2019年01月26日

フーガ―はユーガ 伊坂幸太郎

フーガ―はユーガ 伊坂幸太郎 実業之日本社

 この1年間で読む3本目の伊坂作品です。前々回読んだ「AX(アックス、斧)」が良かった。
 まだ、35ページ付近ですが、「フーガ」は、人の名前だし、おそらく「ユーガ」も人の名前です。ふたご子のお話です。(音楽のフーガはあとで思いつきました。楽曲形式。反復発展)
 暴力シーンからスタートです。父親による児童虐待です。5歳児が虐待を受けています。それも過去の話なので、5歳時は成人しており、そこまで読んで安心しました。
 結婚や子育てをしてはいけない人がいます。この物語では、母親には夫の暴力を止める力がありません。あきらめています。
 主人公である常盤(ときわ)の一人称で進行していきます。但し書きとして、常盤の話には嘘があるそうです。

(つづく)

 文章の言い回しがうまい。
 対象者が異なるとはいえ、家庭では児童虐待、学校ではいじめ、暗いムードが続きます。夢も希望もありません。
 どの子も家庭的には不幸せ。今度はDVです。人間の表層をはいで、嫌な面を表に出す小説です。舞台が仙台市なので、仙台のイメージが悪くならないかと心配です。
 暴力には暴力で仕返しをする面があります。

 テレビ局制作会社社員若手有望ディレクターとの面談は何なのか。

 「勧善懲悪」の雰囲気です。

 東日本大震災、津波被害が少しだけ顔を出しました。

 貧困と父親からの暴力を理由として、フツーと違う生活を送って来たふたりです。大学生になっても、ボウリングをしたことがありません。

 小学生の行方不明事件発生。

 読んでいると人間不信になる物語です。

 ふたりには、誕生日の秘密がありますが、ここには書けません。

 暴力に対する怒りと恐れ。

 全体が過去のふりかえりのお話です。では、現在は、どういう位置にあるのか。

 父親殺しか。事件が起こりそうです。

 211ページ付近、これからどうなるのだろう。

 ページで、項目の区切りにある小さな絵が、「シロクマのぬいぐるみ」の絵だとようやく気づきました。

 クライマックスは、劇場映画的です。

 最後は、さわやかで、すっきりしました。

 印象に残った表現などとして、「いじめが発生する環境は、閉鎖空間があって、暇であること」、「表層的なクラスメイト」、「二人だからのりきれる」、「人としゃべらないでも生きていける」、「小玉は耐えている」、「自分たちが幸せならあとは知らない」

 調べた単語などとして、「傘に着る:いばる」、「すかしたこと:もったいぶって相手に不快なことをする」、「鼻白む:はなじろむ。気分を害する。興ざめする」、「デフォルト値:規定値」、「バラモン的ポジション:インドのカースト制度の頂点」、「懇ろ:ねんごろ。男女の親しい様子」、「揶揄:やゆ。からかい」、「嶮:けん。けわしい。むずかしい」、「正鵠:せいこく。弓の的の中心にある黒点。ものごとの急所」、「嗜虐的趣味:しぎゃくてきしゅみ。苦痛を与えて楽しむ」、「攫う:さらう」、「おまえたちみたいな人間が平気な顔をして生きていられるんだ」、「トレーディングカード:趣味で交換目的のカード。鑑賞用、ゲーム用」、「理由をとってつける:わざとらしい不自然な様子」、「隻腕:せきわん。片方の腕を失った状態」、「シューマッハ:ドイツのレーシングカードライバー」、「唆された:そそのかされた」、「罅:ひび(がはいる)」、「踏み躪る:ふみにじる」、「無下な:むげな。冷淡な」

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