2019年10月05日

北の国から‘92 巣立ち DVD

北の国から‘92 巣立ち DVD 前編・後編

 昔リアルな時期(92年頃の放映時)テレビでちらりとだけ見たことがあります。田中邦衛さんがお詫びのしるしに菅原文太さんにかぼちゃを渡そうとするシーンが記憶に残っています。

 田中邦衛さんが演じる父親黒板五郎が、娘の螢ちゃんや、息子の純君のことを考える気持ちがよく伝わってきます。
 思い出と今が交錯する今回の作品です。
 30年前の昔のやりとりを見ていると、昔は非常識とされたことが、今はなんでもないことに変化していることに気づきます。できちゃった婚とか、親の意向に沿わない就職とか。昔はもめました。
 螢のひとり語りで、詩的に進行していきます。蛍は父親の田中邦衛さんに対して、「ゴメンナサイ」の連発です。
 正吉くんはなつかしい。久しぶりに同窓会です。電車のガタンゴトンという連続音もなつかしい。
 レンタルのVHFテープもなつかしい。
 裕木奈江さんの松田タマコの個性は不思議です。ミュージカルみたいになって、なんで、いつも雨が降っているのかと思っていると、いっきに妊娠したという話になります。愛していないのに会うことを望む純は、あいかわらずずるくて、自身が言うように不純です。人格者と呼ばれるような完ぺきな人間は存在しないわけで、だから、純はいけない人間だとは否定できません。
 岩木滉一さんと美保純さんの結婚式での流産に続いて、純がタマコさんを妊娠させた騒ぎにつなぐのはうまい。
 テレビドラマというよりも映画的です。
 これまでのドラマ全体をとおしてですが、BGMの音楽と筋立てを関連付ける手法です。今回は、「やるなら今しかねぇ」というフレーズが突きとおされます。長渕剛さんの新宿のおやじみたいなタイトルでした。
 内緒の話が多いドラマです。
 菅原文太さんの「誠意とはなにかね」という田中邦衛さんに対する提示が重い。相手が失ったものと同等のものを自分も失うことだろうと考えました。続いて、田中邦衛さんが大切にしていた材木をすべて売って(自宅としての丸太家屋をつくるための材料)お金をつくって菅原文太さんに札束を渡す。菅原文太さんが、そのお金を返す。そこで、誠意とは、「誠実さがこもった謝罪の気持ち」であることがわかります。菅原文太さんの態度と言葉に、魂がこもっていました。
 鹿児島から東京に出てきたという設定の裕木奈江さんが、「東京はもういい。私(東京はもう)卒業する」と言う。その言葉を純が引き継いで、純は螢に、「東京を卒業する」と言う。うまくできています。
 「金があったら、金で解決する。金がなかったら、智恵で解決する。てめえが出せるパワーで前へ進む」
 男の見栄もありました。最後あたりは、田中邦衛さんが事故死しそうになって、宗教劇みたいになりました。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t136411
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい