2018年07月30日

凶犬の眼 柚月裕子

凶犬の眼 柚月裕子(ゆづき・ゆうこ) 角川書店

 狂犬ではなく凶犬。造語なのでしょう。
 以前、同作者の将棋を扱った本を読んだのですが、わたしにはそちらのほうが良かった。「孤狼の血」も読みました。それらと比較すると今回の作品は質が落ちる気がします。
 話は基本的に、週刊誌の記事順で進みます。それが動きを止めています。日誌(日記)を読んでいるような「ふりかえり」の感じがあるので「今」という臨場感がありません。過去記事です。
 
 現職警官が、情報を得るために、反社会的勢力組織と手を組んで仕事をするお話です。清濁併せ吞む話です。それを許せるかどうかで読後感は違ってきます。
 まず目の前に容疑者がいても逮捕はしません。正式に見れば悪い警官です。反社会的勢力から情報を得て、より高い成果を挙げることを目標とする。ばれて、懲戒処分をくらっても、それはそれでよしとする度胸がありますが、実際は、警察は辞めたくはないようです。

 舞台は今回の水害の地のような区域です。主な舞台は広島県です。

 セリフとセリフの間の文章を注意しながら読んでいます。書き方の学習です。それから、話し方で登場人物の個性を出す。

 川の事故は唐突な感じがします。伏線の張り方はうまい。

 登場人物の名前がいっぱい出てくるので把握することがたいへんでした。

 「信賞必罰:しんしょうひつばつ。功績があれば与え、罪は罰する」、「タメ口:友だち口調。丁寧語を含まない。対等、同等の立場」、「エス:警察用語。組織内通者」、「生きる縁:いきるよすが。心のよりどころ」

 気に入った表現として、「香りだけで安物とわかるコーヒー」

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