2018年09月15日

ディス・イズ・ザ・デイ 津村記久子

ディス・イズ・ザ・デイ 津村記久子 朝日新聞出版

 サッカーJリーグ二部リーグの仮想チーム名が土台で、サッカーの応援が話の素材集という印象をもちます。まだ、第1話34ページまでを読んだところです。全部で11話、それにエピローグがたしてあります。

第1話
 糸川貴志の中学から大学までです。地元チームが三鷹ロスゲレロス。青森県出身松下広務君との交流です。
 三鷹市ってどこなのかわからないので調べました。わかりました。

(つづく)

第2話
 ディス・イズ・ザ・デイの意味を調べる。「これは日々である」日常ということだろうか。
 舞台は大阪、そして滋賀県のサッカーチームです。4人家族の中でこれまで大阪を応援していた息子高校1年生が別行動に移ります。
 それぞれの道がある。ひいきの選手がいる。自分の投影がひいきの選手なのでしょう。家族の中でも各自の意見が分かれてくる。中身時代はおおごとではない。なごやかです。
 この本は、複数の家族物語です。家族が互いを思いやる。優しさがにじみ出ています。北海道で大地震が発災した今読むと胸にじーんとくる部分があります。文章量の多さはすごい。筆力がすごい。
 良かった表現として、「芯のない話」、調べた言葉として、「デフォルト:初期状態」、「エンブレム:紋章」

第3話
 ひきこもりの女子大生3年生がサッカーの試合を観に行きます。
 良かった表現として、「鈍くうなずく(にぶくうなずく)」
 サッカースタジアムの描写に臨場感があります。
 癒しの物語でした。

第4話
 作者が登場人物のひとりにひとりにのりうつってその人の心情を述べていく。
 いい話でした。

第5話
 両親を亡くして二人暮らしをしている社会人兄と高校生弟のふたり家族です。
 良かった文節として、「会社の屋台骨になる」
 兄弟でもやがてひいきのサッカーチームが分かれます。
 しみじみくる一作です。

第6話
 亡くなった夫のお話です。サッカー観戦を浮気をしていたと夫を亡くした奥さんは勘違いしています。

第7話
 「ごんげんさま」という獅子舞のかしらをかぶっている青年のお話です。彼は職場に居るある人とうまくいっていません。

第8話
 舞台は高知県、サッカーを通じて、浜松の女性と東京の女性が、最初は見ず知らずだったのですが、だんだん深い交流を結びます。
 調べた単語として、「フラッペ:氷をシロップと混ぜたもの」

第9話
 8歳のときに両親が離婚して、母の連れ子になって、今、大学3年生になった男子がいます。母方祖母の通夜の時に父方祖母と十年以上ぶりで再会します。ふたりはサッカー観戦をとおして交流が始まります。
 調べた単語として「韜晦:とうかい。本心を隠すこと」
 お互いが生きているときの「時間」について考えました。
 現実にはあり得ないことですが、あり得ることという期待感をもたせてくれる。

第10話
 高校1年生吹奏楽部男子がいます。彼は、1学年上の先輩女子に惹かれていますが、彼女は退部してしまいます。その理由は最後まで明かされません。
 偶然が重なって、サッカー無知の彼は、地元サッカーチームの応援団で演奏を始めます。
 最後まで読んでひとこと彼に対して、「よかったね」と言葉がこぼれました。

第11話
 これまでの全体をまとめるお話でした。


 この本は、サッカーの見方がわかる本です。
 この本は、なにか、賞をとってほしい。

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