2019年10月27日

白狐魔記(しらこまき) 戦国の雲 斉藤洋

白狐魔記(しらこまき) 戦国の雲 斉藤洋 偕成社

 本の紹介文にあるとおり、「大河タイムファンタジー」です。
 織田信長の登場です。鉄砲の話が出ます。
 化けるキツネの仲間「雅姫(つねひめ)」、伊勢の生れで鉄砲撃ちの不動丸が登場します。
 子ども向けの物語ですが、けっこう厳しいことも書いてあります。織田信長の妹「お市」がでてきますが、お市は、兄の織田信長が嫌いだった。その理由は、兄織田信長は妹市を政略の道具としか考えていなかった。敵対する浅井長政に嫁がせた。市は、浅井の味方だった。
 
 舞台は山の上に岐阜城がある岐阜です。
 
 人間に化けた白狐魔丸(しろこままる)は、ときおり首をかしげる動作できつねとばれるのではないかと化けキツネ仲間の雅姫(つねひめ)から指摘を受けます。

 16歳の不動丸という若者が、化けキツネ白狐魔丸の前に現れて、キツネに追い払われます。

 信長の頃、岐阜はにぎわっていた。
 信長は、怒りとみせしめのために、人の命を奪う。そんな人間になぜ人は集まったのだろう。恩賞が厚かったのでしょう。怒りっぽいけれど、新しもの好きで合理的、人に優しい面もあったそうです。
 「人間五十年」と「天下布武」という言葉が好き。舞い「敦盛」が好き。
 来年の大河ドラマの主役となる明智光秀のお話が出てきました。光秀は、信長に、「こざかしい」と叱られて頭に扇を投げつけられました。光秀は接待下手のようで、信長のプライドを傷つけて怒りをかっています。その点、秀吉は交渉上手です。わざと愚か者を演じることができます。

 一向一揆の舞台三重県長島というのは、いまの国道1号線沿い長島温泉なばなの里へ行くあたりのようです。激しい戦いが描かれています。
 
(つづく)

 読み終えました。織田信長の一向一揆勢力との戦闘シーンは迫力がありました。兵糧攻めは凄惨です。だまし討ちはあたりまえです。また、本能寺の変での明智光秀謀反(むほん)の部分では、来年の大河ドラマの主人公であり、タイムリーな-読書になったとうれしい気持ちになりました。

 織田信長は、武力で全国制覇・統一をして、その目標は、「平和な国づくり」であったと思いたい内容でした。こころざしなかばでかなわなかったのは、彼の厳しさを側近たちが受け入れることができなかったという流れと感じました。

 シリーズの冊数が増えてきたので、きつねの白狐魔丸が思い出にひたるシーンがふえてきました。回を重ねるにつれ登場人物が増えては消えていきました。

 激しい戦闘の中で、白狐魔丸(しらこまままる)は、魂憑依(こんひょうい。人間の体の全体にのりうつる)ことができるようになりました。

 金で雇われた兵隊武士、恩人の仇討のために参加している武士、宗教の教えで立ち向かう一向宗信徒、天下統一のために手段を選ばない織田信長、いろいろです。

 調べた単語などとして、「槇島城:まきしまじょう。京都府宇治市槙島町にあった城。織田信長が将軍足利義昭を破った。足利義昭が籠った城」、「千草峠:1570年織田信長が朝倉義景越前攻めに失敗して逃げかえる途中で杉谷善寿坊に狙撃されたところ。三重県御在所山湯の山温泉の西の方角」、「酔狂、ものずき:好奇心から変わったことをする」、「松明:たいまつ。火のついた木切れ」、「恐悦至極:謹んで心から喜ぶ」、「一向宗徒:浄土真宗。ひたすら」、「南蛮人:ポルトガル人、スペイン人など」、「デウス:神。男性単数」

 印象的だった言葉や表現などとして、信長の「かたづけておけ!」、「損得で寝返った者は、またいつ損得で寝返るかもしれないから信用できない」、「(桶狭間の合戦の奇襲)どうせ負け戦なのだからという思いで突っ込んだ」、「進まば往生極楽、退かば無限地獄(宗教と思い込みの怖さがあります)」、「京の都は不死だった」

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