2017年07月06日

やめるときも、すこやかなるときも 窪美澄

やめるときも、すこやかなるときも 窪美澄(くぼ・みすみ) 集英社

 ラブストーリーです。
 32歳未婚の広告代理店営業職本橋桜子は存在感の薄い女性で男性との縁がありません。そんな彼女が結婚したくなった相手が、同い年の家具職人須藤壱晴(すどう・いちはる)です。しかし、須藤にはなにかわけがあるらしく結婚という形態を望んでいません。さらに、彼には、12月になると声が出なくなるというメンタル的な病気があるようです。(17歳のときになにかがあった。記念日反応)62ページまで読みました。

(つづく)

 地味な恋愛ではあります。

 女性の心理描写が絶妙で、読んでいておもしろいし楽しい。姉妹の損得勘定心理のあたりとか、親子間のお金の負担の不公平感の部分が良かった。家族の息苦しさもうまく表現されています。

(つづく)

 昨日から読み始めて、一夜を越して、次の日の夕方に読み終えました。さわやかです。応援したくなる恋でした。

 声が出なくなる男性との恋は、障害者との恋を連想しました。

 冒頭付近、そのあと、もう1か所ぐらい、深酒で記憶が消えているという設定は、記憶が消えすぎです。

 アル中で、暴力をふるう男との暮らしはどん底です。

 思い出の上書きは苦しい。男子にも女子にも苦しい展開です。ただ、このパターンはあり得ます。

 島根県松江のイメージが悪くなるのではないかと途中心配しましたが、そういうことはありませんでした。純愛でした。

 過去を変えることはできない。未来のために「忘れる」。それから、亡き人に感謝する。
 
 気持ちの表現部分の記述が大量で、読みながら、人間って、こんなにたくさんのことを考えるものだろうかと疑問をもちました。

 読めなかった漢字などです。「髪の裾:すそ。ふちっこ」、「滾る:たぎる」、「トラウマ:フラッシュバック」、「宍道湖大橋:しんじこおおはし」

 良かった表現です。「作り笑顔」、「誰にも選ばれずに人生を終える」、「気持ちを立て直す」、「小動物が逃げ出すように…」、「おまえがつくるものは人を緊張させる」

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