2019年07月22日

夕焼け色のわすれもの たかのけんいち

夕焼け色のわすれもの たかのけんいち 講談社

 タイムトラベルものの小学校高学年向けの児童文学小説です。昭和40年代へいきます。全体で153ページのうちの35ページまで読んだところで感想を書き始めます。

 小学6年生翔太が、先生に頼まれて、月曜日に転入してきた佐山厚司の団地の部屋へ行きますが、甲斐(かい)という子はいるが、佐山厚司はいないと聞きます。そして、まわりの風景は昭和40年代なのです。

 最初の1ページ、導入部の記述が魅力的でした。太陽を冷たい水にひたすとどうなるかから始まります。こうはなかなか書けません。なにを暗示しているのだろうか。これから読むのが楽しみになります。

 翔太の一人称で、ひとり語りが始まります。

 団地暮らしをしたことがある人にはなつかしい風景です。作者は昭和30年代生まれのような気がします。古いと言えば古い。もう広場で草野球をする子は、いまどきは見かけなくなりました。
 休んだ同級生に同じクラスの子がなにかを届けるということも今は個人情報の保護とかで、制限されていてやれないのではないか。いまは、同級生の家がどこにあるかも知らないことが多い。
 「ひょっこりひょうたん島」が出てきました。見ていました。
 2DKのアパート、団地も同じような間取りでした。
 
 古書店を営む祖父の店で翔太がみつけた1冊「夕映えのやくそく」

 老齢者向けの児童文学だろうか。

(つづく)

 読み終えました。ちょっとややこしかった。作中の秘密事項は、途中で気づけました。
 タイムスリップを手法にしてありますが、けっこう深刻なことがらが下地になっている児童文学でした。犯罪者の家族の悲劇、離婚の世代間連鎖、母子家庭の子ども、生じる差別、孤独、いじめなどで、悩むこどもは、読書で克服していきます。どろぼうとかじゃなくて、殺人だったりするとさらに子の未来がふさがれます。差別の禁止、犯罪者の家族には責任はないという訴えがあります。
 読み終えて、生きているうちに、楽しい思いをしよう。人生を楽しもうという気になりました。

 印象に残った表現などとして、「昔の電柱は木でできていた」、「(両親の離婚は)片方の靴をなくしたような気持ち、とうさんがいなくてもじいちゃんがいる」、「高校へも進学できなかった(大学へ行けなかったという話はよくある話です)」、「いっけん友だちにみえるのは、ただ、利用したりされたりの関係がそうみえるだけ」

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