2017年07月18日

星の子 今村夏子

星の子 今村夏子 朝日新聞出版

 83ページまで読みました。なかなかおもしろい。
 「コンビニ人間」とか、「しんせかい」、「苦役列車」、「サラバ!」の路線です。

 病弱に生まれた主人公林ちひろ(ちーちゃん)を救うために、「水」にからんだ新興宗教らしき活動に積極的に関わる両親がいます。それが原因で、親族関係、親子関係(ちーちゃんの5歳上にまさみさん、まーちゃんがいる)が破たんしていきます。
 宗教小説は避けられる傾向にあるのですが、この小説の場合、成功しています。

 お茶の名前が「金星のみのり」
 
 項目番号「4」から、おもしろくなってきます。

 小学生ながら、女子のしたたかさとか、男子のばかばかしさが表現されています。
 孤独もあります。

 「すべては宇宙の意のままに」は、イスラム教アラーの「神の御心のままに(インシャラ―)」みたい。

 「さらけだす」小説です。16歳高校1年生のまーちゃんが、家出をしました。
 引きこもり男子の異様な行動があります。
 異常な世界となってきました。
 そして、両親は、毎日、祈り続けるのです。

(つづく)

 読み終えました。
 読後感として、実際にこういう世界もあって、否定はできない。

 無神論者が多い日本ではありますが、なんらかの宗教活動をしている個人もファミリーもいます。
 こんな感じの家族像になるのでしょう。

 印象に残ったこととして、「父も母もあまり食事をとらない。一日、一食か一食半」
 笑えるシーンはいくつかありました。素朴です。
 なんか、おもしろくて、悲しい、ときには、児童虐待にも思える。

 「親戚との付き合いが絶たれる」

 ラスト、両親は、娘を手放すことにしたのか、手元におくことにしたのか。なかなか推定と決定はむずかしい。
 決めるのは本人で、おそらく本人は、望まない。両親だけではなく、ファミリーを包む組織内にいるから。

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