2017年09月22日

うつ病休職 中嶋聡

うつ病休職 中嶋聡 新潮新書

 「連鎖」、うつ病になった社員がいて、その人の仕事をかぶった社員にうつ病が連鎖して、困ったというようなことが書いてないかと期待して読みましたが、書いてありませんでした。

 労使紛争・対立は、病気ではなく、労務管理の問題ではないかということが筆者の主張です。
 
 40年ぐらい前、250人の社員のうち1人ぐらいがメンタル病でした。だんだん増加してきて、今では、15人にひとりぐらいいる感覚です。
 書中では、増加は診断基準のストライクの範囲が広がったためとあります。
 ただ、病気ではないけれど、フツーの感じじゃない人も増加した感じがあります。

 上司とのことがたくさんのページをあてて記述されています。
 労務管理問題、最終的には、退職、裁判対応までいきます。「うつ病」という病名がその原因ではなく、労務管理の問題との問題提起があります。

 「五体満足でも働けない人はいる」というのが、社会人になってからの新発見でした。
 学力優秀、ペーパーテスト完ぺきでも、狭い分野のなかでしか使えない人がいることも知りました。
 
 教員、公務員、介護職、医療職、自衛官、一流民間会社勤務、頭のいい人たちの事例が続きます。そして、医師でもこわれている人もいる。
 企業の安全衛生担当部署の困惑と対応しきれない苦労が伝わってきます。

 長時間労働(サービス残業とか)、昔は、あたりまえの労働慣例でした。仕事が趣味という部分もありました。あの時代に生まれ育った人たちにとっては長い労働時間が楽しみの部分もありました。社員が家族だったし、仕事場が家でした。
 努力と根性と忍耐。それらが美徳とされていました。
 
 心因反応、(性格要因、環境要因による)、この辺の医学的なことは読んでも自分には理解できません。

 企業は、診断書(医師)に、判断転嫁、責任転嫁したい。
 損害賠償請求訴訟があります。
 
 うつ病はストレスで起こるものではない。
 ストレスにどう対応するかは、本人の責任。
 業務は誘因、病気は素因

調べた意味として、「オンデマンド:要望に応じて」

時代も人も変わりました。
「働き方改革」というのが必要なのでしょう。

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