2017年09月02日

ウツボカズラの夢 乃南アサ

ウツボカズラの夢 乃南アサ 双葉文庫

 久しぶりに乃南アサ作品を読みます。以前、のめりこんでいた時期がありました。今回は、テレビドラマの原作で、記事を見て読みたくなりました。

 ウツボカズラというのは、食虫植物だと思うのです。

 まだ70ページ付近です。
 高校を出たばかりの主人公斉藤未芙由は、母親病死、父親は若い女と再婚(さらに父親の子を身ごもっている)、行き場がなく、母親のいとこ鹿島田尚子(見た目30代だが44歳)のところ、東京渋谷区の高級住宅地にある2世帯向け住宅へ長野県中野市から行きます。
 
 鶴岡杏子31歳は、鹿島田雄太郎(鹿島田家の長男、鹿島田尚子の夫50歳ぐらい)の愛人で、さらに杏子のヒモみたいな男秀幸25歳がいます。

(つづく)

 同作者の初期作品だろうか。(2008年作品でした。)
 仮面家族がもつ裏生活を描いてありますが、持ち味のどろどろ雰囲気までには至っていません。説明に近い表現です。

(つづく)

 読み終えました。
 ウツボカズラは、主人公の未芙由でした。女の武器を使って、平凡で恵まれない女性が高額な不動産や財産を自分のものにする。さらに、不要な人物を排除する。だから、食虫植物なのでしょう。

 ストレートです。強さは本よりも弱めでも、現実には類似例がありそうです。
 だから、深夜の放送なのかと気づきましたが、小説ではきつい描写はありません。家族というものは信頼関係がないと簡単に崩れてしまうという暗示もあります。きずなもいりますし、愛情もいります。

 主人公の未芙由像は、人形のようです。キャラクターを植物的にしてあります。

 印象に残った部分の趣旨として、「この世は、辛抱することのほうが多い。辛抱し続けて、少しずつ階段をあがっていく」、「公務員は二日で終わる仕事を1週間かけてやる」

 いちおう、ハッピーエンドなのだろう。

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