2019年07月09日

邦画 日日是好日(にちにちこれこうじつ) DVD

邦画 日日是好日(にちにちこれこうじつ) DVD 2018年公開

 樹木希林さんとは映像のなかでしか会えなくなってしまいました。
 原作は、作者の自伝的エッセイがもとになっていて、それが、脚本化されていると、観ている途中で知りました。
 典子役、黒木華(くろき・はな)さんの映画でもあります。7歳ぐらいから、40代始め頃までの茶道とともに歩いた、いや、あわせて、武田先生役の樹木希林さんと歩んだ人生の切り取り部分映像です。
 全編を通して底辺にイタリア映画、フェデリコ・フェリーニ監督1954年製作作品「道」のことが流れています。観たことがあります。ジェルソミーナという20代前半、知的障害があるような娘さんが1万リラで、まあ、人身売買でザンパノという旅芸人の男に売られていきます。ジェルソミーナは、ザンパノに束縛され、やがて、捨てられて、死んでしまいます。物悲しいメロディーが映画を支えていきます。自分としては第二次世界大戦の敗戦国イタリアとイタリア人の孤独を描いた作品だと解釈しました。
 この映画日日是好日(毎日がいい日だ)で、よかったなーと思ったシーンなどを並べてみます。
 樹木希林さんの正座姿が美しい。
 抹茶は最後に音をたてて飲む。それが、飲み終わりましたという合図
 「お茶って、へんですねー。すっごく、へんですねぇ」
 樹木希林さんに生徒が質問すると、「とにかくこうするの」
 黒木華さんと多部未華子さんは、映像のなかでは、女優というよりも、お茶を習う一般の方のような雰囲気でした。配役陣のバランスがとれていました。最初のうちは、お茶の研修ビデオを観ているようでした。
 映像のバックで、ピアノソロがメロディーで語ります。
 お茶はまず形、入れ物をつくってから心を入れる。
 「頭で考えていないで、同じ動作の回数を重ねて、勝手に体が動くようにするの」
 若い二人のカラオケシーンがおもしろかった。
 「たたみ、五目(ごめ)ほどあけて」
 「目のまえにあることに集中するのよ」
 おおぜいの女性の世界です。
 音、雨の音、せみがなく音、滝の水が流れ落ちる音
 (掛け軸を見ながら)文字を絵をみるようにながめる。水音が体にしみこんでいく。
 和室から障子のガラス部分ごしに見える日本庭園の緑や紅葉が美しい。
 お湯はとろとろ、水はきらきら。
 登場人物たちの就職、転勤、退職、結婚、結婚式のドタキャン。いろいろあります。女性にとって、結婚は自分が主体になることを考えないとなかなか踏み切れないものであることが伝わってきました。男に従属していては、いい結果につながりません。
 だるまさんは必勝、だるまさんは、七転び八起き
 「大丈夫よ、みんなそうだったんだから」
 一期一会(いちごいちえ)、今日という日はもう帰らない。今日あった人とはもう一生会えない、会わないかもしれない。
 太陽の光があって、雨の恵みがある。生きとし生けるものが生きている。地球とか、歴史とか、人生とかの時の流れがあります。
 「ありがとうございます」人生を感謝で終わる。
 「毎年、同じ時期に同じことができることは幸せなこと」
 「教えることで教わることがいっぱいあります」
 主人公に、人生40年間を経て、ここからが本当の人生の始まりという決意があります。確かに人生100年時代です。精神的に深い部分をもった映画でした。
 すさんだ素行、すさんだ思考とは対極にある映画でした。日本人が追求してきた茶道の「美」があります。

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