2018年05月12日

クニマスは生きていた! 池田まき子

クニマスは生きていた! 池田まき子 汐文社(ちょうぶんしゃ) 2018課題図書

 157ページあるうちの83ページまで読んだところで、読書感想文を書き始めてみます。
 まず、「クニマス」 とは何かから書きます。本のカバー写真を見ると「黒いお魚」です。マスは海のシャケに似ています。
 話は脱線しますが、味も似ているので、シャケ弁当は、実はマス弁当のこともあります。昔、岐阜県の山奥の釣堀へマス釣りに行ったことがあります。釣りのあとは、マスの刺身とかを食べた覚えがあります。味は濃厚でおいしかった。
 さて、クニマスの体長は、21cm~24cm、大きいもので30cm。ヒメマスに似ている。
 この本では、絶滅したとい言われていた「クニマス」 が長い時を隔ててようやく発見されたということが書いてあります。
舞台は、秋田県田沢湖、山梨県西湖(さいこ)です。以前このニュースは新聞で読んだことがあります。タレントのさかなくんが発見したというような記事でした。そこに平成天皇のお褒めの言葉が添えられていますが、この本では触れられていません。

 場所は、秋田県にある田沢湖という湖から始まります。日本で一番深い湖、水深423.4m、けれど、世界で一番深いのは、バイカル湖1741m、やはり、世界は広い。昔は秋田県田沢湖に(この本では、昭和5年頃1930年、今から88年前からスタート)、クニマス、イワナ、ウナギ、コイ、サクラマスなどがいたそうですが、電力発電のためダム建設により、温泉地の川から酸性の水をひき、水質が酸性になり、生物が生きていけない環境になって魚は死滅したとあります。公害かと思いましたが、温泉の硫黄分がある水が導水されたので工場排水ではありません。

 この本の趣旨は、10ページに「人間と野生生物との共存の意味を探る」とあります。

 「辰子姫の伝説(たつこひめ)」 こどもが湖に近づいて、水の事故にあわないようにとの配慮から発生した物語と受けとめました。永遠の美人を得るために、山奥の清水(しみず)を飲む。そこでおいしい魚を食べる。水を飲んだら竜に変身して、田沢湖に沈む。そのとき母親が投げた「木の尻(いろりの燃えカスの木材)がクニマスになった。

 養殖の苦労が書いてあります。野生の生物の育て方、餌、大変です。

 すべての理由はお金です。「クニマス」を捕って売るのもお金、温泉地の川から酸性水を田沢湖に引いてダムをつくって、「電気」をつくって売るのもお金です。人間は、お金を得るために自然破壊もします。
ただ、エネルギー革命の時期だったのでやむをえなかったと思います。(人力→石炭の蒸気エンジンとか電気とか)

 「お国のため」という言葉が出てきます。お国のためというのは、「国民全体のため」なのか、「国民の一部のため」なのかを考えることができます。
やがて、「お国のため」にという名目で領土拡大をするために戦争が始まります。昭和10年以降の日本は、戦争の話ばかりだった気がします。環境破壊が起こることが予測できていたけれど、戦争へと向かう力が強すぎて、その流れを止めることができなかった。

 その頃、あとあとの世代のために結果的にそうなった(クニマスが田沢湖で死滅することが予想できたので、クニマスの卵を全国の湖に送った。)のですが、山梨県の西湖へ秋田県田沢湖のクニマスの生きた卵が送られていた。(これがどうして歴史に埋もれたのか不思議です。それが幸いして生き残れたとも予想できます。) 昭和5年から昭和14年まで、全国数か所の湖へクニマスの卵の分譲が行われています。

 「夢」は、努力しつくして、もう無理だとあきらめたときにかなうことがあります。そういうとき、喜びは大きくなります。
 主役の三浦久兵衛さんは2006年平成18年に84歳で亡くなっています。
 そして、2010年平成22年12月15日山梨県西湖(さいこ)で、70年ぶりにクニマスが発見されたと報道がありました。

 154ページ、クニマスの正面写真がかわいい。クニマスの笑顔に見えます。

気に入った表現です。「春が足踏みをしている。(春が、なかなか来ない。)」

 「開発」 と 「自然保護」 のバランスがむずかしい。

Posted by 熊太郎 at10:21

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