2017年09月25日

戦争と平和 百田尚樹

戦争と平和 百田尚樹 新潮新書

 「永遠の0(ゼロ)」の作者ですから、彼は反戦主義者です。
 なにかしら誤解を受けるのは、真実の追求が、上層部の人たちにはうっとおしいのでしょう。

調べた単語として、「毀誉褒貶:きよほうへん。ほめたり、けなしたり」、「弁証法:この本の場合は二面性をあらわしています。矛(ほこ・やり。攻撃)と盾(たて、防御)」、「兵站:へいたん。戦争の時の後方支援。食料、物資の補給」、「戦場で斃れた:たおれた」、「拵えた:こしらえた」、「オマージュ:賛辞」、「無辜の民:むこのたみ。罪なき人々」、「夜郎自大:やろうじだい。自分の力量を知らずに威張ること」、「レイシスト:人種差別主義者」、「プルーフ:仮綴じ本」、「島嶼国:とうしょこく。領土が島で構成されている国」、「蹂躙:じゅうりん」、「パラノイア:偏執的(かたより)、妄想」

 北朝鮮がちゃかちゃかする今、戦争は遠いのか、近いのか。
 最近は、東北の津波とか、原子力発電所安全神話の崩壊とか、ありえないと考えられてきたことが次々とありえているので、運命に身を任せるしかありません。

 「日本を守るのは日本」、目次で見つけました。もう、防衛をアメリカ合衆国に頼るだけの絵空事はとおりません。自国による防衛ができる法律の作成は必要です。あわせて、戦争にならないように文化やスポーツを通じて、国際交流も必要です。

 日本人の思考回路を分析してあります。意味深い。
 
 「悪いことを想定しない(日本文化)」は、確かにありました。原子力発電所の事故は発生しない。だから、事故を想定した準備や訓練をする必要はない。その時代に生きてその時代に消えていったひとたちはしあわせでした。
 その点、アメリカ合衆国は合理的でした。自分たちが負ける最悪の状況を予想してプランが組んであったとあります。

 日本国は、「職人技をもつ人間を使い果たして捨てる」、アメリカ合衆国は、「ふつうの人を大事にして戦地で交代・回転させていく。(自爆行為は考えていない)」。アジア人とヨーロッパ人の考え方の違いがあるのかもしれません。

 武器や戦略、当時の日本軍上層部の考え方の欠点に関する記述が続きます。分析は正確でしょう。あわせて、サギ的行為にたけて、人心操作を試みる者がその時代を動かすことに気づきます。

 石油の死守の話が出てきます。日本国は死守できなかった。
 北朝鮮の石油の補給を絶ったら、同国の自暴自棄なロケット発射になるのか、同国が降参するのか。
 
 日本人は戦争に向いていない。日本人は視野が狭い。日本人は非情になりきれない。

 侍型の優秀な職人戦闘員というのが、日本人の印象です。
 戦争は集団戦です。同じ器量の人間が次から次へと繰り出していけるチームが勝ちます。
 
 「永遠の0」の出版に至るまでの経過が興味深い。林真理子さんの名前が出てきます。先日、同氏のエッセイを読んだばかりです。

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