2019年08月06日

サンタクロースっているんでしょうか? 子どもの質問にこたえて

サンタクロースっているんでしょうか? 子どもの質問にこたえて 偕成社

 最初のページにアメリカ合衆国ニューヨーク・サンという新聞社説を翻訳してこの本にした方の言葉があります。社説は100年前のものと紹介がありますが、それからまた20年ぐらいが経過していますので、今からカウントすると120年ぐらい前の社説です。社説の日付は、1897年9月21日となっています。日本では明治30年、京都大学設立、のちの京都国立博物館開館があり、外国では、前年にギリシャアテネで初めてのオリンピックが開催されています。

 さし絵は、ろうそくと炎、バックには窓です。なにかしら宗教的。
 次のページに「質問」があります。8歳の女の子バージニアが新聞社に質問です。ともだちが、「サンタクロースなんていない」と言う。サンタクロースって、ほんとうに、いるんでしょうか。

 これは事実で、このことに関係した人たちは女の子もふくめて、すでに亡くなっています。

 いきなり、明解な答えが出ます。「あなたのともだちは、まちがっています」

 そもそもサンタクロースというのは、なにが起源なのだろう。読んでいてわたしはそう疑問をもちました。調べました。昔、貧しい家にお金を投げ入れた聖職者の存在が始まりだそうです。
 サンタクロース=プレゼントをくれる人と定義すれば、サンタクロースはいると言い切れるとわたしは判断します。それは、さておき、本の説明はまた違います。

 目に見えるものしか、信じられない人になってはいけないという教えがあります。
 世界は広い、人間の目に見えないもので正しいものがいっぱいある。
 それは、愛やまごころです。

 今年になって勃発している事件の凶暴な犯人たちはみな孤独な人でした。かれらにサンタクロースがきていたら、あんなひどい殺傷行為をすることもなかっただろうにと考えたこの本の本読みになりました。

 目に見えなくても、手でさわれなくても、よろこびにふれることはできるとあります。

 サンタクロースを見た人はいない。だけど、それは、いないという証明にはならないと結ばれています。この世で一番確かなもの(愛情)は、目には見えない。社説では、「妖精」と表現されています。

 この質問をした女の子は先生になって、最後は副校長になったそうです。1971年に81歳で亡くなっています。でも、この本は、これからも読み継がれていきます。本のありがたさを感じた1冊でした。

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