2019年08月05日

ふたりはともだち アーノルド・ローベル

ふたりはともだち アーノルド・ローベル 文化出版局

 子どもさん向けの童話です。

〇1回目の本読み

 1回目は、おもに、絵だけを見ながらページをめくってみます。
 表紙にかえる2匹の絵があります。茶色のかえると緑色のかえるです。茶色が、がまがえるで、緑色が、ふつうのかえるということにします。ふつうのかえるは、とのさまがえるに似ています。
 章に分かれています。たいとるがともだちですから、「友情」のお話だろうか。

「はるがきた」
 2匹のかえるは同居しています。茶色いがまがえるは、どうもひきこもりらしい。ベッドでずっと寝ています。とのさまがえるが、がまがえるをサポートしています。介護みたい。
 がまがえるは、いつまでたっても寝ています。
 がまがえるは、ようやく5月に目が覚めました。どうも「冬眠」していたようです。章のタイトルが「はるがきた」ですから、たぶん、冬眠から目覚めたのでしょう。

「おはなし」
 緑色のとのさまがえるが病気のためにベッドで寝ている絵に見えます。茶色のがまがえるがとのさまがえるに気をつかっています。どうしたらいいのだろうと思いを巡らせています。でも、どうしていいのかわからないようすです。さいごに、がまがえるは、自分もベッドで寝てしまいました。

「なくした ボタン」
 茶色のがまがえるが着ている上着の上から2番目のボタンがとれました。とれたボタンをみどりのとのさまがえるが見つけました。どういうわけか、鳥がそのボタンを口にくわえています。たぬきが出てきました。ボタンをめぐって、2匹のかえるが、何かを話しています。ボタンがいっぱいでてきましたが、それぞれ形が違います。理解できないまま終わりました。

「すいえい」
 びっくり、緑のとのさまがえるが、下半身の水着を脱ぎます。脱いだあと、水に入ります。かめさん登場。とかげとへびと、とんぼとねずみも出てきました。みんなが岸から、川でひとりで泳ぐ茶色のがまがえるをながめています。がまがえるの水着は横しま模様で、それを見てみんながばかにして笑っています。それでも、がまがえるは、エッヘンと胸を張って家に帰ったのでした。

「おてがみ」
 家の前にポストがあります。郵便屋さんが手紙を入れてくれる2匹のかえるの自宅のポストです。
 みどりのとのさまがえるが、手紙を書いて、カタツムリに渡しました。どうも、その手紙は、同居している茶色のがまがえるにあてて書いた手紙のようです。
 ようやく、でんでんむしの配達員さんが、その手紙を届けてくれました。


〇2回目の本読み

「はるがきた」
 各編が一話12ページぐらいです。
 1回目の本読みの時は、がまがえるくんととのさまがえるくんとして読みましたが、2回目の本読みで知ったことは、とのさまがえるくんは緑色の単なる「かえる」でいいということです。
 茶色のがまがえるくんは、「ひきこもり」のかえるみたいです。なかなかベッドから出ず、家からも出たがりません。5月になったら起きるとかえるくんに言います。
 かえるくんは5月が待ちきれずカレンダーをどんどんめくって、5月のカレンダーにして、がまがえるに5月になったよと声をかけました。がまがえるはそれを信用して目を覚まして家の外に出ることができるようになりました。まるで、落語のオチのようです。

「おはなし」
 病気で寝ているかえるくんです。心配したがまがえるがかえるになにかお話をすると言い出しましたが、お話し(物語)をなかなか思いつかないままに、かえるの病気は治ってしまいました。がまがえるの物語を思いつけない様子がおもしろい。ふたりのクエスチョンとアンサーのやりとりがなかなかいい。
 なにか特別なことをしたわけでもないのに、読んでいると優しい雰囲気に包まれます。ふたりのやりとりに愛情がかよいあっているからでしょう。

「なくした ボタン」
 ふたりはいっしょに遠くへでかけて、その途中で、がまがえるが、「上着のボタンがとれてなくなった」と言い出します。
 あともどりしながらボタンをさがしますが見つかりません。
 1回目の本読みの時には、大きな鳥とたぬきと出会ったと思いましたが、それは、すずめとアライグマでした。カエルが小さいので鳥が大きく見えました。
 いろんなボタンが見つかります。形、色、大きさ、穴の数、でもどれも、がまがえるの上着のボタンではありません。がまがえるはイライラするのです。
 外をさがしまわってボタンがなくて、ところが、家に帰ったら、家の中にありました。所定(定められた位置)の場所にあったのです。
 そういうことってあります。人を疑う前に自分を疑えという教訓があります。
 せっかく集めたたくさんのボタンです。がまがえるは、たくさんのボタンをデザインとして上着に縫い付けました。発想が豊かです。

「すいえい」
 がまがえるが、「水着を着てくる」といいます。びっくり。がまがえるが水着を着るのです。かえるは逆に服を脱いで泳ぐと言います。
 がまがえるは来ている水着がみっともないデザインで、スタイルを笑われるので人に見られたくないそうです。
 かめがきました。とかげとへびとねずみも来て、がまがえるの水着姿を見たいと言います。がまがえるは見られたくないので、水の中にいましたが、最後はついに水から上がりました。みんな大笑いです。
 なんだろう。なんでもなさそうなお話なんですが、心がほわーんとします。

「おてがみ」
 がまがえるはこれまでに一度も手紙というものをもらったことがないそうです。そこで、かえるががまがえるに手紙を書いて、かたつむりの配達員に配達をたのみましたが、かたつむりなので移動のスピードが遅いためになかなか手紙が届きません。考えてみたら、かえるのふたりはいっしょにいるわけですから互いに手紙のやりとりをする必要はないのです。
 でも、がまがえるは、手紙というものを受け取ってみたい。
 「友情」です。タイトル「ふたりはともだち」、いっけん意味をなさないことでも、いっしょに同じことをすることで心の交流が生まれて、愛情につながっていくということでしょう。これは、男同士だけではなくて、恋人とか夫婦も同じなのでしょう。いっけん、むだなことでもやる意味があるのです。
 やさしい心をもったかえるくんです。思いやりが伝わってきました。
 手紙は、出してから4日かかって、かたつむり配達員が届けてくれました。がまくんはとてもよろこびましたとあります。

*全体をとおして
 まだ、インターネットテクノロジーとか、ソーシャルネットワークとか、社会生活の過ごし方が大きく変化する前、1972年からのロングセラー作品です。のんびりしたお話がいい。
 「手紙」を素材にした絵本、童話をよくみかけるのですが、これからの時代、メールやライン世代で、「手紙」になじみのないこどもたちや親たちにこのパターンの物語が受け入れられるか、クエスチョンが生まれました。

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