2019年04月27日

泥の家族 東野幸治

泥の家族 東野幸治 幻冬舎よしもと文庫

 「東野・岡村の旅猿」で又吉直樹さんが出演した時に、東野さんが紹介していた自身が描いた小説です。もう20年ぐらい前のものです。読んでみました。
 200ページぐらい。ひとつのお話が5分ぐらいで読めます。文章に文学的な情緒はありませんが、笑えますし、しみじみとした人間的な味わいがあります。
 父親がいて、母親がいて、兄がいて、姉がいて、中学生の自分(男子)がいる。家は貧しくて、親父はいいかげんな人間で、母親は節約家でよく怒る。兄も姉も不良少年少女です。
 おとなになった兄から10年ぐらい前に失踪した父親が殺されたと次男に電話連絡があるところから始まりますが、時はさかのぼって、過去の暮らしへと飛んだようです。父親が殺害された話が消えます。
 父親とその他の家族は、対立とか、父親嫌いとか、確執がありそうです。
 「思い出」の記録です。中学生男子の一人称で話は進みます。
 
 父も姉も、自分がしたいことをする生活です。浮気とか男遊びとか。お金のない今の生活に不満があるのでしょう。

 中学、高校、青春時代の思い出の記録です。思い出の話が続くのですが、現在進行形にできないものか。ときに、話は飛び飛びになります。

 後半は、あまりにも激しすぎる展開です。

 書いた本人がいっけんそう見える「愛情のなさ」の要因があります。

 バチがあたる。

 ラストの章「M」を、読者として、どう受け止めればいいのか、わかりません。

 良かった表現の趣旨として、「オカンはバスに乗ると車酔いをして吐くからバスに乗らない。長距離でも歩く」、「(自分の感想として)全体を通して、次男坊の世界あるいは、兄弟のうちの下の子どもの世界です。自分は長男なので、そのような体験がなく、新鮮に感じました」、「アニキは家族といるときは暗いけれど、友だちといるときは明るい」、「大阪では鶴瓶に似ていると得」、「何十年も経ってもバックにかかっている曲は、サザンオールスターズ。曲がそのときの思い出になる」、「(3人きょうだいが集まって)親が離婚したら、どっちにつく?」、「お互いにうわべのあいさつをかわす」、「自分はあの家族のなかでいつもひとりぼっちだった」

 読み終えました。全体的に下ネタですがおもしろかった。

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