退治のようでもあります。だましだまされの人間界のかけひきを皮肉を込めて表現してあるようでもありました。

 次に、なにが起こるのか、予想できないシーン(見開きページ)があります。
 次のページを開いて、びっくりしました。
 そういうことか。まあ、ねこ側の立場に立って、「よかった。よかった」
 
 ねこたちには、港に着くまで、がまんできない「食欲」があります。

 ありのままに表現してあることが、ロングセラーの理由なのか。そのへんはよくわかりません。

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