2019年11月01日

アンデルセンのメルヘン文庫

アンデルセンのメルヘン文庫

 1冊につき5作品がおさめられていますが、ピックアップして感想を書いてみます。
 特徴としては、たいていの作品が、唐突にお話が始まるような感触があること。ゆえに、なにがどうなっているのか、すんなり頭に入ってきません。なんども読み返します。それから、「思い出」とも思える昔の時代の時代設定のお話が多い。あとは、洋風のものと和風のものがあります。

〇第30集
「想いは赤く色づいて」
 「ボクは、風だ」から始まります。最初は、「風」という少年の話だと思って読み始めました。途中で、風は人間ではなく、風そのものだということがわかりました。風を擬人化してあります。
 風が落ち葉を掃除する女の人に恋をします。名前はナギで、古事記に登場する神「イザナギ」を思い出します。
 絵がきれいです。
 風とナギはもみじを介して心の交流を図りますが、ラストは、別のパターンもあるような気がしました。

「風もよう花もよう」
 花を素材にした童話を読んでみたかった。この本の購入理由です。
 花屋のチューリップが売られていくのですが、売れ残るチューリップがあります。チューリップの擬人化です。発想がいい。しみじみしました。

「ぼくのお星さま」
 小学2年生ぐらいの男の子が、家の前でお星さま(じつはヒトデ)を拾ったという出だしがいい。兄が小学6年生ぐらい。「一日ぐらい塾に行かなくてもなんともないが、星は早く海にいかないとしんでしまう」という兄のセリフがいい。せつない思い出。なにげない兄弟愛が良かった。

〇第32集
「夕焼け色の自転車」
 郷愁を誘います。新美南吉のきつねが出てくる童話を思い出します。
 味わいがありました。してはいけないことをしかたがないこととして見て見ぬふりをすることは昔よくありました。残念ですが今は許されなくなりました。

「きらわれ者のカラスだけど…」
 かなりおもしろかった。ごみをあさるカラスが、じつは、ごみを分別してごみ処理場に運んでいたというオチです。絵もかわいい。カラスの童話を読んでみたかったのが、この本の購入理由です。

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